アルバム『がらくた』に収録
『がたくた』は桑田さん5枚目のアルバム
長年、サザンオールスターズのフロントマンを務める桑田佳祐さん。
桑田さんはソロアーティストとしても活躍していますね。
今回紹介する『オアシスと果樹園』。
こちらは桑田さん5作目のアルバム「がらくた」に収録されている曲です。
『オアシスと果樹園』は、桑田さんお得意のメロディーと歌詞が特徴的。
今回はこの曲のタイトルと歌詞を重点的に解説していきます。
まずはじめにタイトルの意味から考えていきましょう。
タイトルを考える
どちらも恵みあるもの
タイトルは『オアシスと果樹園』。
インパクトの強いタイトルだと思います。
このタイトルを見てまずはじめに思い浮かぶのが「オアシス」と「果樹園」。
筆者は「砂漠のオアシス」と「リンゴがなっている果樹園」を思い浮かべました。。
「オアシス」と「果樹園」には共通していることがあります。
それはどちらも恵みあるものだ、ということです。
「オアシス」は「水が湧き出る泉」。
「果樹園」は、「自然の恩恵を受け、育った果物がなっているところ」。
ちなみに歌詞中には「オアシス」は登場しますが「果樹園」は登場しません。
この曲は恋愛がテーマ。
文字通り「オアシス」と「果樹園」が舞台の曲ではありません。
とするとこの2つの単語は何かを表す「比喩」だと思います。
歌詞に登場する主人公は男性。
男性は、ある女性に恋しています。
おそらくこの2つの単語は、その女性との関係を形容するためにある単語なのではないでしょうか?
また、「オアシス」と「果樹園」は対照的です。
「オアシス」のイメージは水。
「果樹園」のイメージは土。
どちらも恵みあるものという意味は同じですが、最初に受けるイメージは全く違いますね。
『オアシスと果樹園』を聴いてみよう
MVを視聴しよう

いかがでしたでしょうか?
この動画はMVですが、途中にアルバム『がらくた』の宣伝が入っています。
まず冒頭から1番目の終わり(1:26秒)。
途中差し挟まれる箇所を除くと、2番目のはじまりは2:28秒からです。
桑田さん独特のサウンド。
イントロのシンセサイザーによる下降フレーズ。
アコースティックギターの音が前面に出ています。
ピアノが出す低音も印象的ですね。
Aメロのメロディーは歯切れが良いです。
Bメロはかなり抒情的で、桑田さんにしか作れないフレーズ。
サビでまた歯切れの良いフレーズに戻ります。
そして、緩急がハッキリしているメロディーはどこか懐かしい印象をリスナーに与えます。
桑田さんが音楽的に影響を受けたのは昭和歌謡や洋楽。
『オアシスと果樹園』を聴くと、そのどちらの影響も窺い知ることができますね。
『オアシスと果樹園』歌詞解説
Aメロ
遥か旅路へ国際航路は
上へ上へと雲を掻き分けて
光一閃 空に虹を架けた
恋はブルーの便箋ひとつ
言葉言葉に愛をしたためて
こんな男が今も君を想う
出典: オアシスと果樹園/作詞:桑田佳祐 作曲:桑田佳祐
最後に『オアシスと果樹園』の歌詞を紹介します。
まずはAメロ。
詩的な表現ですね。
そして描かれている情景がイメージしやすいです。
1行目の歌詞にあるような固有名詞を出して、この曲の情景をリスナーに理解させる。
レベルが高いテクニックを使っています。
さて、ここで描かれている視点はいったい誰の視点でしょうか?
おそらく主人公の視点だと思います。
主人公は空港で誰かを見送ったのでしょう。
ちょうどそのシーンから『オアシスと果樹園』がはじまります。
飛行機が上昇するにつれ、雲間から日が差してくる。
いままで曇っていた空が徐々に明るくなります。
雨が止んで虹が架かる滑走路。
主人公は感慨深げに、その景色を見渡します。
彼はいったい誰を見送ったのでしょうか?
7行目の歌詞をご覧ください。
ここを見るとその答えが分かりますね。
主人公は恋人を見送ったのです。
文脈から推測すると、この情景は主人公にとってあまり好ましくない情景だと思います。
女性と離れ離れになる期間が長いのか。
もしくは、もう女性とは会えないのか。
そのどちらかなのでしょう。
5行目の歌詞に登場する色が、主人公を運命づけているような気がしてなりません。
恋愛のイメージでいうと「青」は「悲恋」を象徴するからです。