クールなサウンドと熱い歌詞
フェアリーズの『Synchronized 〜シンクロ〜』を聴いてまず感じるのは、「最高にクール!」ということでしょう。
疾走感あふれるサウンドでありながら決して突っ走ったりはせず、終始スマートな姿勢を崩さない。
性別に関係なく憧れてしまう格好良さがこの曲にはあります。
しかし歌詞を読み解いていくと、そこにはクールなサウンドからは考えられないくらいの雑草魂が込められていました。
がむしゃらに夢を追いかけたり、辛い時も強がって平気な振りをしたり...。
良い意味で青臭さを感じるフレーズが多く歌われています。
なんでもスマートにこなしているように見えるけれど、実は誰も知らないところでかなりの努力をしている。
この曲の主人公はそんな人物なのかもしれません。
クールなサウンドに包まれた、体を震わせるほどの情熱。
一見正反対に見えるこれら2つの組み合わせが、きっとこの曲の格好良さの秘密なのでしょうね。
「格好良い」が詰め込まれたMV
この曲のMVで注目したいのは、やはり何といってもキレキレのダンス。
改めてフェアリーズのダンスレベルの高さを感じさせられますね。
また1つ1つのシーンに合わせたメンバーの表情も、ダンスと同じくらい見ていて引き込まれます。
ある時は挑発的に、またある時は無邪気な笑顔で曲を盛り上げる彼女たちの表現力の高さに脱帽です。
そして大人っぽさと可愛さを兼ね備えた衣装も、この曲のイメージと非常にマッチしています。
ピンクがメインカラーの時は、己の道をまっすぐ突き進んでいく格好良さ。
ゴールドがメインカラーの時は、内面の強さとセクシーさを感じさせる格好良さ。
いろいろな「格好良い」が詰め込まれたMVになっています。
主人公と「君」の関係
この曲の主人公には、自分にとってとても大きな存在である「君」が登場します。
主人公と「君」はどういう関係なのか。
それについて考察すると、この曲で歌われていることの真実が見えてきました。
「君」のいない未来を受け入れた
雑踏のソリチュード
木枯らし 向かい風
君がいないだけで 街中がアウェイ
それでも私は
顔上げて前を向く
正念場は すなわちチャンス
出典: Synchronized 〜シンクロ〜/作詞:shungo. 作曲:Shinpei Nasuno・Kotaro Odaka
人混みの中に1人で立っていると、言葉にならない孤独(ソリチュード)を感じることがあります。
それはきっとたくさんの人であふれている世界の中で、一番会いたい人を見つけられずにいるからでしょう。
冷たい風にさらされながら、主人公は自分だけが誰とも繋がれずにいるように感じているのかもしれません。
「君が~」の歌詞では「君」という存在が主人公の中でどれほど大きなものであったかがうかがえます。
そして主人公と「君」は理由あって離れ離れになってしまったようですね。
どんな事情があったにせよ、「君」が傍にいないということは主人公に深い悲しみを与えたはず。
しかし今の主人公は、その悲しみを乗り越えて前を向こうとしています。
それはつまり、主人公が「君」のいない未来を受け入れたということ。
孤独に屈しない主人公の強さは、もしかしたら「君」がくれたものだったのかもしれません。
「君」とは恋人同士だった?
背中合わせの
「好き」と「嫌い」
[一方的サヨナラが実感にならないよ]
愛をリフォーメーション
寂しさをニュー・ルーティーンにして
“同調”を律し、凌駕(りょうが)する
“同調”を律し、凌駕(りょうが)する
出典: Synchronized 〜シンクロ〜/作詞:shungo. 作曲:Shinpei Nasuno・Kotaro Odaka
ここの歌詞で気になるのは、「同調を~」の歌詞。
この歌詞を読み解くことが、曲に込められたメッセージを紐解くためのキーポイントになりそうですね。
まず考えたいのが、主人公と「君」がどういう関係だったのかということ。
「背中合わせの~」の歌詞から考察すると、恋人同士だったと考えるのが自然でしょう。
主人公は「君」のことを憎んでしまいそうになるほど愛していました。
しかし「君」の気持ちは主人公と違っていたようで...。
同じ気持ちになれなかった。その事実を受け入れて乗り越える。
それが「同調を~」の歌詞に込められた意味なのかもしれません。
2人で描いた夢
シンクロさせてく
心と体を
ほとばしるのは涙じゃなく、汗
白黒つけましょう
一緒に見た夢
諦めたら 許しはしないから
出典: Synchronized 〜シンクロ〜/作詞:shungo. 作曲:Shinpei Nasuno・Kotaro Odaka
サビの歌詞ではタイトルにもなっている「シンクロ」という言葉が歌われています。
本音を隠さず、ありのままの姿で生きていきたい。
しかしそういっておきながら、「ほとばしる~」の歌詞からは主人公の強がりを感じます。
やはり主人公の中にはまだ「君」への未練が残っているのでしょう。
だからこそはっきりさせておきたいのが、「君」の気持ちです。
君が私を捨てたのは夢のため?
主人公がそう考えるのは、「君」と共に描いた夢があったからです。
けれどその夢は2人で叶えるには難しいものだったようですね。
主人公は「君」が自分よりも夢に執着していたことを知っていたのでしょう。
「一緒に~」の歌詞は、主人公が「君」にかけた最後の言葉だったのかもしれません。