なくなって欲しいと願わずにはいられないつらい恋

願い事ひとつだけ 叶えてくれるなら
傷つけあった愛が始まらないように…

出典: 願い事ひとつだけ/作詞:小松未歩 作曲:小松未歩

願いが一つだけ叶えられるとしたら、何を願いますか?

おそらく、今一番欲しいものやなりたいもの。

それさえあれば、すべてがうまくいく、幸せになれると感じられるものではないでしょうか。

この歌詞の中の主人公が望むものは、傷つけあう恋が始まらないように…。

これは、まさしくこの主人公が経験した恋なのでしょう。

傷つけあうような恋をしてしまい、とても心が傷ついてしまった。

不幸のどん底にいるように感じているのでしょう。

それさえなければ、自分の人生はもっと幸せなもののはずなのに。

それほどまでに追い詰められてしまう恋愛とは、どのようなものなのでしょうか?

大好きな人との別れ

恋人同士が最後に見る夕陽

どうして二人は出会ったの?
こんなに淋しい夕陽を見るなんて

出典: 願い事ひとつだけ/作詞:小松未歩 作曲:小松未歩

ここは恋人との別れのシーンを表現しています。

なぜ二人は出会う必要があったのか?と思わずにはいられない恋とは、どのような恋でしょうか?

こんなに悲しい別れ方をするくらいなら、出会わなかった方がよかったのではと思う恋。

それは、幸せな時間よりも喧嘩すれ違いばかりの恋だったのかもしれません。

恋人と一緒に見る夕陽は、幸せの象徴の一つでもあるでしょう。

例えばドライブをした帰り道に、浜辺へ寄り道。

寄り添い合いながら、沈む夕日を二人で眺める。

想像しただけでロマンチックです。

しかしこの歌詞には、そのようなロマンチックさはかけらもありません。

見ている夕陽は、お互いの気持ちが盛り上がるようなワクワクや興奮が混ざるようなものではないのです。

むしろ気持ちの方が夕陽よりも先にどんどん沈んでしまうくらい、淋しい夕日

きっと恋人同士で見れば輝いて見えるはずの夕陽が、モノクロ殺風景夕陽に見えているのでしょう。

自分から完全に離れてしまった恋心

気の利いた言葉 探しても
離れた心をつなぐ言葉なくて

出典: 願い事ひとつだけ/作詞:小松未歩 作曲:小松未歩

主人公は、恋人と別れたくないようです。

今でもとても大好きで、この先もずっと一緒にいたいと思っているのでしょう。

しかし相手にはその気持ちがありません。

どうにか引き止めたいけれど、そうできる言葉がもう見つからないのでしょう。

ただ好き、愛してる、離れたくないと言ったところで気持ちが戻ってくるような段階ではないようです。

一度冷めてしまった恋心を取り戻すには、かなりの時間や気力が必要。

しかし、それさえももう意味がない程に、相手の気持ちは完全離れてしまっています。

それほどまでに恋人の心が離れてしまった原因は何なのでしょうか?

気になりますね。

別れるしか選択肢がなかった

出来るだけの笑顔で手を振れば
ちょっとだけでも綺麗にみえるのかな

出典: 願い事ひとつだけ/作詞:小松未歩 作曲:小松未歩

主人公と恋人は、もう別れることは決まっているようです。

もう何を言っても恋人の気持ちは戻ってこないことを悟り、別れる決意をしたのでしょう。

本当は別れたくない。

けれど別れるしか選択肢がないのなら、せめて少しでも綺麗に別れたい。

そのために主人公は、できる限りの笑顔で手を振ってバイバイすることにしたのです。

「じゃあ、元気でね」と言って笑顔で別れる。

けれど、実際はできなかったようにも読み取れます。

最後の別れ際だけでも笑顔で終わりたかったのにできなかった恋。

主人公のとてもつらい気持ちが伝わってきます。

傷つけ合うことしかできなかった恋

恋愛の仕方は、恋人によって違います。

お互いを尊重し合える恋や、一日中一緒にいないと気が済まない恋など様々でしょう。

しかし、それはお互いの気持ちが同じくらい求め合っているからこそ成り立つ関係。

お互いの相手に求めるものが違ったとき、とてもつらい恋になりやすいでしょう。

例えば、一方は一日中くっついていたいのに、もう一方は一人の時間も楽しみたいという組み合わせ。

一方は満たされない思いを抱きやすくなり、もう一方は相手の気持ちが重く感じるかもしれません。

このようなアンバランスな恋愛をしてしまったのがこの曲の主人公。

主人公は、自分への気持ちを行動や言葉で確認したいという気持ちが強かったのでしょう。

この二人はあまり自分の気持ちを素直に伝えることもなかったのかもしれません。

自分が好きと言う前に、相手から先に好きと言われたい。

そのために、わざと少し嫌味を含むことを言ってしまうのです。

せっかくのお休みの日なのに、相手が友人と遊びに行く約束をしてしまったとしたら。

素直に「さみしい。夜は一緒にいられる?」と言えたらよかったのかもしれません。

けれど主人公は「へぇ、友人との時間ばかり作って私とは一緒にいられないんだね」と言ってしまう。

ここで相手も「ごめんね、夜は一緒にいようね」と言えたらまた結果は変わっていたかもしれません。

けれど、相手はイラっとしてしまい、可愛げがないやつだなと思ってしまうのでしょう。

「お前だって一人の時間を楽しめばいいでしょ?」と言ってしまうのです。

お互いに素直になれず傷つけあうことでしか築けない関係。

がとても疲れてしまいそうな恋です。