「銀河鉄道の夜」の歌詞を独自解釈!~①研ぎ澄まされた視覚~

今回この記事にて紹介させていただきますのは、GOING STEADYの楽曲銀河鉄道の夜」。

作詞作曲はともにGOING STEADYのボーカル&ギター担当のミネタカズノブによるものです。

それでは早速、歌詞の独自解釈をご覧くださいませ!

視覚に特化!

日々ひび割れ柿ノ実 夕焼けて夜は来た
空水色オーロラ 蜂蜜に濡れた月
赤レンガ煙突の上 ガイコツが踊ってる

出典: 銀河鉄道の夜/作詞:ミネタカズノブ 作曲:ミネタカズノブ

曲のタイトルやこの歌詞の1行目からも分かるように、描かれる舞台は夜の世界となります。

「Hibi」という言葉が掛詞(かけことば)として連続することで始まりを告げる歌詞

それはまるで、朝昼夜と当たり前のように連続する1日を模倣したかのよう

夜の世界は昼の世界とは大きく異なり、できること、感じ取れることが限定されます。

昼間は盛んであった生命活動が一旦落ち着き、小さくなる音や匂いといった刺激。

聴覚や嗅覚に頼れないともなれば、我々が最も敏感に感じ取れるものは視覚情報になります。

情報過多ともいわれる今の時代だからこそ、このような夜の世界は新鮮そのもの。

目に見えるものの色や形だけに焦点を当てることによって、何気ない日常も美しいと認識することでしょう。

近年は多くの発明によって夜も便利に活動ができるようになりました。

だからこそ逆に、自然の美しさに対する感性が鈍ってしまったのではないでしょうか。

ミネタは本曲によって人生を楽しむ方法の1つをシンプルに提示してくれているように思えます。

6色のストーリー

上の歌詞の1行目では、夕焼けや柿の「オレンジ色」と夜の「黒色」が登場します。

青く平凡な昼の空色が一変、短時間で崩れ落ちて真っ暗に。

そんな中でも活動や現象がきらめいている様子が2行目に綴られていますね。

星の瞬きやオーロラといった「水色」に近い天体ショー、さらには月の「黄色」が夜の闇に抗います。

3行目ではささやかな人間活動が夜の世界に微々たる色づけをしている様子が…。

レンガの「赤色」、その煙突から噴き出る煙は「白色」のガイコツに例えることができるのでしょう。

ミネタは夜の一枚絵から6色を切り出し、歌詞としてストーリーを紡いだのでした。

「銀河鉄道の夜」の歌詞を独自解釈!~②2人だけの時間~

ハロー今君に素晴らしい世界が見えますか
北風は吹雪くのを止め カシオピア輝いて
恋人達は寄り添って静かに歌うのでした……

出典: 銀河鉄道の夜/作詞:ミネタカズノブ 作曲:ミネタカズノブ

幻想的な世界を発見した感動は、大切な人と共有したいもの。

恋人と眺め、歌い語り合うひと時は極上の時間となることでしょう。

その様子がこの歌詞に表されています。

詳しく考察していきましょう。

特別な時間

どれだけ親しい仲であったとしても、お互いが感じ取っている感覚は異なるものです。

自分には自分の、相手には相手の五感があり、それによって別々の感動体験をしているといえるでしょう。

異なるからこそ問いかけてみるのです。そして、問いかけるからこそお互いの距離はより近づくのです。

しかしせっかくの幻想的なムードを壊してしまっては勿体無いので、会話をするときは声量は控え目に…。

この微笑ましいやり取りは「喋る」というよりは「歌う」という表現が適切なのです。

世界の祝福

そんな2人の歌を遮らないようにと、風が止まり一時的な凪(なぎ)状態になりました。

幸せなカップルを照らすのは、遥か遠くの恒星たちの輝き。

上の2行目の歌詞は、世界が2人を祝福してくれている描写に感じられます。