虚しい愛情
祈り続けていたんだろう?
造花に水を注いで
笑いあっていたんだよ
その身に愛を捧げて
ひつじたちの呼吸で
くだらない絵本を燃やしたい!
出典: 無能/作詞:高橋國光 作曲:高橋國光
先ほどは「おもちゃ」に愛を捧げていました。
それと同じような表現として「造花(作り物の花)」に本来不要な水を注いでいる…。
どれだけ心を込めたとしても、それは無意味ですね。
「造花」と気づきながらも愛情に酔いしれていたいのでしょうか?
それとも、「造花」と分からず無心で愛情を注いでいるのか…。
「笑い合って」はいても「通い合って」はいない、虚しい関係性が想像できます。
そして、子供が寝る時に数える羊と、読み聞かせの絵本。
「くだらない」といって燃やそうとしています…。
ここで「くだらない」と吐き捨てたのは「上っ面の愛情」に対しての怒りなのかもしれません。
「生きる」ことへの渇望
体に火を灯した
狂おしいほど聴こえるだろう? いきろ、と
出典: 無能/作詞:高橋國光 作曲:高橋國光
身体に火をつけるという行為は、そのまま捉えると「焼身自殺」とも考えられます。
それと矛盾して脳内に響き渡る「生きろ」という声。
「死」に焦点を向けることで「生」のエネルギーを感じ取っているのでしょうか?
この「火」は、心に宿るアツい想いのことも指し示しているのではないかと筆者は感じました。
何事も、失ってから気が付くことが多いです。
これまでの歌詞では「生まれ落ち」「人を殺め」「必死に愛を求める」という光景が見受けられました。
そして湧き上がる葛藤のもと、全てを壊そうとすら考え、生きることを決めるのです。
絶望の末に生きることを渇望する…。
これって、「東京喰種」の世界観ととてもマッチしているのではないでしょうか?
抽象的な表現の数々は、アニメの世界感と見事に結びついています。
最後に
いかがでしたか?
断片的な解釈になってしまいましたが、要するに「生まれてきた意味」を模索しているのだと思います。
楽曲を通して心の中の「ざわめき」のようなものが感じ取れましたね。
「愛情」というのは掘り下げていくと、ある意味で薄っぺらくて、理論的で、残酷な側面を持っています。
どんな事柄であっても陰と陽、プラスな側面とマイナスな側面を持っているのです。
それを深く深く追求し、思考を巡らせた断片が楽曲に綴られている印象を受けます。
「東京喰種」のストーリーは決して明るいものではありません。
「運命」ともいえる覆せない定(さだめ)に飲み込まれ、悩み苦しみながらも生きていきます。
それを意識した上で高橋國光の言葉で表現しているのではないでしょうか。
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