『神』という存在の不自然さ

『貴方』は『俺』を作った時点で既に『不完全』な存在である

そんな『悪魔・堕天使ルシファー』側から歌った曲であるということはわかりました。

そうなると、このタイトル。

『Shout at the Devil』との合点がいかなくなってくるのです。

『悪魔』からの誘いを跳ね除ける叫びを意味するタイトルなのですから。

自分が『悪魔』だとするこれまでの説では意味が通らなくなってしまいます。

なので、発想の転換が必要です。

『俺』が『悪魔』からの誘いを跳ね除けているのではないか。ということ。

つまり、『俺』以外に『悪魔』が存在しているということです。

それは誰なのか。

人々の願いが『俺』を導き、偽りの光を消せと言っている下記の歌詞にヒントがあります。

願いよ今この手を導け
偽りの輝き吹き消してみせよう

出典: Shout at the Devil/作詞:hyde 作曲:ken

ここでいう「偽りの輝き」とは何か

ここでいう「輝き」とはつまり、人々が救いを求めて崇める存在。すなわち『神』のことなのです。

『神』が『悪魔』?

一見おかしく見える表現ですが、この『俺』からすると正当な理由があるのです。

一体『神』は、『俺』にとってどう見えているのか?

あぁもしもこの俺が失敗作なら
もうすでに完全じゃないことを認めたら?

出典: Shout at the Devil/作詞:hyde 作曲:ken

それがわかるのがこの歌詞です。

『神』に作られし存在である『俺』は、『悪魔』という善が欠落した失敗作であることを意味しています。

完璧なはずである『神』が作ったものの中に『俺』という失敗作が混ざっているということ…。

それはつまり、『神』は完璧ではないという事実を示しているのです。

そんな不完全な存在にも関わらず、完璧で輝かしい『神』として君臨し、人々の信仰を集めている状況。

それ自体がおかしいことではないのか、と『俺』は思っているのです。

そんな存在を『神』と崇めるのは辞めにしないか?

平和な世界に戦乱の種を植え付ける存在

『俺』の指摘は止まりません。

『神』の行いについても言及しています。

それがわかるのが下記の歌詞です。

きれいな貴方はただ
破滅の種を大地へと植えつけて
素敵な笑みを浮かべ
罪のない死に Uh 見とれてる

あぁいつまで人は待ち続けるのか
そう飽きたら氷河期のリセット

出典: Shout at the Devil/作詞:hyde 作曲:ken

「きれいな貴方」は『神』を意味しています。

そんな『神』は平和ではなく、破滅へ導く火種を使って戦乱を招き、それを楽しんでいるではないか。

そうして迎えた人々の死を見ているだけではないか。ということに憤りを覚えているのです。

挙げ句の果てに、それに飽きたら氷河期にして文明そのものをリセットしてしまうという暴挙に出る。

これが本当に、完璧な存在として崇められるべき『神』の姿なのか?ということです。

『真実の旗』とは

隠れた真実を暴いて掲げる革命の御旗

自分の存在を『悪魔』だと認めた上で、真実を暴こうとするのが『俺』の姿です。

自分を正当化せずに逆手に取るあたり、よく考えられた歌詞だと思います。

そんな思いを感じられるのが下記の歌詞です。

願いよ今この手を導け
偽りの輝き吹き消してみせよう
その力が汚れて見えても
真実の旗 降りかざせ!

出典: Shout at the Devil/作詞:hyde 作曲:ken

人々が『神』の真実に気付いて願ってくれたなら『俺』がどうにかしてみせる!

覚悟にも似た想いの吐露ですが、ここで出てくる「汚れた力」については上述の通りです。

これら、自らの境遇を受け入れた上で挑み、暴きたい真の『神』の姿

その想いを掲げたものが旗という形容で表されているのです。

この曲のサビはこの歌詞の繰り返しになりますので、言いたかったことはここになると思います。

『堕天使ルシファーが神の不自然さを暴き、神の誘惑を跳ね除けて人々に真実を晒そうとする咆哮』

これがこの曲の肝になっている部分なのです。

これでこの曲の解釈を終わります。