ぼくは古い電燈 砂漠の真ん中でひとり
空に穴が開いて 灯りが漏れる夜
出典: 旅人電燈/作詞:米津玄師 作曲:米津玄師
この曲は「電燈」が主人公です。
主人公というからには、「電燈」が人間でなくてはいけませんね。
それは「ぼくは古い電燈」という歌詞が示している通りです。
「砂漠の真ん中」というのも比喩だと思います。。
おそらく、「電燈」が「孤独」であることを表現するために「砂漠」という表現を使ったのでしょう。
「空に穴が開く」というのも比喩ですね。
「穴が開く」と、その周りは真っ黒になります。
それを考えると「空に穴が開く」というのは「夜になること」という意味ですね。
Aメロ2回目
凍えた砂の上 墓標の立ち並ぶ場所で
息を吸い込んだ 肺いっぱい吸い込んだ
出典: 旅人電燈/作詞:米津玄師 作曲:米津玄師
続いて2回目のAメロです。
ここでも「電燈」が「孤独」であることを表現した言葉であふれています。
「凍(こご)えた砂の上」、「墓標(ぼひょう)」。
どちらもそういう表現です。
「息を吸い込」むのは「自分(電燈)が生きていることを逐一(ちくいち)確認するため」。
彼は一人で寂しいばかりでなく、怖いんですね。
Bメロ
「誰か 誰か ぼくを 探して おくれ
寂しい 夜を ひとつ 切り取って おくれ
遠く 遠く 地の果て まで 届く ように ぼくは
照らして いるから いつでも」
出典: 旅人電燈/作詞:米津玄師 作曲:米津玄師
上に挙げたBメロの歌詞ですが、あいだに不自然なスペースがあります。
これは引用するときに間違えたのではありません。
もともと歌詞がこのような配置になっています。
スペースがあることで醸し出される「電燈」が抱える「切実感」。
主人公である「電燈」の「孤独感」を、タイポグラフィーでも表現しているんですね~。
「寂しい 夜を ひとつ 切り取って おくれ」という歌詞。
今まで「寂しい夜」を「幾夜」重ねてきたか分からない「電燈」。
1000回かもしれませんし、1億回かもしれません。
そのなかの「1回の(寂しい)夜」を、誰かに切り取ってもらいたい「電燈」。
もうこれ以上「電燈」に「寂しい夜」はいらないですね。
Aメロ3回目
ぼくは古い電燈 埃に塗れてはひとり
枯れた井戸の縁に 見知らぬ首飾り
出典: 旅人電燈/作詞:米津玄師 作曲:米津玄師
井戸を照らしている主人公。
「枯れた井戸の縁(ふち)」に「首飾り」を見つけます。
失恋した女性がその帰り道、かなぐり捨てた「首飾り」なんでしょうか?
想像をたくましくする主人公。
主人公は、「ひとり」と「首飾り」で韻を踏むことも覚えてしまいました。
「独り遊び」は主人公お手のものですね...。
Aメロ4回目
いつのまにかここは 都市から砂漠へと変わり
あんなに賑わった 遠い過去も幻
出典: 旅人電燈/作詞:米津玄師 作曲:米津玄師
ここで主人公は、自分が佇む「街」について思いを馳せます。
昔、この街は「都市」だった。
きっとビルが建ち、人々の往来が盛んだったんでしょう。
それが時間を経過するうちに「街」は荒廃してしまう。
「街」がなくなり、「砂漠」へと変貌します。
いったい主人公はどのくらいそこにいるのでしょう?
そして、どのくらい孤独なんでしょうか?
それでもやめないことがあります。
「荒廃した街」を照らし続けることです。