聖飢魔Ⅱ【EL DORADO】
収録されている教典
今回、取り上げるのは聖飢魔Ⅱの【EL DORADO】です。
大教典『地獄より愛をこめて』に収録。
【EL DORADO】の他に、代表曲である【アダムの林檎】も収録されています。
作詞はデーモン小暮閣下で、作曲はギターのルーク篁(たかむら)によるもの。
ここで聖飢魔IIを語る上で欠かせない悪魔用語について解説しておきましょう。
「大教典」というのは地球で一般に「アルバムCD」とされているものを指します。
この他にも「小教典(=シングルCD)」「信者(=ファン)」などがありますね。
あわせて覚えておくとよいでしょう。
楽曲の映像はこちら
16分のギターのブリッジミュートによるリズムが印象的な曲です。
ギターのルーク参謀(「参謀」は役職)の作曲のためか、ギターが前面に出ているような印象。
悪魔のメイクをした生徒たちと、彼女たちを追うマスク姿の大人たち。
理想郷「エルドラド」を目指し逃げているのでしょうか?
最終的に友達のために捕まってしまう主人公の女の子。
しかしその目には空を飛ぶ悪魔の姿が…。
そこでこの映像は終わっています。
「早く行け」という歌詞が友達を逃がそうとするシーンによく合っていますね。
それではそんな「理想郷」を想って書かれた曲の歌詞について解説していくことにしましょう。
伝説の理想郷
エルドラド
まず表題にもなっている「エルドラド」について。
「エルドラド」とは伝説の黄金の都市のことです。
場所は南アメリカ大陸、アンデス地方。
ヨーロッパ人が世界へ進出しようとしていた大航海時代に、広く言い伝えられました。
彼らはヨーロッパ大陸の外の世界に大きな期待をしていたのでしょう。
外の世界には果たしてどんな世界が待っているのだろう、と。
そんな想いが燃料となって、黄金の都市「エルドラド」の伝説は有名になったのです。
実在したかもしれない
まばゆき光の中 現れ出る
見えるはずない大地 横たわる
出典: EL DORADO/作詞:デーモン小暮 作曲:ルーク篁,デーモン小暮
冒頭の歌詞です。
いかにも伝説上の存在、といった演出で新大陸が現れてきます。
伝説上の都市ですから、それは見えるはずのないものだとされているよう。
まばゆい光に包まれた黄金郷はどれだけ美しいのでしょうか。
しかし黄金の都市の伝説は実は日本にもありました。
それは今の岩手県でかつて栄えた「奥州藤原氏」。
現在でも中尊寺の金色堂は保存され、誰でも入館料を払えば見ることができます。
現代の都市以上に栄えていたともいわれる古代の都市の数々。
それは世界中に存在したとされています。
それらの都市は金を用いて黄金色に輝いていたのかもしれません。
けっして伝説上だけの存在ではなく、実在した可能性は大いにあるのです。
さまざまなエルドラドの表現
実在しなかったエルドラド
艶やかな幻の島
出典: EL DORADO/作詞:デーモン小暮 作曲:ルーク篁,デーモン小暮
歌詞のなかで、黄金郷エルドラドはさまざまな表現をされています。
エルドラドという黄金の都市は実際には存在しませんでした。
金の採掘がさかんだったその土地では、金をまとって行われる儀式があったそう。
それを見た西洋人がその話を伝え聞いているうちに話が大きくなり、伝説のもととなったようです。
したがって、都市全体が金色に輝いていたわけではなかったのですね。
しかし、黄金郷の伝説のような冒険譚は人の心をくすぐります。