大切な人からの言葉

お願いだ 涙は隠さないでくれ
お願いだ 心は失くさないでくれ
ほら ごらん 一緒にさがした
明日に僕はまだ走ってるんだよ

出典: 東京にもあったんだ/作詞:福山雅治 作曲:福山雅治

東京で少しずつ変わり始めてきた主人公。

そんな時に故郷にいる「君」からの言葉を思い出します。

それは、自分自身の感情や感覚を忘れないで欲しいという1〜2文に描かれたお願い事です。

東京はとてもせかせかした街。

時には感情を押し殺して頑張らなきゃいけない時や誰かの言葉に傷付く暇もない時もあります。

それを「君」は、なんとなく分かっていたのでしょう。

けれど、故郷にいる時に一緒に夢を思い描いていた純粋な主人公に感情を押し殺して欲しくはなかったのです。

「大丈夫、僕は変わっていないよ」

そんな、主人公が「君」に伝えたい想いが最後の2文には込められています。

東京に染まった主人公

次に2番の歌詞をご紹介します。

ここで描かれているのは、東京にきてしばらく経った主人公の姿。

どうやら主人公は東京という街にすっかり染まってしまった様子です。

そんな自分に対する主人公の想いや、「君」との関係性の変化に注目してみましょう。

美しい景色と汚れた自分

東京にもあったんだ
こんなキレイな夜空が
おかしいね 涙こぼれてる
君に逢いたいな

出典: 東京にもあったんだ/作詞:福山雅治 作曲:福山雅治

東京では田舎で見るような星空は見ることができません。

何故なら、東京の街並みが明るすぎるからです。

そのため田舎から上京してきた人は夜空を眺めて切なくなる時があるのではないでしょうか。

しかし、東京には美しい夜景が存在します

色とりどりに輝くビルと共に見える夜空は、圧巻です。

しかし、何故か主人公は胸が切なくなった様子。

それは美しい景色と対比され、東京に染まってしまった自分が汚れているように思えたからでしょう。

純粋に美しいものを美しいと思える自分を見失っていたのです。

自分自身を押し殺してまで追いかけている夢もなかなか叶いません。

東京で負けてしまいそうな主人公は「君」を想います。

「君」との別れ

ときどき忙しすぎて
僕に迷ったり 君にも怒ったり
生きるために傷付くこと
この街のルールに
もう少し 逆らうよ
お願いだ 涙は隠さないでくれ
お願いだ 心は失くさないでくれ
ありがとう 一緒に泣いてくれた
君はね 青春のゴールだったよ

出典: 東京にもあったんだ/作詞:福山雅治 作曲:福山雅治

1〜2文に描かれているのは、近頃の主人公。

大切な人に優しくできていた自分自身はもうどこにもいませんでした。

そして、主人公は東京の夜空を眺めてあることを決意します。

それは少しの間だけ昔の自分に戻って、「君」に別れを告げることです。

東京で夢を追う主人公にとって「君」は必要な存在でした。

けれど、今の自分は夢を追うことにかまけてばかりで「君」に優しくすることもできません。

それなのに「君」を繋ぎ止めておくことはただのエゴ。

それこそ、東京に染まりきった汚い自分になってしまいます。

だったら「君」と潔く別れることが最後にしてあげられる優しさだと主人公は思ったのです。

サビの部分では、共に青春時代を歩んだ「君」との思い出を噛みしめる主人公の気持ちが伝わってきます。

最後に「君」に見せた主人公の優しさに胸が苦しくなるのではないでしょうか。

再び夢を追う

2番では「君」との別れを決断した主人公。

その後の主人公は東京でどんな暮らしをして、どんな想いを抱えているのでしょうか。

最後の歌詞では、夢を再び追いかける主人公の姿が描かれています。

東京にきたことへの後悔

ねぇ わかってたんだよ
わかってたんだよ
わかってるんだよ...

出典: 東京にもあったんだ/作詞:福山雅治 作曲:福山雅治

繰り返し「わかってた」と自分に言い聞かせているような言葉が連なる歌詞

主人公は一体何をわかっていたのでしょうか?

色々なことが考えられます。

東京にきて自分が変わってしまうであろうこと、「君」と別れることになるであろうこと。

そして、何より自分の実力に限界があることや才能がないこと。

主人公はそれらすべてを覚悟して東京にきたつもりでした。

それでも、実際に目の当たりにしたら耐えきれないほどの苦しみに襲われてしまったのです。

一人ぼっちで東京にきたことを後悔しそうになっている主人公は、夢を諦めてしまうのでしょうか?

美しい夜明け