何かの手違いで
好きになってくれないかな
どうにも君のいない場所は
空気が薄くてさ
出典: HAPPY BIRTHDAY/作詞:清水依与吏 作曲:清水依与吏
グラスの水がスローモーションで飛び出すという不思議な映像。
「空気が薄い」という歌詞にもどこか通じるところがありそうです。
誕生日を迎えた歌物語の主人公はどうやら両想いではない……ということがわかってきます。
手違いで構わないから好きになって欲しいとか、「空気が薄い」といった発想がバクナン節。
「どうにかして自分を好きになってくれる方法はないだろうか」と考え込んでいるイメージです。
その好きな相手が身近にいれば普通に呼吸できるものの、いなければ少々息苦しいのでしょう。
世の中にはモテる人もいるわけですが、モテるわけではない人のほうが多いかもしれません。
この切ない恋心に「あるある」と共感する人もたくさんいることでしょう。
片想いの自分を祝うバースデイソング
くだらない話?
くだらない話は思い付くのに
君を抱き締めていい理由だけが
見付からない
ああそうか そうだよな
ハッピーバースデー 片想いの俺
出典: HAPPY BIRTHDAY/作詞:清水依与吏 作曲:清水依与吏
椅子に座ってギターを奏でながら歌う清水依与吏さん。やはり斜め上からのアングルです。
闇夜にロウソクが舞う映像が挟まり、女性が木々の中を歩くシーンに入ったところで終わります。
ショートバージョンはここまでですが、フルMVでは「時間を巻き戻したい」という願いがテーマ。
現実には叶わない話ですが、時間を巻き戻すことができればサプライズが起きるかもしれません。
それも「くだらない話」に含まれるのではないでしょうか。それでも抱きしめられない君……。
なぜなら片想いだからというわけです。わかってはいるけれど、改めてそうだと納得しています。
残念ながら誕生日でも、想いを寄せる人と急に両想いになるという展開は待ち受けていません。
そんな片想いの自分に対して「ハッピーバースデー」と祝う……切ない歌になっています。
このような誕生日を迎える人は案外多いでしょう。等身大のバースデイソングというわけです。
「好き」は痛み?
愛を知らない…
愛が何かは知らないけれど
好きと言う名前の痛みになら
詳しいかも
君にも教えてあげたいけれど結局
教わるのは俺だろう
出典: HAPPY BIRTHDAY/作詞:清水依与吏 作曲:清水依与吏
ショートバージョンのMVにはない部分ですが、引き続き歌詞を最後まで見てみましょう。
「HAPPY BIRTHDAY」の歌物語の主人公は片想いをしているので、愛についての実感がありません。
ところが誰かを「好き」という感情についてはものすごくよく知っているわけですね。
しかも好きすぎて心が痛いのでしょう。両想いなら話は別ですが、片想いなので痛みということ。
そんな片想いの相手に「好きは痛み」と伝えたくても伝わらないだろうとあきらめています。
なぜならその片想いの相手は自分のことを好きではないから……というわけですね。
できれば自分と同じように、心が痛くなるほど好きになってもらいたいところですが、切なすぎ!
この伝わらない想いが痛みとなっているので、伝わった途端に痛みはなくなるでしょう。
そのとき待ち受けているのが愛。しかし両想いを知らなければ愛もわからないというわけです。
本当は君に歌って欲しいバースデイソング
単純な名前とは?
このまま今日が終わり
明日が来れば
いつになっても縮まらない
この距離を
駆け引きにも綱引きにもならない
やり取りを
もっと単純な名前で
呼んであげられるよ
何ひとつ終われないけど
出典: HAPPY BIRTHDAY/作詞:清水依与吏 作曲:清水依与吏
「HAPPY BIRTHDAY」が主題歌のドラマ「はじこい」で、深キョン演じる主人公ずんこは鈍感女子。
心を痛めるほど自分を好きな男性がいても気づかない……そんな女性は案外多いかもしれません。
ただ自分が片想いしている側だと、誕生日に1日中そわそわしてしまう気持ちもわかるでしょう。
日付が変わってすぐではなくても、今日中に「お誕生日おめでとう」の連絡があることを期待。
まだ片想い確定ではないと信じたいわけですね。しかしこのまま連絡がなければ片想い確定です。
つまり単純な名前とは「片想い」でしょう。自覚しつつ、両想いになる可能性を夢想しています。
ただし完全なひとり相撲。明日になっても、好きという気持ちが終わるわけではありません。
距離が縮まらないということなので、日常的に接する機会はあるわけです。
どうにかならないものでしょうか。
最後に本音
つまらない言葉の繰り返しで
つじつまもきっと合ってない
物語の続きに
ひとりよがりの毎日に
ハッピーバースデー
君に言って欲しいだけ
出典: HAPPY BIRTHDAY/作詞:清水依与吏 作曲:清水依与吏
これまで切ない片想いをしている自分に「誕生日おめでとう」と言ってきましたが、本音は一言。
君に「誕生日おめでとう」と言われたい……たったそれだけでした。
そこに至るまでのまどろっこしさがバクナン節!もやもやした片想いに誰しも共感したでしょう。