TM NETWORK「Get Wild」の歌詞の意味とは?胸アツの世界観は「シティーハンター」の投影の画像

TM NETWORKは84年、ニューウェイブ、エレクトロニカのグループとしてデビューしました。

当時、邦楽のヒットチャートには演歌や歌謡曲に混じり、「ロックバンド」が顔を出し始めます。

例えば、83年には「ワインレッドの心」で安全地帯がブレイク。

85年には「ff(フォルティシモ)」でHOUND DOGが、「フレンズ」でレベッカがシーンに躍り出ます。

TM NETWORKも、そんなムーブメントを担うバンドとして登場しました。

シングル「金曜日のライオン(Take it to the Lucky)」

そして、アルバム「RAINBOW RAINBOW」を同時発売するという破格の待遇でのデビュー。

84年には、北海道地区でヒットした2ndシングル「1974(16光年の訪問者)」をリリースします。

しかし、彼らの活動形態は、メンバーそれぞれが自分の持ち場をこなすことに徹する「音楽ユニット」。

全国区のヒット曲がない中、バンドとしての認知度、存在感も今ひとつでした。

転機が訪れたのは86年。ほぼ無名だった小室哲哉が渡辺美里の「My Revolution」を作曲

「ユーロビート」と呼ばれる、電子楽器のダンス・ミュージックが流行した時期とも重なります。

日本のロックも、コンピューター・サウンドにアプローチするように。

「Get Wild」はコンピューターに軸足を置く稀有な立場で、新たなロックを提案してみせました。

既成のロックに強烈な「カウンターパンチ」を繰り出したのが、TM NETWORKだったのです。 

革新的なサウンドメイク

スネアドラムのないロック

「Get Wild」で特筆すべき点はメロディーもさることながら、サウンドメイクの手法の斬新さです。

最大の特徴は、リズムからスネアドラムを排したということです。

80年代後半は、ビートロック全盛の時代。

「ズッタン、ズズタン」の「タン」の部分にあたるスネア。

シンバルとバスドラムだけでロックを演奏することなど、当時はあり得ない発想でした。

しかし、TM NETWORKは電子ドラム、シンセベースを駆使し、シンプルなサウンドを見事に成立させます。

「Get Wild」が持つ独特の疾走感は、そうした工夫から生まれたものなのです。

数奇な運命

オリジナルアルバムには未収録

TM NETWORK「Get Wild」の歌詞の意味とは?胸アツの世界観は「シティーハンター」の投影の画像

「Get Wild」リリースから3カ月後の87年7月。

TM NETWORKは初のベストアルバム「Gift for Fanks」を発表します。

「Get Wild」は、その1曲目を飾っています。

「Get Wild」のカップリング曲「Fighting(君のファイティング)」

アニメ「シティーハンター」の挿入歌となったこの曲は、4thアルバム「Self control」に収録されています。

しかし、「Get Wild」は、どのオリジナルアルバムにも収録されていません。

「Get Wild」がリリースされた当時のこと。

「この曲が入ったアルバムは、さぞスゴイに違いない!」と想像したリスナーは、少なからず存在しました。

しかし、87年2月に出ていた「Self Control」には見当たらず。

「Gift for Fanks」を経た、同年11月発売の5thアルバム「human system」にもありませんでした。

これほどの曲が「看板」となったオリジナルアルバムが存在しないのは不思議で、寂しい気も。

ところが「Get Wild」は「シティーハンター」と共通する、数奇な運命をたどります。

どちらの作品も世紀をまたぎ、驚くほどの進化を遂げることになるのです。

進化する「Get Wild」

「シティーハンター」と共に

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89年、海外の音楽プロデューサーの手でリミックスされた「Get Wlld '89」が登場。

TM NETWORKの19枚目のシングルとしてリリースされます。

93年には「Get Wlld '89」を基にした「Get Wild(techno overdub mix)」が完成。

99年のTM NETWORK再始動時にも、セルフカバーの「GET WILD DECADE RUN」が発売されました。

その後も「Get Wild」のリミックス、ライブバージョンを丸ごと1枚に収めたアルバムが出たりしています。

奇しくも「シティーハンター」も、同様の進化を遂げることに。

通算4回のテレビアニメ化と、3度のスペシャル放送が実現。海外では実写映画まで制作されました。

その人気は今なお根強く、2019年2月には劇場版アニメが全国で封切られる予定です。

「Get Wild」も「シティーハンター」も、さまざまな形で進化を続けてきたのです。

両者が巡り合ったことは、必然だったのかもしれません。

まとめ

この曲も進化

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「human system」に収録された「BE TOGETHER」

当時、BOØWYの「B・BLUE」に対抗して制作されたというキャッチーな曲です。

99年に鈴木あみがカバーし、オリジナルとは一味違った魅力を引き出しました。

歌詞も解説したOTOKAKEライターの記事を、ぜひ読んでみてください。

オーディション番組からデビューした鈴木あみがわずか1年で180万枚の大ヒットを記録。プロデューサーの小室哲哉は新曲ではなく12年前のカバーで勝負をかけました。TM NETWORKのオリジナルを超えたヒットナンバーの魅力をその背景と歌詞から分析します。

小室哲哉の世界観を