いくつもの季節(とき)が
すべてを虚(うつ)ろにしてくけど
記憶の中の君は 現在(いま)も
優しく微笑(わら)ってる
出典: over…/作詞:SHUNGO. 作曲:TETSUHIKO
歌詞の1行目から2行目をご覧ください。
ここを見れば、主人公と恋人が別れたのは最近ではないことが分かります。
月日が失恋の傷を癒してくれると思っていた主人公。
どうやらそれは癒えていないようです。
むしろ、月日が経てば経つほど恋人に会いたくなる主人公。
主人公の心中では、その存在がますます大きくなっているのです。
さて、『over…』の歌詞は特定の事物が登場しません。
いわば、普遍的な内容の歌詞なのです。
この曲が長い間愛されている理由の一つですね。
後悔はしない
サビ
諦めるよりも辛いよ
「失くすこと」に慣れちゃ
何もしない後悔より
…いっそ 打たれてたい
明日は強くなれるかな
今日の僕よりも
君も 何処かで微笑ってる
泣きたい時でも…きっと
出典: over…/作詞:SHUNGO. 作曲:TETSUHIKO
この曲の聴きどころはサビ。
おなじようにサビの歌詞も、この曲が伝えたいことを一番よく表しています。
主人公は別れた恋人を諦められないのでしょう。
もしかしたら彼は、月日が経ち、その過去自体風化してしまうことを望んでいたのかもしれません。
しかしそうはなっていませんね。
風化してしまうということは、失うことと同義ですから。
それより「失恋の傷」を負ったまま生きているほうがよい。
新たに恋愛するより、思い出の中に留まっていたほうがよい。
主人公はそう考えています。
それでも強くありたい主人公。
彼女と付き合ったことを後悔はしていません。
少し話題が逸れます。
一般的に失恋して未練が残りやすいのは男性だそうです。
例えば、別れた女性との写真をいつまでも手元に置いているとか。
思い出の地へ定期的に足を運んでいるとか。
女性のほうは切り替えが早く、次のターゲット探しに余念がないそうです。
典型的な男性の失恋模様を描いているこの曲。
男性の繊細な心模様がよく表れています。
こうしたところを見ると、Kのファンは意外と男性もいるのではないでしょうか?
2番Aメロ
傘を忘れたフリした
雨の帰り道は
やけに 二人 無口だったね
肩が濡れていたね
出典: over…/作詞:SHUNGO. 作曲:TETSUHIKO
1番目の歌詞では、恋人と別れてからの主人公の様子を描いていました。
2番目の歌詞では、主人公と恋人が付き合っていた時期の様子が描かれます。
1行目の歌詞をご覧ください。
デートの天気が雨だったのでしょう。
事前に傘を用意していた主人公。
予想通り、デート当日に雨が降ってきました。
しかし、傘を持ってこなかったフリをする主人公。
なぜ主人公はそのようなことをしたのでしょうか?
おそらく、デート中に恋人と喧嘩したのでしょう。
それも些細な喧嘩を。
それでもお互いヒートアップし、やがて口を利かなくなってしまった。
濡れながら帰途につく二人。
気まずい様子です。
この部分は、別れるきっかけになるシーンが描かれているのかもしれませんね。
些細な言い争いから、それが大きくなり、別れることになってしまった二人。
別れを切り出したのは恋人のほうからだったのでしょう。
もちろん、これ以外にも別れる原因があったと思います。
2番Bメロ
何度も触れた君の手を
握れなかったように
未来に君をさらわれてた
サヨナラさえ云えず
出典: over…/作詞:SHUNGO. 作曲:TETSUHIKO
何とかしてヨリを戻そうとする主人公。
この恋愛は主人公が彼女にぞっこんだったのでしょう。
それは、歌詞の3行目を見れば分かりますね。
何度も恋人に触れようとしましたができなかった主人公。
結局、別れの言葉も言えずに彼女と別れることになりました。
主人公にとっては青天の霹靂。
恋人から別れを切り出されたとき、主人公は悲しみより驚きのほうが勝っていたでしょう。
事実を理解できない主人公。
二人の温度差は広がるばかりです。
何も言えずに恋人とさよならしてしまった主人公は悲嘆に暮れます。
2番サビ
「変わること」を恐れながら
変わってゆく僕ら
忘れ去ってしまうのなら
…痛み 抱きしめたい
永遠より もっと永く
瞬いていた日々
君に いつかまた逢うため
あの夢追うから…もっと
出典: over…/作詞:SHUNGO. 作曲:TETSUHIKO
人生には矛盾や不条理がつきもの。
その中でも恋愛に関する矛盾や不条理は、人を奈落の底へと陥れます。
二人は永遠の愛を誓い合ったのでしょう。
傍から見れば感動的です。
しかし、二人は真摯にそれを誓い合ったからこそ、その誓いが崩れることを恐れるのです。
人間ですから時間とともに価値観や考え方は変わります。
むしろそちらのほうが自然ですね。
しかし、恋愛となると話は別。
相手あってのことですからね。
恋愛自体がスムーズに進んでいれば何も問題はありません。
しかし、心変わりする時だってあります。
心変わりというのは、別の人を好きになってしまったということ。
心変わりしてもなお、その誓いを守り続けるというのは、もはや恋愛ではなくただの義務です。
そうなったとき、人は自分に対して正直になれるのでしょうか?
主人公の恋人がなぜ、主人公と別れたのかは分かりません。
しかし、彼女は自分に対して正直であっただけなのです。