「北酒場」

デビュー曲以来の大ヒット

「細川たかし/北酒場」に似合うのは…歌詞の意味を考える!酒場で生まれる一夜の恋はいつの時代も不変?!の画像

北酒場」は1982年3月21日に発売された曲です。

細川たかしにとって18枚目のシングルとなります。

細川たかしというと、今でこそ演歌界の大御所ですが、当時はまだ若手でした。

そして、当時の細川たかしは決して今のような大人気歌手ではなかったのです。

細川たかしは1975年のデビュー曲「心のこり」がいきなり大ヒット。

私バカよね、おバカさんよね」という歌いだしのフレーズは、リアルタイムではなくても知っている人は多いのではないでしょうか。

この「心のこり」で新人ながら紅白歌合戦にも出場した細川たかしは歌手として順調なスタートを切ったと言えるでしょう。

しかし、この後なかなかヒットに恵まれない時期が続きます。

そんな中、起死回生の大ヒットとなったのがこの「北酒場」なのです。

作詞・作曲は大御所

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「北酒場」の作詞を担当したのはなかにし礼

北島三郎の「まつり」や石原裕次郎の「わが人生に悔いなし」などでも知られる歌謡界の大御所作詞家です。

細川たかしのデビュー曲「心のこり」でも作詞を担当しています。

作曲は中村泰士。ちあきなおみの「喝采」が代表作と言っていいでしょう。

演歌、歌謡曲だけではなくポップスのアーティストにも曲を提供する幅広さを持った人です。

実は中村泰士も「心のこり」の作曲を担当していました。

「心のこり」の作詞作曲コンビが再度大ヒットさせたのが「北酒場」というわけですね。

テレビから生まれた大ヒット

恩人は欽ちゃん

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「北酒場」のリリース前から、細川たかしはテレビのバラエティ番組レギュラー出演していました。

それが「欽ちゃんのどこまでやるの!?」、通称「欽どこ」です。

当時、欽ちゃんこと萩本欽一は各局にゴールデンタイムのレギュラーを持っていて、どれも大ヒット。

月曜日から金曜日までテレビで見ない日はなく、そのどれもが視聴率20%を超えていたので「視聴率100%男」などとも呼ばれていました。

「欽ちゃんのどこまでやるの!?」は欽ちゃんと真屋順子演じる夫婦とその家庭を舞台にしたアットホームなシチュエーションコメディ。

後に長男の見栄晴や三つ子の妹が生まれることになります。

この番組からわらべの「もしも明日が…」などの大ヒットも生まれることになるのですが、それはまた別のお話です。

細川たかしに話を戻しましょう。

「欽どこ」での細川たかしの役柄は、突然萩本家にやってくる演歌歌手の役でした。

いきなり家の中に入ってきてひとしきり語った後、歌を歌って去っていくのです。

これが毎週恒例となったのですが、なかなかインパクトがあるシーンでした。

欽ちゃんのツッコミと、それに負けないトークの面白さで細川たかしは一気にお茶の間の人気となったのです。

タイトルも公募

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「欽どこ」に出演した細川たかしが毎週歌っていたのが実は「北酒場」でした。

しかし、当初は曲のタイトルも何もついていなかったのです。

いきなり歌いだしていきなり去っていく。それが毎週お決まりのパターンでした。

そして演歌というにはノリが良く、歌いやすいメロディーが耳につくこの曲は徐々に視聴者の間で話題になっていくのです。

「一体あの曲は何という曲なのですか?」

「レコードの発売はしていないのですか?」

そんな問い合わせがテレビ局に殺到するようになりました。

そしてついに番組内で「細川たかしの歌うこの曲にタイトルをつけましょう」という内容の企画が実現するのです。

視聴者からも応募を受け付け、最終的に決まったのが「北酒場」というタイトルでした。

そしてレコードが発売されるやいなや大ヒットとなったのです。

それはそうでしょう。

発売される前から視聴率20%を軽く超える人気番組で毎週歌われていた曲なのですから。

酒場で生まれる恋

どんな女性が似合う?

北の酒場通りには 
長い髪の女が似合う
ちょっとお人よしがいい 
くどかれ上手な方がいい

出典: 北酒場/作詞:なかにし礼 作曲:中村泰士

それでは「北酒場」の歌詞を見ていきましょう。

北の酒場、という言葉は演歌、歌謡曲の定番という感じがします。

演歌の舞台やテーマは南国ではなく、やはり北国なんですよね。

北をテーマにした演歌のイメージというと、どんなものが思い浮かぶでしょうか。

女、一人旅、日本海、別れ、辛さに耐える、寒さ…。

何となくですが、暗く寂しい感じが強いのではないかと思います。

しかしこの「北酒場」は曲調も明るいですし、湿っぽい感じがしません。

長い髪の女性、いいですよね。

茶髪や金髪は北の酒場通りには似合いません、ここは黒髪でしょう。

ちょっとお人好しでくどかれ上手、つまりここは男の立場から歌っています。

お酒を飲んで仲良く話しているうちに何となくいい雰囲気になってきて…。

「どう、今日はもうちょっと付き合わない?」なんて口説いてみる。

その時に「いや、今日は終電で帰ります」ときっぱり言う人はさようならです。

「え~、どうしようかな~」なんて、気を持たせる人がいいですね。

今夜の相手は誰?