こじれていく友を歌うSee-Sawの代表曲
「あんなに一緒だったのに」は、石川智晶(当時は石川千亜紀)さんと梶原由記さんのSee-Sawの9thシングル。
ビクターエンタテインメント移籍後としては3枚目となります。
リリースは2002年ですが、当時ガンダムSEEDを見ていた方は強く記憶に残っているのではないでしょうか!?
昔は仲良しだった親友同士がすれ違い、関係がこじれていく姿を嘆く歌詞。
梶浦さんが奏でる切ないメロディと、石川さんの迫力ある歌声がより悲愴さを際立たせます。
ガンダムのEDに使われたことで知名度が一気に伸び、オリコンチャートでは5位にランクインしました。
実は梶原さんがプロデュースされたKalafinaが、ライブで一度だけこの曲をカバーしたことも!
See-Sawのお二人が有名になる、大きなきっかけとなった代表曲と言っても過言ではないでしょう。
アニメ「機動戦士ガンダムSEED」ED
先に紹介しましたが、「あんなに一緒だったのに」はアニメ「機動戦士ガンダムSEED」のEDです。
ガンダムSEEDの曲といえば、「あんなに一緒だったのに」を挙げる人も多いことでしょう。
最初のEDであり、序盤から中盤にかけての2クール連続で使用されました。
劇中のBGMとして、ピアノを基調としたアレンジが何度も流れることも。
このように、「あんなに一緒だったのに」はこのアニメにとって色々な意味で非常に重要な曲です。
遺伝子操作を受けて頭脳や身体能力が飛躍的に向上した人間・コーディネーターがいる世界。
遺伝子操作を受けていない人間・ナチュラルは、その驚異的なコーディネーターの能力をねたみ始めます。
その感情はやがてコーディネーターのザフト軍と、ナチュラルの地球軍の戦争にまで発展してしまいました。
本編は、その戦争が拮抗してから11か月後の世界を舞台に始まります。
中立国で暮らすコーディネーター、キラ・ヤマトはナチュラルの友人たちと平和な生活を送っていました。
しかしザフト軍がそこへ潜入したことで、その平和も崩れ去ります。
キラは逃げ惑う内にかつての親友、アスラン・ザラと邂逅することになるのでした。
結果として、大親友だったキラとアスランは敵同士になってしまいます。
「あんなに一緒だったのに」は、まさにそうなってしまった二人の姿を歌っているのでしょう。
夕闇の中で君を思う
「あんなに一緒だったのに」のイントロは、アニメの終わりとかぶせてくるため非常に印象的。
切ない曲調と共に流れる歌詞は、どんな二人を映し出しているのでしょうか?
ガンダムSEEDの世界に重ね合わせながら見ていきましょう。
何をしても逆効果で
あんなに一緒だったのに 夕暮れはもう違う色
ありふれた優しさは君を遠ざけるだけ
冷たく切り捨てた心は彷徨うばかり
そんな格好悪さが生きるということなら
寒空の下 目を閉じていよう
出典: あんなに一緒だったのに/作詞:石川千亜紀 作曲:梶浦由記
かつては仲が良くて、どんな時もずっと一緒だった筈の親友。
その友情は、平和と共に切り裂かれてしまいました。
きっとその時、どうしたら良いのか分からなかったのでしょう。
自分たちの側に来いと勧誘したり、どうにか殺し合わずに済むように回避しようとしたり…。
しかし、それは逆効果だったようです。
だからといって、敵だからという理由で討とうと決意しても割り切れません。
結局何もできず、暮れていく空の下じっと耐えているしかなかったのでしょう。
訪れる夜に
あんなに一緒だったのに
言葉ひとつ通らない 加速していく背中に今は
あんなに一緒だったのに 夕暮れはもう違う色
せめてこの月明かりの下で 静かな眠りを
出典: あんなに一緒だったのに/作詞:石川千亜紀 作曲:梶浦由記
戦争中であり、しかも敵対する者同士であれば言葉なんて通じません。
話し合えないから戦争をするという、情勢の理に二人の友情も巻き込まれていきます。
分かり合えず敵として道を歩む親友は、こちらに背を向けて遠ざかっていくイメージなのでしょう。
きっとキラから見たアスランも、アスランから見たキラも、同じように見えるのではないでしょうか。
つまりキラから見れば、アスランはこちらに背を向けているように見える。
逆にアスランからキラを見ても、キラは背を向けているように見えるのかもしれません。
この複雑にもつれてしまった状況は、今はどうすることもできない。
だからせめて、夜だけは夜襲もなく穏やかに眠ってほしいと願っているのでしょうか。
それが、「静かな眠り」なのかもしれません。
あの頃には戻れない
敵同士となってしまい、お互い苦悩する親友の二人の姿が描かれていました。
彼らはそこで、いったい何を悟るのでしょうか。