「熱き心に」の動画は何本もあるのですが、その中から1986年10月15日のものをご紹介しましょう。
明治大学混声合唱団が加わり、ナイアガラサウンドが更に輝きを増しています。
ちなみに明治大学は阿久悠の母校でもあり、学内には「阿久悠記念館」があります。
いかがでしたか?
この壮大さ、雄大さ、圧倒的なスケール!!
ラストで転調した後のフレーズを聴くたび、筆者はいつも猛烈な感動に襲われるのです。
1番の歌詞「春には花咲く日が」の部分を間違えているのには目をつぶってください……。
美しく雄大な北国で、熱い想いが燃え上がる
それでは、ここから歌詞をじっくり読みこんでいきましょう。
ゆったりしたメロディに乗せて歌う小林旭の歌唱を思い起こしながら、お付き合いください。
壮大な風景の下、別れたひとへの想いに胸を焦がす
北国の旅の空 流れる雲 はるか
時に人恋しく
くちびるに ふれもせず
別れた女(ひと) いずこ
胸は焦がれるまま
出典: 熱き心に/作詞:阿久悠 作曲:大瀧詠一
最初の1行は文字で読むより、実際に「き~たぐ~にぃ~の~」と口ずさんでみたい部分です。
このなんともいえないゆったり感が、大地と空の大きさを鮮やかに想起させます。
人恋しさを感じる季節といえば、秋か冬でしょうね。
北国という言葉が出ているので、ここはやはり冬なのかもしれません。
別れた女性とは、とても清い関係だったようです。
彼女への焦がれるような想いを抱きつつ、北の旅人となった男性。
遥か彼方に流れゆく雲を眺め、この後彼は何を思うのでしょうか。
時は過ぎても変わらぬ「熱き心」
熱き心に 時よもどれ
なつかしい想い
つれてもどれよ
出典: 熱き心に/作詞:阿久悠 作曲:大瀧詠一
彼女と過ごした時間は容赦なく過ぎ去りました。
胸の中で燃える心は以前と変わらないけれど、想い出はやはり過去のもの。
かといって自分自身が過去に戻り、そこで想い出の世界に浸りたいわけではありません。
今を生きる自分のもとに、時間がなつかしい想い出を連れて戻ってこい、という部分です。
過去への逃避を是としない、凛とした姿を思わせます。
春夏がもたらした甘い日々の回想
ああ 春には花咲く日が
ああ 夏には星降る日が
夢を誘う 愛を語る
出典: 熱き心に/作詞:阿久悠 作曲:大瀧詠一
甘やかな夢、交わされる愛の言葉。
共に過ごした、春夏のめくるめく日々を回想しているのでしょうか。
なんともロマンチックで、美しい表現です。
更けゆく夜、つのる想い
熱き心に きみを重ね
夜の更けるままに
想いつのらせ
出典: 熱き心に/作詞:阿久悠 作曲:大瀧詠一