wacciのメッセージソング「大丈夫」
実力派ポップロックバンド「wacci(ワッチ)」。
学生時代に結成!というバンドが多い昨今ですが、wacciは20代後半のメンバーによって2009年に結成されました。
「ポップ」でも落ち着きがあり、「ロック」の芯を失わないサウンドに、優しげな歌声が重なります。
リスナーの心にいつの間にか染み込んでいく暖かさ。
いつもそばに置いておきたいと感じる楽曲が、wacciの魅力といえるでしょう。
「大丈夫」が運ぶ優しいメッセージ
今回ご紹介する曲は、2015年にリリースされたwacciの5thシングル「大丈夫」です。
2016年8月発売のアルバム「日常ドラマチック」にも収録されています。
ボーカル・橋口洋平の語りかけるような声と、歌詞に込められたメッセージ。
それは決して押し付けではなく、根拠を示しながらゆっくりと心を解いてくれるのです。
ドラマ主題歌に起用された「大丈夫」
「大丈夫」はTBS系ドラマ「37.5℃の涙」の主題歌に起用されました。
病児保育士が主人公で、シングルマザー、ワーキングマザーなど「頑張っている人」が沢山登場します。
もちろん主人公も内面に問題を抱えながら頑張っている人の1人。
頑張りすぎて息切れしたり、周りが見えなくなるほど走り続けて現在地を見失ってしまったり。
ドラマ「37.5℃の涙」とMVの関係
「37.5℃の涙」の主人公は、幼い頃の虐待が原因で感情がうまく表に出せなくなってしまった女性です。
これが原因で保育士を辞め、その後病児保育士としてリスタートを切りました。
「大丈夫」のMVの主人公も保育士のようです。病児保育士ではなさそうですね。
MVの前半・後半で起きる彼女の表情の変化に注目です。
もがいている前半

鏡に向かう保育士の女性。表情に乏しく、落ち込んでいるようにも見えます。
ダンスで自らを表現するのが得意なのでしょうか。鏡を前に踊り始めます。
胸の中の何かを両手でつかみ、懸命に引っ張り出そうとするような仕草を見せた女性。
感情を押しつぶしている現状を、どうにかしたいと思っているのでしょう。
次に彼女は額に手の甲をあて何かを掴み、拭い去るような動作をしました。
ネガティブな思考や、過去の辛い経験を消し去ってしまいたいようです。
人と関わっていき変化する踊り
wacciのメンバーも保育士として登場します。
彼らに声をかけられたり、助けてもらいながら進んでいく日常。
もちろん園児たちも主人公の手を引いたり、一緒に遊んだりしています。
そして中盤、鏡の前で踊る彼女の動きに変化が。
表情はそれほど明るくなっていないものの、体の動きはダイナミックになっています。
止まっていた足も動き、彼女が思う通りに体が動き始めたのだと分かります。
表情に明らかな変化が!
終盤、鏡の前で踊る彼女の表情は笑顔に満ち溢れていました。
沢山の園児に囲まれ、保育士に囲まれ、保護者に囲まれている光景は「守られている」イメージです。
また、傘をさす園児が主人公を取り囲んでいる映像がありました。
まだまだ幼い彼らも、先生を守っているということなのでしょう。
皆が味方であり、感情を素直にぶつけたとしてもしっかり受け止めてくれるのだと知った彼女。
どんな感情よりも先に「喜び」を笑顔として表現しました。