この夢が醒めるまでここにいて
刹那の時を抱きしめていたい
唇を震わせるこの声が
あなたに聞こえるまで
出典: この夢が醒めるまで/作詞:加藤ミリヤ 作曲:加藤ミリヤ,吉田兄弟,Carlos K.
同じ歌詞でサビがスタート。
限られた時間は過ぎてしまうともう戻ることはできません。
時間は思っている以上に瞬間的なもの。
この繰り返されるサビのフレーズでは、雪が奏でる雪の音を祖父に届けたいという思いが感じられます。
自分の音で世界を色づける
埋まらない気持ちは
やがて幻に消えても
触れさせて
真っ白な世界が色付くの
出典: この夢が醒めるまで/作詞:加藤ミリヤ :加藤ミリヤ,吉田兄弟,Carlos K.
亡き祖父に思いを伝えたい、この音を届けたい。
願ってももう叶うことはありません。
しかし、それがたとえ幻になって消えてしまうことがあっても、自分の心の中にはずっと残っているものです。
そして祖父の音がこの世からなくなって幻になったとしても、心の中でどうにか触れていたい。
音を見失ってしまった雪にとって世界は真っ白です。
しかし祖父の音に触れ、自分の音として奏でていく中で少しずつ色づいていきます。
いつも隣にいたのは大切な人
凍える夜あなただけがそばにいた
無口の朝も 乾いた夜更けも
もしあの日あなたに出会っていなければ
私には何もなかったから
出典: この夢が醒めるまで/作詞:加藤ミリヤ :加藤ミリヤ,吉田兄弟,Carlos K.
祖父と祖父の音は当たり前に雪の中にありました。
青森の厳しい寒さのときも、けんかをしたときも。
そして楽しかった日々の中にも。
同じように雪のそばにはいつも津軽三味線がありました。
もし祖父の音を聴かず、津軽三味線にも出会わなければ雪は何をしていたのかわかりません。
日常の中に津軽三味線があったからこそ、今の自分がいるのです。
しかし祖父が亡くなってからは状況が一変。
青森にいても大好きだった祖父の音を聴くことができないと知った雪は東京へ旅立ちます。
家族も友だちもいない東京には自分の居場所がなく、寒空の中あてもなく歩く夜。
そんな凍える夜に手を差し伸べてくれたのは「立樹ユナ」という女性でした。
ユナがいたからこそ東京で津軽三味線を披露することができたのです。
1行目のフレーズは祖父や津軽三味線のことはもちろん、ユナに対する気持ちとしてもとらえることができます。
力強くも切ないサビ
この夢が醒めるまで此処にて
刹那の時を抱きしめていたい
唇を震わせるこの声が
あなたに聞こえるまで
出典: この夢が醒めるまで/作詞:加藤ミリヤ :加藤ミリヤ,吉田兄弟,Carlos K.
ぐっと押し寄せるように入ってくるサビ。
私たちも大切な何かをなくしたあと、夢に出てくることがあるかもしれません。
大切な人との時間は一瞬。
あっという間に過ぎてしまう瞬間を大切にしなければいけない。
そんな雪の思いが伝わります。
「この夢が醒めるまで」ではどこのサビでも津軽三味線が主張しすぎることはありません。
アクセントを感じさせながらもメロディーに寄り添うように表現されています。
そして同じフレーズが繰り返されていても飽きないのは聴きやすさ。
盛り上がりの波が大きくなく、メロディーが少しずつ積まれていくシンプルなところも魅力的です。
人との出会いは糧になる
欲しくて 欲しくて 欲しくて
(名も無いある者たちの話
みんな不器用なほどに愛しい 感動で涙してる愉し)
行きたい 行きたい 行きたい
(名も無いある者たちの話
みんな不器用なほどに愛しい 感動で涙してる愉し)
出典: この夢が醒めるまで/作詞:加藤ミリヤ :加藤ミリヤ,吉田兄弟,Carlos K.
雪も含め、みんな才能のある松吾郎の音を欲しています。
松吾郎に振り回されている感じでしょうか。
みんな上手にその音を活かすことができません。
雪も同じです。
人々との出会いを介しながら自分の音を見つけるまで進んでいきます。
津軽三味線は力強さもあり、ときにはやわらかく癒される音色さえも出すことができます。
そんな人の運命に立ち向かうような音に、聴く人は魅了され感動することでしょう。