男が泣きたい気持ちになるのはどんな時?
人には強がって見せていても、心の中では泣きたいことがあるのではないでしょうか?
待っている男に対して、『泣け』という言葉かけをしています。
怒りでも、悲しみでもなく、大の大人の男が『泣きたい』のはどんな時でしょう?
そこには、言い知れない『孤独感』があるのではないかと思います。
自分一人で思い荷物を抱え込んでいる時、人は泣きたいのではないでしょうか?
海を持ち出しながら、実は男は「俺はお前の全てを受け止められる」と伝えたいのでしょう。
魂の叫びと、すがる思い
俺の俺の俺の話を聞け! 2分だけでもいい
お前だけに 本当の事を話すから
出典: タイガー&ドラゴン/作詞:横山剣 作曲:横山剣
話を聞いて欲しい気持ちが強すぎて、要求時間が半分以下になっています。
どうしても、他の誰でもなく呼び出している男に話を聞いて欲しいのです。
自分の言い分を、本当の気持ちを、伝えたいのでしょう。
今まで誰にも話せなかった本当の気持ち、自分の思いを。
何故なら、待っている男だけはわかってくれると信じているからです。
相反する二人の自分の戦い
背中で睨み合う 虎と龍じゃないが
俺の中で俺と俺とが闘う
出典: タイガー&ドラゴン/作詞:横山剣 作曲:横山剣
自分の中で戦う二人の真逆な自分。
どちらも凶暴で力があるのです。
どんな人の中にも相反する自分は存在するかもしれません。
しかし、この男の場合は外に向かう力が強すぎます。
荒くれ者なのです。
だから、その真逆にある、荒ぶる自分を引き留める力も強いのでしょう。
一人は、やらなければやられるという価値観です。
競い、争い、踏みつけることが正義だと思っています。
しかし、鏡の向こう側では、争う自分を激しく非難するのです。
暗い夜に光る月のように
ドス黒く淀んだ 横須賀の海に浮かぶ
月みたいな電気海月よ ハッ!
出典: タイガー&ドラゴン/作詞:横山剣 作曲:横山剣
黒い海と輝く月を思わせるフレーズ。
黒は汚れ切った状態を表しているようです。
それはきっと、自分の周りの世界、この男から見た世の中でしょう。
それでも、その黒い海にも月が輝くのです。
暗い夜空を照らす月。
それは、男にとって、信じらない世の中で、信じられるものを指すのでしょう。
この男にとっては、待ちわびている男が暗い夜を照らす月なのかもしれません。
長瀬智也と岡田准一が見せるドラマ「タイガー&ドラゴン」の世界
「タイガー&ドラゴン」の歌をモチーフに、2005年にはドラマが制作されました。
ドラマの中の主人公の二人、長瀬智也演じる山崎虎児と岡田准一演じる谷中竜二。
この二人は、ともにアンバランスな人間として描かれています。
虎児(とらじ)は、ヤクザの出世街道を行きながらも落語に感動し入門するのです。
竜二(りゅうじ)は、落語で天才的な才能を持ちながら、その道を閉ざされました。