四、別れりゃ三月 待ちわびる
女心の やるせなさ
明日はいらない 今夜が欲しい
港 高知 高松 八幡浜
五、呼んでとどかぬ 人の名を
こぼれた酒と 指で書く
海に涙の ああ愚痴ばかり
港 別府 長崎 枕崎
六、女心の 残り火は
燃えて身をやく 桜島
ここは鹿児島 旅路の果てか
港 港町ブルースよ
出典: 港町ブルース/作詞:深津武志 補作詞:なかにし礼 作曲:猪俣公章
会えない時間が重なってとうとう三月にもなってしまいました。「明日はいらない 今夜が欲しい」とは「会えるだろう明日」よりも「今夜会いたい」、即ち「いますぐ会いたい」ということでしょう。
三月を経て今夜会いたいと嘆く場所は四国です。さらに「あなた」の名をこぼれた酒を使って指で書くのは九州です。随分、南まで来てしまいました。
主人公は港町を転々としながら、「あなた」を探して酒場を渡り歩いてきたようです。旅をするだけでなく、酒場で働いて旅費を稼ぎながら移動してきたのではないでしょうか。
「あなた」を求めて辿りついたのは桜島が見える鹿児島港。「旅路の果てか」と主人公が思うのは、これ以上は探すところがないということでしょう。
鹿児島より南には港がありません。「港町ブルース」のリリースは1969年4月、沖縄県の日本返還は1972年5月です。鹿児島県はこの頃の「日本の果て」だったのです。
「あなた」にはとうとう会えなかった悲しい歌は、まさしく「blues」(不幸・憂鬱の歌)です。
「港町ブルース」の主人公がたどったルート
前項でご覧頂いたように、「港町ブルース」の主人公は「あなた」を追って長い旅をしました。その旅のルートを地図にしてみました。
歌詞に登場した順に港を辿る矢印をつけましたが、おそらくこれが主人公が辿ったルートでしょう。北から順に南へと辿っていくルートです。
函館を出発してから太平洋側の港ばかりを巡って鹿児島に辿りつき、そこを「旅路の果て」としています。日本海側を辿って函館に戻ってみる気力は、最早は主人公には残っていないのでしょうね。
まとめ
森進一最大のヒットシングル「港町ブルース」についてお話ししました。
1960年代から1970年代前半にかけての高度経済成長期は、「港町ブルース」以外にも、「伊勢佐木町ブルース」や「柳ヶ瀬ブルース」などのブルース歌謡が流行した時期でもありました。
こうしたブルース歌謡の面から昭和の音楽を覗いてみるのもおもしろいですよ。
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