やっぱ好きやねん やっぱ好きやねん
あんたやなきゃ あかん
うちは女でいられん
やっぱ好きやねん やっぱ好きやねん
もう離さん 言うてよ
やっぱ好きやねん やっぱ好きやねん
悔やしいけど あかん
あんた よう忘れられん
やっぱ好きやねん やっぱ好きやねん
きつく抱いてよ 今夜は
出典: やっぱ好きやねん/作詞:鹿紋太郎 作曲:鹿紋太郎
女の願いのようにサビが繰り返されます。
たくさんの希望を並べていますが、これは実際に口に出されてはいないように感じるのです。
ひたすら心の中で「もうどこにも行かんといて」と思っている女。
もしかしたら男の寝顔を見ながら呟いているのかもしれないですね。
先を考えるとまた破局が訪れそうです。
恐らくこの2人は、別れてはまた戻って、を繰り返すのでしょう。
「今夜は」という歌詞から、女がこの幸せは永遠ではないと悟っているような気もします。
「しゃあない(しょうがない)男」を好きになった「しゃあない(どうしようもない)女」。
それがたかじんさんが歌う「大阪の男と女の物語」なのですね。
カバーアーティストの明暗
大阪では、たかじんさんを知らなくてもこの歌を知らない人は滅多にいないのでは。
それくらい「やっぱ好きやねん」は有名な楽曲です。
それだけにカバーするアーティストは後を絶ちません。
ですが、名曲だけにカバーをするといろんな反応があるようです……。
明暗が極端に別れたケースを紹介します。
多くの賞賛を受けた天童よしみ
たかじんさんを「唯一無二の恩人」と敬愛している天童よしみさん。
「絶対よしみを紅白に出す!」と才能をいち早く認め、尽力してくれたのがたかじんさんでした。
飛躍のきっかけと自信をくれた人として、思い入れは人一倍あるでしょうね。
たかじんさんは亡くなる数年前から天童さんに「俺の歌を歌ってほしい」と要望していたそうです。
それが叶い、天童さんは2014年の紅白歌合戦で「やっぱ好きやねん」を熱唱しました。
「NHKには出ない」と言いながら紅白歌合戦はちゃんとチェックしていたたかじんさん。
天童さんの紅白でのカバーがご存命のうちに実現しなかったのが残念でなりません。
でもこのカバーは多くの人の心を打ち、天童よしみさんはたくさんの賞賛を受けたのです。
天童さんが曲のジャンルを超えて挑戦したカバーアルバム「VOICE」。
まさかのタイガー&ドラゴン(クレイジーケンバンド)にも挑戦しています。
「やっぱ好きやねん」は1曲目。じっくり聞ける1枚です。
一方、玉置浩二は炎上……
たかじんさんの没年に放送された「ベストヒット歌謡祭2014(読売テレビ)」。
「ワインレッドの心」「田園」で有名な玉置浩二さんがこの曲をカバーしました。
玉置さんはたかじんさんに楽曲提供すると申し出ていましたが、叶わず……。
その思いもあり、玉置さんは読売テレビ開催の歌謡際にこの曲を歌うことに決めたようです。
ですがその結果、大炎上……。
玉置さんの独特な歌い方に非難が集中してしまいました。
この歌の要である「やっぱ好きやねん」という歌詞。
たかじんさんは「やっぱ好っきゃねん」と歌いますよね。
何十年とこの歌い方で慣れていたので視聴者もそれが当たり前と思っていました。
でも玉置さんは、歌詞通り「やっぱ好きやねん」と歌ったのです。
「間違い」というよりは
放送と同時にネットには批判のツイートが溢れました。
「玉置浩二は大阪弁を分かってない」
「原曲を知らないのか?」
「♪やっぱすっきゃね~ん♪ですよ!」などなど……。
やはり関西地方に住んでいる方やたかじんさんのファンには違和感が強かったようです。
でも玉置さんが原曲を知らずに歌ったとは思えません。
ではなぜこのような歌い方をしたのか?
作詞家・鹿紋太郎(しか もんたろう)さんに敬意を示したのではないでしょうか。
「間違えた」ワケではなく「歌詞に忠実に歌った」のではないかと……。
でも玉置さんは他のアーティストよりも歌い方の個性が強いです。
カバー曲は原曲ファンの気持ちも考えながら歌わないと大変なことになってしまいますね。
たかじんさんもアレンジしていた?
実は関西弁じゃなかった!
作詞をした鹿さんは関東出身です。
元々たかじんさんは「やっぱ好きやねん」は関西弁ではないと指摘していました。
関西弁として書くのなら「やっぱり(やっぱし)好っきゃねん」が正しい。
そう指摘しながらも「歌いたいのは女心。関西弁の歌じゃない」と歌詞は変えませんでした。
だから歌詞を直さずに、歌い方を関西弁に近いようにアレンジを加えていたのです。
でもこの歌をずっと聞いてきた人には「やっぱ好っきゃねん」がしっくりきます。
カバーする方はこの歌い方ごと引き継ぐのが良さそうですね。
【やしきたかじん/東京】関西弁がクセになる歌詞を徹底解釈!主人公は東京のことをどう思っているの? - 音楽メディアOTOKAKE(オトカケ)
関西の大スター・やしきたかじん。東京が嫌いなはずの彼が関西弁で歌う「東京」の世界とは……。主人公の気持ちを歌詞から独自に解釈していきます。
やしきたかじんの楽曲中のNo.1ヒット曲。
「東京嫌い」のたかじんさんが好きな男と別れても東京で暮らす大阪の女の心情を歌っています。