「黒いブーツ~oh my friend~」
8枚目のシングル
「黒いブーツ」は1998年にリリースされたSOPHIAの8枚目のシングルになります。
キャッチーなメロディーでPVにはオリジナルの振り付けもあります。
曲調も明るいのでノリノリの楽曲に思えるのですが、歌詞の意味を知っていくと印象はガラッと変わると思います。
実は、この楽曲はある人物のことを想って書かれたものなんです。
タイトルの「黒いブーツ~oh my friend~」を見るとなんとなくわかるでしょうか?
“oh my friend”
そうです!!友人のことですね。
身近な友人をモデルにして楽曲制作をする方は結構いらっしゃいます。
パッと思い浮かんだのは、あいみょんの楽曲「◯◯ちゃん」ですね……!!これもあいみょんが友人をモデルにした歌でした。
ちなみに「黒いブーツ」はSOPHIAのギターの豊田和貴さんが昔一緒に音楽をやっていた仲間で、ボーカルの松岡充さんとも仲の良い友人がモデルになっています。
同じ音楽で繋がった友達なので、2人にとって、きっとかけがえのない存在のはず!!
しかし、残念ながら彼はもうこの世にはいないのです……。
悲しいエピソードとは?
2人の友達である「黒いブーツ」のモデルになった方は、若くして交通事故で亡くなってしまったそうです。
同じ夢を見ていた仲間を失うのはとても辛く、受け止めたくない現実だったと思います。
そのときの想いを歌詞にのせて、楽曲を作り、SOPHIAが演奏し続ける……それは彼が確かに生きていたという証になりますよね。
綺麗な比喩表現の歌詞が多いSOPHIAの楽曲ですが「黒いブーツ」の歌詞は他のものに比べるとストレートな表現が多いように感じます。
それは、作詞を担当した松岡さん自身が親しい友人を失った悲しみをそのまま表現しているからだと考えられます。
作られた言葉ではなく、そのときに感じたありのままの気持ちが「黒いブーツ」の歌詞になっています。
歌詞を見ていくと、彼の人間性だったり、生きてきた様子が思い浮かびます。
悲しいエピソードから生まれた楽曲ですが、この歌詞の中には、彼の魂が込められているんじゃないかと思います。
そんな「黒いブーツ」の歌詞を紹介していきます。
「黒いブーツ~oh my friend~」の歌詞
あいつはこんな奴だったな〜
ブリーチしたり黒い髪だったり
束ねて円メガネ両耳にピアスだらけ
でもベロには開けない痛いから
カバンを安全ピンで留めて
MAKE UP FACE伸びきったTAPE "ZIGGY STARDUST"
どこからかくすねた 春四音
出典: 黒いブーツ~oh my friend~/作詞:松岡充 作曲:松岡充
この歌詞を見るだけで2人の友人の彼の姿が浮かんできますよね。
髪色は気分でコロコロ変わり、束ねられるくらい長い髪の毛。
そしてピアスがたくさん……いかにもロックっぽいイメージですね〜♪♪
"ZIGGY STARDUST"というのは、デヴィッド・ボウイの楽曲のことを表しています。
何度も繰り返し聴いている様子から、きっと彼の音楽活動のルーツになっていたのだと思われます。
女ばかりの家庭で育って
誰よりも強くなろうと決めたお前
切れた薄い口唇噛かみながら
言うよ「つまづいた」
出典: 黒いブーツ~oh my friend~/作詞:松岡充 作曲:松岡充
家族には女しかいない、自分は男だから家族を守っていかなくてはいけない……。
その為に強くなりたい!!そんな優しい心を持っている彼の様子がわかります。
誰に会わせても愛想の悪いお前
愛想をつかしかけてた俺に
お前の mama は初めて
さみしそうに言った
「また来てね」
出典: 黒いブーツ~oh my friend~/作詞:松岡充 作曲:松岡充
家族を思う気持ちはありながらも、どこか不器用な彼。
世間を渡り歩くのがちょっと苦手だったのかもしれません。
でも、どんなにぶっきらぼうでも、家族は決して彼を見捨てず、“こんな息子だけど仲良くしてね”と言います。
母親の息子への想いが伺えました。
教えてくれよ!
いつかお前が言ってた人生に
もしも勝者と敗者がいるのなら
お前は俺に何て言うのかな
聞こえない
出典: 黒いブーツ~oh my friend~/作詞:松岡充 作曲:松岡充
ともに音楽を志ざした仲間が交通事故で亡くなってしまいます。
きっと夢を一緒に語り合ったこともあったことでしょう。
もしも、彼が生きていたら有名なアーティストになって、SOPHIAとおなじステージで共演できていたかもしれません。
勝者と敗者。彼にはもう答えを聞くことができないけれど、音楽の道を進み続けた松岡さんと豊田さんの姿は彼にはどう映るのでしょうか?
明確な定義はないけれど、夢を追い続けている限り、勝者だと思います。
2013年にSOPHIAが活動を休止しても、松岡さんと豊田さんはミカエルという新たなバンドで今も音楽活動を続けています。
自分のため、ファンのため、そして亡くなった彼のために、これからも音楽活動を続けていって欲しいですね。