「Bittersweet」と永遠の初恋
2017年8月30日に中野ジョジョがリリースした「Bittersweet」をご紹介しましょう。
アーティストとしてよりもタレントとして彼を知った方も多いはずです。
しかし「Bittersweet」を聴く限り、彼は新しいサウンドを模索する立派なアーティストでしょう。
雑なコスプレイヤーとして話題を集めるお茶目な姿は彼の一面に過ぎません。
SoundCloudなどやYouTubeで精力的に作品を発表する姿勢を見せています。
オルタナティブ系のアーティストにとって馴染み深いツールを使って発信する新世代感。
電子音が様々に交錯するサウンドで独特なポップスを創り上げているのです。
「Bittersweet」はタイトルのとおりにほろ苦い初恋の思い出について歌っています。
多くの人にとって初恋というものはいつか破れてしまったものでしょう。
電子音がキラキラ、もしくはドクドク、ピカピカと鳴る中で初恋の哀しさを歌い上げます。
サウンドの感性がまったく新しすぎて馴染みが沸かない人もいらっしゃるかもしれません。
しかし歌詞を読み解くとエバーグリーンな世界観が登場してきます。
ネット媒体での発表ですから歌詞カードのようなものはないようです。
またフランス語が母語の中野ジョジョ。
英語、日本語も堪能ですが歌詞はローマ字で書いたかもしれません。
歌詞を自然な日本語に書き起こしたものをご紹介しましょう。
それでは実際の歌詞をご覧ください。
初恋は突然に
恋の醍醐味を初めて知る
Bittersweet
まだ恋に落ちる原理もやり方も知らなかった
だけど君の瞳が僕の時間を止めたよ
出典: Bittersweet/作詞:Nakanojojo, Yunomi, KASSYKASSY 作曲:Nakanojojo, Yunomi
歌い出しの歌詞になります。
ちょっとぶっきらぼうな感じの歌唱ですが歌詞の内容は切ないものです。
登場人物は語り手の僕と初恋の相手の君になります。
初恋の相手というのはだいたい容姿へ惹かれるものでしょう。
もしくはスポーツが万能だったなどの理由もあるかもしれません。
とにかく大人になってからの恋とは違う原理や動機が元になることが多いです。
中野ジョジョの初恋も君の瞳の美しさに惚れたことがきっかけになります。
いわゆる一目惚れの恋になるのです。
出逢った瞬間に恋に落ちてしまうのですから、心の準備も何もない状況でしょう。
初恋の醍醐味ってこういうものだったなと思うと何だか切ない気持ちになります。
いずれ弾けて消えてしまう運命というのが初恋の特徴でしょう。
初恋の相手と生涯を共にできているという方は幸運すぎます。
そうなると「Bittersweet」のこの先のストーリーを読み進めるのが怖くなる気もするでしょう。
高鳴るビートの正体は何か
(Stop)
そっと秘密の言葉を交わすたびに近づくふたり
熱い空気のなかで鼓動は加速していた
(Secret)
出典: Bittersweet/作詞:Nakanojojo, Yunomi, KASSYKASSY 作曲:Nakanojojo, Yunomi
中野ジョジョの初恋は幸いなことに成就します。
初恋は告白さえできなかった、もしくは相手と話すこともできないという人も多いです。
日本の教育現場では中々恋を発展しづらいという点も考慮しなくてはいけません。
カナダのケベック州では初等・中等教育の現場でも恋愛をしやすい環境があるかもと思わせます。
いずれにせよ初恋が両思いであったことは生涯に渡って特別な記憶になるでしょう。
僕は好きな人との距離を会話しながら縮めていきます。
恋というのはコミュニケーションが上手か下手かで運命が決まるかもしれません。
特に少年期の恋になるとこうした傾向が強く出るでしょう。
子どもの頃から好きな相手にも臆せず話ができる人というのは恋多き人生を歩みそうです。
まず会話によってお互いを知らないと距離は縮まりません。
その会話の中で相手の声を耳にして、ああ声も素敵なんだなとか思うものです。
話してみたらがっかりなんて人もいたでしょうが、大抵は会話するごとに相手をより好きになります。
さらにビートが高まってゆく様子を「Bittersweet」はきちんと描いているのです。
初恋の教え
この苦い味は何だろう
Bittersweet
甘い涙
初恋がこんなに苦いだなんて
少しも思わなかったんだ
出典: Bittersweet/作詞:Nakanojojo, Yunomi, KASSYKASSY 作曲:Nakanojojo, Yunomi
多くの初恋が人に初めて愛の苦しみを教えてくれます。
子どもの頃には親から庇護されて育っているものです。
そこでは相応の愛を与えられています。
しかし初恋の相手は思うように愛をくれる訳ではないでしょう。
お互いがまだ恋に対して臆病ならばなおさらのことです。
まだ素直に愛を表現できないような空気の中で初恋というものは芽生えてしまいます。
自分の思うようにならないことがこの世の中にはあるのだと初恋の中で学ぶことも多いです。
恋する気持ちで高揚していますが、一方で苦ささえ感じるのですから初恋は怖いでしょう。
しかし怖気付いていても何も進捗しないのが恋というものです。
恋というものは基本的にはポジティブなもの。
しかし恋だけが僕の心を傷付けることも知るのです。
楽しい思いだっていっぱいしたから
Fantastic
ステキな Baby
初恋がこんなに楽しいって
少しも思わなかったんだ
出典: Bittersweet/作詞:Nakanojojo, Yunomi, KASSYKASSY 作曲:Nakanojojo, Yunomi