残酷な運命に
運命とうまく付き合って行くならきっと
悲しいとか寂しいなんて言ってられない
何度もつながった言葉を無力にしても
退屈な夜を潰したいんだね
出典: あんなに一緒だったのに/作詞:石川千亜紀 作曲:梶浦由記
前半1、2行の歌詞は、どんな世界でも言えそうです。
特に、戦争に巻き込まれる人の運命とは残酷なものでしょう。
この二人の場合は、敵同士となってしまった親友に対する思いもある筈です。
しかしながら弱音を吐いていれば、その運命に押しつぶされてしまいます。
それでも、意味がないと分かっていながらも言葉を重ねてしまうのです。
もちろん、目の前に本人がいるわけではありません。
心の中にいる友人と話しているのでしょう。
真夜中に一人で会話するという、ある種の暇つぶしのようなものでしょうか。
今初めて見た君の顔
あんなに一緒だったのに
ふぞろいな二人に今 たどりつける場所など無いんだ
あんなに一緒だったのに 初めて会う横顔に
不思議なくらいに魅せられてる 戸惑うくらいに
出典: あんなに一緒だったのに/作詞:石川千亜紀 作曲:梶浦由記
かつていつでも一緒にいた友人同士だったとしても、敵である限り歩み寄れる余地はありません。
相当なきっかけがない限り、敵であれば命を奪い合うしかないのです。
そんな状況になって、今まで見たことのない親友の顔を見たのでしょう。
魅了されているというよりも、「そんな顔もするんだ」と見入ってしまったような感覚かもしれません。
敵になってしまった君へ
たとえ敵になってしまったとしても、心のどこかで友情の復活を願っています。
それはお互いがそう思っている筈なのに、何故かそれが相手に伝わりません。
「君は何を思っているの?」と、思わず探してしまうのです。
君の本心はどこ?
心はどこにいる? どこに吹かれている? その瞳が迷わぬように
出典: あんなに一緒だったのに/作詞:石川千亜紀 作曲:梶浦由記
相手の心を探している、そんなセリフのように思える歌詞。
親友の気持ちを探ろうとしているかのようです。
相手は敵であり、今は離れたところにいたとしても。
友を思う心は決して終わることはありません。
だから、迷わないように見つめ続けているのでしょう。
話すことも叶わず
あんなに一緒だったのに
言葉ひとつ通らない 動き始めた君の情熱
あんなに一緒だったのに 夕暮れはもう違う色
せめてこの月明かりの下で 静かな眠りを
出典: あんなに一緒だったのに/作詞:石川千亜紀 作曲:梶浦由記
ラストのサビは2行目の後半だけ、1番のサビと歌詞が違います。
しかしその歌詞こそ、大切な意味があるのではないでしょうか。
今まで敵同士となってしまった状況に惑っていたものの、ある決意をしたように感じられます。
それは、これから敵として戦っていくという決意?
その決意が「情熱」をまとっているように見えるのでしょう。
あまりにも悲劇的ですが、状況からしてそうせざるを得ません。
激しくなる戦争は、二人の友情すらも簡単に吹き消してしまう。
「ガンダムSEED」でも、互いを敵と認識した果てにキラとアスランは互いを殺し合おうとしてしまいます。
その悲しい死闘を、この歌詞は予言していたのかもしれません。