ナナヲアカリの【イエスマンイズデッド】
2019年に関西ローカルで放送されたテレビドラマ『死亡フラグが立ちました!』の主題歌である本楽曲。
小関裕太が初主演を務める連続ドラマとして話題となりました。
ご存じの方も多いのではないでしょうか。
今回はアニメーションMVとしても人気になった本楽曲の歌詞に注目してみました。
綴られた言葉からわかる本当の想いとは?
主人公の内気な性格の中に秘める強い想いを読み解いていきます。
1番の歌詞をチェック
「ヒト」がよく死ぬ街とは
ここはヒトがよく死ぬ街
誰も探さないでください
出典: イエスマンイズデッド/作詞:ナナヲアカリ 作曲:ナナヲアカリ
人間は子供の頃、親の愛情を注がれて育てられるものです。
個性をのばすよう好きなことを自由にやって生きていきます。
家の中では例えば兄弟と支え合い、近所の人にも助けられながらのびのびと育っていくことでしょう。
しかし大人になるにつれ、家の中から社会に出てしまうと生きるのが窮屈になっていきます。
「ヒト」という言葉は、「人間」とは違い、まるで記号のようですね。
人間が生きている街ではなく、ヒトが死ぬ街とは他人に対して冷たく、思いやりのない街のこと。
2行目の哀しささえ感じる言葉の裏では、社会に埋もれてしまったヒトの叫びが聞こえてくるようです。
「自分の存在に気づいてほしい!」
「だれか助けて!」
そんな風に叫んでいるように聞こえるのです。
迷子のような「僕」
いらない 迷子のこどもたちが今日も消えてく
僕はただただ歩く
出典: イエスマンイズデッド/作詞:ナナヲアカリ 作曲:ナナヲアカリ
社会に埋もれてしまったヒトは、まるで迷子の子供のようです。
その存在は社会から必要ないと拒絶されてしまうのでしょうか。
自分を見失い、大声を出して自分の意見を言うことができません。
ここではじめて、歌詞の中に「僕」が登場します。
僕もまた、迷子の子供と同じ。そしてヒトの中の一部なのです。
本当の自分を見失い、みんなと同じようにしか行動できない存在だと、嘆いているようでもあります。
理由もアテも知識もお金もないから
光に群がる虫みたいに引き寄せられて
出典: イエスマンイズデッド/作詞:ナナヲアカリ 作曲:ナナヲアカリ
「本当の自分らしさはどこに?」
僕はそんな疑問を感じていますが、だれかに意見を主張したいわけでもないようです。
そしてお金を使って世の中を変えたいわけでもありません。
社会で苦しんでいる人たちがいても何もしない僕は、光のもとに集まることしかできない。
小さな虫と同じだと、僕は考えます。
この苦しさをどうにかしたいのにどうにもできない自分が嫌でもがいているように聞こえますね。
いじめ社会
右倣えをしないと いじめてやるぞ
頷かないと 仕事はないぞ
出典: イエスマンイズデッド/作詞:ナナヲアカリ 作曲:ナナヲアカリ
みんなと違うことをすると目立ってしまい、敵を作っていじめられる現代社会。
自分の意見を主張すれば協調性がないとみなされて、仕事がなくなってしまう職場。
いじめはダメだとはっきりいいたい。
いじめをしている相手に、間違っているといいたい。
でも仕返しが怖い僕は本当の意見を言えないのです。
間違ったことが正しくなって
アイデンティティは沈んでく
行方不明のまま あの日の僕の手を取って
出典: イエスマンイズデッド/作詞:ナナヲアカリ 作曲:ナナヲアカリ
僕にもアイデンティティがあったはずなのに、大人になるにつれアイデンティティが消えてしまいました。
子供の頃だったら「いじめは間違っている」と言えたでしょう。
あの頃あったはずの勇気は、いつどこで失ってしまったのでしょうか。
すがる思いで僕は目を閉じます。
心の中にいる昔の僕と手をつなげば、思い出せるかもしれないと。