スタイルの垣根を越えて「水野あつ」見参!
「水野あつ」という、人気は高くも謎に包まれた男性シンガーソングライターがいます。
2019年より活動をスタートさせたということ以外、プロフィールもほとんど明かされていません。
TikTokで曲がバズって人気に火が点いた彼、その魅力は一体どこにあるのでしょう。
ポップやクラシックなど、音楽には様々な形態があるかと思います。
さらに現在では、音楽に触れられる手段も多岐に渡っています。
ラジオやCDだけでなく、配信サービス、YouTubeやTikTokもそうです。
それらの手段のどこにでも彼、水野あつは現れるといわれています。
CDも出すし、TikTokで話題沸騰かと思いきや、YouTubeのチャンネルにも出演するという多才ぶり。
幼少期から楽器に触れやすい環境にあり、かつてはピアニストを夢見たこともあったようです。
【もしも流れ星が落ちたら】は彼のそんな一面が窺える、ピアノの高音が印象的な楽曲でもあります。
優しい歌声が大好きという声も多く、撫でるようにソフトな歌い方にも注目しましょう。
世界が終わる前夜を彷彿とさせる歌詞を、謎を解くように解釈していきたいと思います。
「君」に注がれる「僕」の優しい想い
星の瞬きを思わせるようなピアノのイントロが、この曲のスタートです。
冒頭の歌詞は、「僕」が「君」に語りかけるスタイルで歌われています。
見せる弱さはほんの一瞬
僕は見てるよ
君の弱いとこを
それは刹那光る
流れ星みたいだ
出典: もしも流れ星が落ちたら/作詞:水野あつ 作曲:水野あつ
最初のパートで聴き手はまず、「君」がどんな女の子であるのかを知ることになります。
彼女にはどうやら、「僕」だけが知る弱さがあるようです。
しかしそれはごくごくわずか、注意していないと見逃してしまうくらいのものなのでしょう。
引用歌詞の後半部を見ると、それがよく分かるかと思います。
夜空に尾を引いて輝く、まるで流れ星のような彼女の弱さを垣間見る僕。
それは、彼が彼女を注意深く見ているということの証明にもなります。
僕は君の強さを知ってるよ
僕は見てるよ
その強い眼差しを
大丈夫
僕は見てるよ
君は臆病じゃない
夜空が綺麗だね
そろそろ寝ようか
僕は見てるよ
いつも頑張ってるとこ
素敵だよ
出典: もしも流れ星が落ちたら/作詞:水野あつ 作曲:水野あつ
彼女のことを、いつも注意深く見ている彼です。
その目に映るのは、弱さばかりではないのでしょう。
瞬きしている間にも消えてしまいそうな弱さとは対照的に、彼女の強さはしっかりと見えているようです。
「大丈夫」というフレーズで、「僕」は彼女のことを慰めているような場面が想像できませんか。
誰も私のことを見てくれないのといじけるのを、そんなことないよと反論しているのです。
他の誰が見ていなくても僕はちゃんと知ってるよと、そうとも言いたいのかもしれません。
引用歌詞の3パート目が入ることで、雑談しているような雰囲気も感じられます。
一度は別の話題を挟んだけれど、やっぱり最後には彼女を肯定する言葉があるのもリアルに思えます。
そんな情景を思い起こさせるのは、水野あつの歌声あってのことでしょう。
とうとうと語りかけるような歌声が水面を撫でるそよ風のように、心に優しい波紋を広げてくれます。
やっては来ない明日のことも笑って話そう
ねえ明日
地球が終わったら
君は何をしてると思う
僕はこの星に
生まれて良かった
出典: もしも流れ星が落ちたら/作詞:水野あつ 作曲:水野あつ
このパートで、世界の滅亡を思わせる歌詞が唐突に現れます。
MVは満天の星空を見つめる男女の映像から始まるので、よもや、そんなことが起こるとは想像できません。
明日、世界が終わると考えると、MVの映像にも胸を締め付けられるような気がします。
どうにもならない現実を前に、せめて最後は想い合う相手と過ごしたいということでしょう。
しかし、引用した歌詞の前半部を聴いて、「ん?」と思った人はいませんか。
世界が滅亡すれば、おそらくは彼らも無事では済まないでしょう。
それなのになぜ、そんな問いかけをするのだろうかと思いませんか。
デートの予定を話すかのようなこのシーンには、さり気ないからこその切なさを感じてしまいます。
きっと「僕」は、自分たちの上に明日の太陽が昇ることはないと分かっています。
だからこそ、笑って話したいのかもしれません。
失われる未来の話を明るくすることで、心穏やかにありたいのではないでしょうか。
世界が終わる前に「僕」が思うこと
こんな弱さを
見せた僕だから
神様に怒られちゃうね
目を覚ましたらこの星と
全部 全部さよならだよ
届かないの想いを
掃き溜めて
宙の星に思い馳せた
この街が終わったとてさ
ずっと ずっと愛してるよ
出典: もしも流れ星が落ちたら/作詞:水野あつ 作曲:水野あつ
【もしも流れ星が落ちたら】の、サビパートに突入します。
こちらのパートは今までの部分と比べ、抽象的な表現の歌詞が特徴的です。
世界の終わりを目前にして、「僕」は彼女に何を思うのでしょう。