本当の自分を伝えたい
(パッパラッパッパラッパ!)
いっぱい悩んだ日々は けっして無駄じゃないから
笑顔だけは今日もチャージして 不安とぶつかる
(You, Never never give up!)
ありのままを出すのは とても勇気いるけど
やっぱ 素直な自分見てほしい 君に届けたい
はじめての交響曲 (シンフォニー)
出典: 少女交響曲/作詞:辛矢凡 作曲:田中秀和
頭の中は初恋のことで一杯で、不安なことだらけ。
しかし今までその不安に向き合ったことは、ゴールを迎える為の糧になってくれます。
ポジティブな心持ちだけは忘れないように、笑顔だけは忘れないよう心がけているのが分かりますね。
前述の「夢」が折り重なって出来た偽物の自分を捨て、素の自分で初恋相手と向き合いたい。
主人公が初恋を自覚してから今までの不安や葛藤、今伝えたいと思っている想いを交響曲と表現しています。
タイトルの「少女交響曲」は、一人の少女の初恋の記憶とその想いが作り上げたものだったわけですね。
物語はクライマックスへ
告白の瞬間
ドミナントの響き続き もどかしさに身をよじる
君と見つめ合ってから 時は流れ夕日は沈み
デモーニッシュな風に震え スカートの中ざわつく
でもね 決めたのこのチャンスで 君の想い知りたいと
出典: 少女交響曲/作詞:辛矢凡 作曲:田中秀和
「ドミナント」とはコード進行を司る、コードの属性の種類の一つです。
トライトーンという音構成が含まれており、極度の緊張感を生み出します。
そして、トニックと呼ばれる安定した属性を持つコードに「解決」しようとします。
曲中ではサビ前や1コーラスが終わる前に挟まれることが多いです。
つまり、1行目では緊張感や停滞感が長く続いていることが表されています。
2行目からは告白に踏み切ろうとしていることが分かるため、告白前の独特の緊張感が表現されていることが分かりますね。
「デモーニッシュ」という単語は直訳すると「悪魔的」という意味になります。
しかし、「少女交響曲」では多数の音楽用語が使われているため、一概に直訳で意味をとりきれません。
「デモーニッシュ」という単語は音楽ではモーツァルトを表現する際に使われることが多いです。
そしてゲーテはこの言葉について、「悟性や理性では解き明かし得ないもの」と言及しています。
歌詞のシチュエーションに合わせ、自分の経験から空気感を想像できる読者の方は何となく感じ取れるでしょう。
しかし、どうしても想像できない方は一度モーツァルトの音楽を聴いてみることをおすすめします。
「デモーニッシュ」の意味を感覚的に捉えることで、「少女交響曲」の歌詞により共感できると思いますよ。
そんな言葉にできないような空気間に震えつつ、主人公は遂に大きな一歩を踏み出します。
音楽用語の引き出し
「ただの 友達で」なんて よくあるクリシェは聞きたくない
わがままな (後に退けないけなけない!)
少女だと (アナタの本気見せちゃえ!)
思われて (もうひと押しじゃん!) いいから…!
出典: 少女交響曲/作詞:辛矢凡 作曲:田中秀和
「クリシェ」は同一のコードモチーフの中で、単一の音が半音ずつ下がっていくコード進行です。
ポップスではラストのサビ等で、メロディを前コーラスと変えずに展開を作りたいときなどに良く使われます。
歌謡曲業界では特に定番の手法として多数の曲で使用を確認できます。
この曲の歌詞では「定番」を表す言葉として使われています。
この部分からは全体的に、取り繕うことなく、わがままな本当の自分で告白する描写が描かれていますね。
結末は是か非か
(バンババンボンババンボン!)
本当に大事なものは いつも見える訳じゃない
だから今の自分信じて 未来を信じて
(You, Never never look back!)
求める心あれば 悲しみも淋しさ (さみしさ) も
きっと 美しい景色に変わる 君と紡ぎ出す
透明な交響曲 (シンフォニー)
出典: 少女交響曲/作詞:辛矢凡 作曲:田中秀和
告白が成功したか否か、この描写からつかむのは少々難しいです。
未来を見て振り返るなと歌われていますが、捉えようによっては「失恋に引きずられるな」という意味にもとれます。
また、「求める心」の対象が誰なのかによっても、意味が変わってきます。
今回告白した相手を求めているのか、これからも「恋自体」を求めるのか。
色々な捉え方ができる部分ですね。
疑うこと 覚えたらキリないけど
みんな弱いよね 私も同じ
人と人とが つながるって奇跡
次の瞬間 この手は離れるから
ごめん、さよなら
ひとつひとつの音を 大きなフーガにしよう
自分の弱ささらけだしてでも 君とつながろう
出典: 少女交響曲/作詞:辛矢凡 作曲:田中秀和
ここも告白の結末がぼやける部分です。
「さよなら」という言葉が歌われていることから、告白相手とのつながりが切れるという解釈ができます。
しかし、「さよなら」の相手が心の中で応援していたWUGである可能性もあります。
また、最後に「つながろう」は「さよなら」とは対極と言える言葉です。
この2つの言葉の対象が誰なのか、考えようによっては何パターンも解釈が出てくる部分ですね。
読者の皆さんも、是非自分なりの答えを出してみてください。