今夜の恋は煙草の先に 
火をつけてくれた人
からめた指が運命のように 
心を許す
北の酒場通りには 
女を酔わせる恋がある

出典: 北酒場/作詞:なかにし礼 作曲:中村泰士

男は今晩、一夜限りの恋を探しています。

相手は煙草に火をつけてくれた人。そう決めて、何本も吸うのです。

誰もつけてくれなかったら自分でつけて吸い、また新しい煙草を口に運ぶ。

そうイメージしてみると、どこかかわいくて滑稽な男の姿が浮かんできます。

そのうちに、口にくわえた煙草に火をつけてくれる女性が現れます。

徐々に二人の距離は近くなっていき、お互いに心を許してしまうのです。

誰もが一夜のアバンチュールを求めて、お酒と恋に酔う町。

それが、北の酒場通りなのです。

やぶれた恋を数える

酒場に似合う男

北の酒場通りには 
涙もろい男が似合う
ちょっと女好きがいい 
瞳でくどける方がいい

出典: 北酒場/作詞:なかにし礼 作曲:中村泰士

1番では「髪の長い女が似合う」だったのに対し、2番ではどんな男が似合うかと歌っています。

目で口説けるということはおしゃべりで調子のいい感じはしません。

無口で、どこか色気の漂う雰囲気でしょうか。

でも涙もろくて女好き。

そんな人間がその辺の居酒屋にいるのだろうか?という気もしますが、歌の歌詞としては満点でしょう。

夢を追う男のロマン

夢追い人はグラスの酒と 
思い出を飲みほして
やぶれた恋の数だけ人に 
やさしくできる
北の酒場通りには 
男を泣かせる歌がある

出典: 北酒場/作詞:なかにし礼 作曲:中村泰士

その男は夢追い人とのこと。

何か大きな夢を持って生きているのでしょう。

その過去には何人もの恋した女がいたようですが、今はひとり

恋が終わるということは、ひとつの失敗です。

でも人は失敗から学ぶことができます

やぶれた恋が多いということは、それだけ他人との関係を学んできたということ。

その分人にやさしくできるというのは、ある意味真理なのかもしれません。

大人な恋のおとぎ話

今夜の恋は 煙草の先に 
火をつけてくれた人
からめた指が運命のように 
心を許す
北の酒場通りには 
女を酔わせる恋がある

出典: 北酒場/作詞:なかにし礼 作曲:中村泰士

演歌や歌謡曲には気持ちを込めてエモーショナルに歌い上げるタイプの曲があります。

ですが、個人的には「北酒場」はそうしたタイプの曲ではないと思います。

もっと気楽に、カラッと明るく歌える曲だと思うのですね。

その雰囲気が、バラエティ番組での細川たかしの明るいキャラクターとマッチしたのだと思います。

なのでこの曲の歌詞に重要なのはリアリティや重厚さではありません。

明るいムードとファンタジーなのです。

普通に考えれば、一夜限りの行きずりの恋なんてふしだらで不潔なものです。

そういう行為を求めて参考にしよう!とこの曲を聞く人はいないと思います。

実際にそんなことがあったら遠慮しますという人も多いでしょう。

でも、歌の世界なら「こんなこともあっていいかな」と思わせてくれたりもします。

「北酒場」はそういう意味で、よくできた大人のおとぎ話とも言えるのではないでしょうか。

最後に

「細川たかし/北酒場」に似合うのは…歌詞の意味を考える!酒場で生まれる一夜の恋はいつの時代も不変?!の画像

細川たかしの大ヒット曲「北酒場」をご紹介しました。

情念たっぷりの演歌や歌謡曲とは違い、むしろポップスに近い軽さがこの曲の魅力だと思います。

若い人もぜひ聞いてみて、カラオケで歌ってみてはいかがでしょうか。

最後に「北酒場」と関連した演歌や歌謡曲についての記事をご紹介します。

合わせてぜひ読んでみてください!

あまり知られていませんが、細川たかしの「矢切の渡し」はちあきなおみのカバー曲です。この曲で細川たかしがレコード大賞を獲得した経緯を追うとともに、カラオケで上手に歌うコツも教えちゃいます。