家族がテーマ!Batonを解説

wacciとは、日常を切り取った歌詞が特徴の男性5人組ポップスバンド。
人間の暖かさや、少し頼りない男子の描写に定評のあるアーティストです。
この強みを活かし、ドラマ主題歌として採用されている楽曲も多い彼ら。
本記事では、そんなwacciの「Baton」という曲を歌詞に注目して解説していきます。
またYouTubeの公式チャンネルでは、本楽曲のMVが配信されています。
ショートバージョンのみの展開ですが、楽曲に合ったストーリー仕立ての作品です。
是非動画と一緒にお楽しみ下さい。
1番の歌詞を解説
それでは早速、1番の歌詞から解説していきましょう。
今回はイントロからアウトロの順に、楽曲の流れに沿ってご紹介します。
両親を想う
いつだったろう 父や母と
最後に手を 繋いで 歩いたのは
車道の度 力のこもる
掌から 伝うぬくもり
出典: Baton/作詞:橋口洋平 作曲:橋口洋平
本曲は、幼い頃の自分を回想するシーンから始まります。
出かける際は、必ず母親や父親と手を繋いで歩いていた主人公。
両親が車道側を歩き、危険が迫れば手を引いて誘導する。
そんな日常の1ページを思い返しています。
上記の歌詞では、子を想う気持ちが手から伝わる暖かさに表れているといえるでしょう。
では皆さんは、両親と手を繋がなくなった日をはっきりと思い出せるでしょうか。
しっかりと覚えている方は少数派で、本作の主人公も明確な日時は思い出せないようです。
ここから、現在は大人になっていることが分かりますね。
成長して両親と過ごす時間が減ってしまったのだろうと考えられます。
本当の気持ち
素直になれず ほっといてと
手を振り払った時の あなたの顔
出典: Baton/作詞:橋口洋平 作曲:橋口洋平
幼少期は素直に手を繋いでいた主人公ですが、成長と共に態度が変化していきます。
いわゆる思春期に突入したのでしょう。
本当は受け入れたかった両親からの助け舟を拒絶してしまいます。
強い言葉を使ってしまった時、2人の悲しい表情が目に入ったのでしょうか。
傷付けてしまった後悔や罪悪感を覚えている様子。
より印象強く思い出として残っているようです。
ここから、上記のような態度を取ってしまったことを悔やんでいることが分かります。
皆さんも一度は経験のある、若い時期ならではの苦悩が描写されていますね。
強がりと優しさ
この手で夢を抱き切り開き この手で 溢れ出す涙拭って
心配ないよって ピースにオッケーグーと 少し強がってみたり
出典: Baton/作詞:橋口洋平 作曲:橋口洋平
大人になっても自身の夢のために、1人で頑張ってきた主人公。
そんな彼に、辛いことや苦しいことが次々と襲い掛かってきます。
どうすればいいか分からず塞ぎ込んだり、真夜中に涙を流したり…。
簡単に乗り越えられる試練ばかりではないようです。
しかし余計な心配をかけたくないという想いから、両親の前では平静を装います。
心は涙空でも、相手に迷惑をかけるまいと笑顔で接することができる。
そんな他人を思いやれる、優しい主人公の性格が垣間見えるシーンです。
家族のバトン
初めて名前を書いたこの手は あの日よりも器用に僕を伝え
精一杯に あなたが渡してくれた バトンを落とさないように
出典: Baton/作詞:橋口洋平 作曲:橋口洋平
言いたいことが素直に言えず、反発していた思春期。
少し成長した現在では、正直に感謝の気持ちを伝えられるようになったようです。
しかし、恥ずかしさや心配をかけまいとする気持ちが残る主人公。
「書いた」という表現から、口頭ではなく手紙などの手段を取った可能性が考えられます。
両親に感謝を伝えたいというまっすぐさと、不器用さが愛らしい歌詞となっていますね。
自分が今こうして生きていられるのは、誰でもない両親のおかげ。
この想いを噛みしめながら、代々受け継がれてきた家族のバトンをしっかりと受け取っています。
MVでは常にスマートフォンを触る娘と、それを複雑な表情で見つめる父親が登場。
どこかぎこちない2人の空気感が見所です。