別の人の彼女になったよ
今度はあなたみたいに 映画見てても私より泣いてることなんてないし
どんなことにも詳しくて 本当に尊敬できる人なの

出典: 別の人の彼女になったよ/作詞:橋口洋平 作曲:橋口洋平

元彼は、とても涙もろい人だったようです。

映画の感動シーンで私が涙しているとき、隣で必死になって鼻をすすっているのが元彼なのでしょう。

でも今彼は、そこまでではありません。

映画を観たあとは、作品背景や作者、俳優のことなどを教えてくれる。そんな知識人なのかもしれません。

知りたいことは何でも教えてくれる凄い人。今彼のことを、そんなふうに評しています。

しかし、私はそういう相手と付き合いたかったのでしょうか。

感情豊かな元彼が好きだったのです。

作品のことはよく知らなくても、同じ目線で観た映画で一緒に感動できる元彼が好きだったのです。

喧嘩すらも恋しい

キスや態度だけで 終わらせたりせずに
ちゃんと「好きだ」という 言葉でくれるの

出典: 別の人の彼女になったよ/作詞:橋口洋平 作曲:橋口洋平

先程までは、二人の男性を比較しながらも、元彼への思いが溢れてしまっていた私。

ここでは今彼と元彼の決定的な差異を指摘し、「あなたは別の人に届かない」のだと歌います。

思いを言葉にして表現できるタイプの人もいれば、態度で表すタイプの人もいます。

今彼は前者、元彼は後者でした。

私は、言葉にしてほしかったのです。

元彼が持っていない素直さを、今彼は持っています。

怒鳴りあいはおろか 口喧嘩もなくて
むしろ怒るとこが どこにもないの

出典: 別の人の彼女になったよ/作詞:橋口洋平 作曲:橋口洋平

「喧嘩するほど仲がいい」という言葉はあっても、できれば私は喧嘩なんてしたくなかったのでしょう。

対等な目線で歩いている私と元彼は、些細なことで頻繁に喧嘩をしたようです。

それが怒鳴りあいに発展するぐらい、お互いの感情をぶつけ合っていました。

今彼はとても大人で、彼女の少し先、少し上を歩いています。

何事においても尊敬できる人。だから不満がなく、喧嘩になりません。

「怒るとこがどこにもないの」ということは、怒りたくなるような部分がないか探したのでしょうか。

愛ゆえに起きる心の衝突がない今、少し物足りなくて、また元彼を思い出してしまうのかもしれません。

心が揺れてしまうから会えない

だからもう会えないや ごめんね
だからもう会えないや ごめんね

出典: 別の人の彼女になったよ/作詞:橋口洋平 作曲:橋口洋平

「今彼は元彼に比べて大人で尊敬できる人。だからあなたにはもう会いません」

歌詞の表面上の意味だけをさらっていった場合は、このようなメッセージになります。

しかし、ここまでの歌詞を深読みした結果、「だから」が示す別のものが見えてきました。

今彼よりも幼くて口下手な元彼に対して、不満が沢山あった私。

でもそんな元彼だから好きだったのです。

二人を比較した結果、元彼に対する思いが膨れ上がってしまいました。

もし元彼に会ったら心が揺れ動いてしまう。私はそう確信しています。

だからもう会えないのです。

「ごめんね」ということは、元彼から何かアクションがあったのでしょうか。

「会いたい」というメッセージが届いたり、着信履歴があったのかもしれません。

あなたも早くなってね
別の人の彼氏に

出典: 別の人の彼女になったよ/作詞:橋口洋平 作曲:橋口洋平

今、元彼には新しい恋人がいません。彼女が望めば簡単に撚(よ)りを戻せるでしょう。

しかし彼女はそれを良しとしていません。忘れなくては、と思っているのです。

元彼に新しい恋人ができたら諦めが付くかもしれない、と考えています。

それも、自分とは全く違うタイプの女性、「別の人」を選んで欲しいと願います。

感情を解放させてくれるあなたが恋しい

大人でスタイリッシュな元彼。

良い部分ばかりを語ってきましたが、良い部分の裏には私の我慢がありました。

自然体でいられない今

別の人の彼女になったよ
あなたの時みたいに すっぴんだって笑っていられる私ではなくて
一生懸命お洒落して なるべくちゃんとしてるの

出典: 別の人の彼女になったよ/作詞:橋口洋平 作曲:橋口洋平

同じ目線で歩いていた元彼の前では、自分を取り繕う必要がありませんでした。

元彼は、どんな自分も受け入れてくれたのです。

お化粧をせずに、眉毛が半分消えてしまっていたって、彼女が彼女である事実は変わりません。

きっとお互いが着飾ったりせず、自然体でいられたのでしょう。

しかし今は違います

MVでは、過去の映像は自然豊かな場所、現在は都会が映し出されていました。

きっと今、彼女は都会で過ごしているのでしょう。

皆が小奇麗に着飾った都会、そこで生きる彼の前にノーメイクで出ていくわけにはいきません。

今彼の隣に立つのにふさわしい女性でいるために、頑張っています。

「一生懸命」にならなければ隣に並べない。自然体で隣にいられた元彼と、暗に比較しているようです。

別の人の彼女になったよ
あなたの時みたいに 大きな声で愚痴を言うような私ではなくて
それをすると少しだけ 叱られてしまうから

出典: 別の人の彼女になったよ/作詞:橋口洋平 作曲:橋口洋平

ここでも、自然体でいられた過去とそうではない現在を比較しています。

私が吐き出す仕事や人間関係の不満を、元彼は受け入れてくれて、同調したり慰めてくれたのでしょう。

元彼も同じように、愚痴をこぼしていたのかもしれません。

お互いが、飾らない自分でいられたのです。

しかし、今彼の前で愚痴を言うとたしなめられてしまいます。

ネガティブな感情は表に出すものではない、と考えているのでしょうか。

今彼との時間の中では、感情を押し殺さなければいけない場面があるようです。