私に還(かえ)りなさい
記憶をたどり
優しさと夢の水源(みなもと)へ
もいちど星にひかれ
生まれるために
魂のルフラン
出典: 魂のルフラン/作詞:及川眠子 作曲:大森俊之
出だしはサビからですが、静かに始まります。
もう一度生まれるために、記憶をたどって還りなさい──と、透き通った声で、まるで母親が子供を呼ぶように歌い始めていますね。
そしてだんだんとそのささやきが力強くなっていき、大きくタイトルを発します。
命の行方を
問いかけるように
指先は私をもとめる
出典: 魂のルフラン/作詞:及川眠子 作曲:大森俊之
これからどうしたらいいのかわからない……そんな時に子供が母親を探すかのようです。
この歌詞の中の「私」をめぐっては、誰を指すのかという議論が、ファンやオタクジャーナリスト(?)などの間でもしばしば行われていて、それぞれに受け止め方があるようです。
抱きしめてた
運命のあなたは
季節に咲く
まるではかない花
希望のにおいを
胸に残して 散り急ぐ
あざやかな姿で
出典: 魂のルフラン/作詞:及川眠子 作曲:大森俊之
季節ごとに咲いては散っていくはかない花のような「運命のあなた」。
希望のにおいだけを「私」の胸に残して、散り急ぐ──つまり、死に急ぐような気がするのです。
それはとても「あざやかな姿」で……アニメを知っていると、やはり流血シーンが浮かんでしまいますね。
私に還りなさい
生まれる前に
あなたが過ごした大地へと
この腕(て)に還りなさい
めぐり逢うため
奇跡は起こるよ 何度でも
魂のルフラン
出典: 魂のルフラン/作詞:及川眠子 作曲:大森俊之
出だしと少しだけ歌詞が違うサビです。
「生まれる前に」還りなさいと言っていますが、これは「めぐり逢うため」です。
結果的には「もう一度生まれるために」なのでしょうが、何度でも奇跡が起こるということは、何度でもめぐり逢えるということであり、また、何度でもやり直せる、とも受け取れます。
何故なら、「ルフラン」の意味は先述の通り、「繰り返し」を意味するからです。
祈るように
まぶた閉じたときに
世界はただ
闇の底に消える
それでも鼓動は
また動き出す
限りある永遠を探して
出典: 魂のルフラン/作詞:及川眠子 作曲:大森俊之
これは劇場版アニメのワンシーンにある部分に当てはまるのですが、とても印象的かつダイナミックです。
作詞担当の及川眠子氏は、本編をほとんど見ないままで詞を書いたということですが、それでは制作側が敢えてこのシーンを当てたのかというほどのベストマッチングです。
私に還りなさい
記憶をたどり
優しさと夢の水源へ
あなたも還りなさい
愛しあうため
心も体もくりかえす
魂のルフラン
出典: 魂のルフラン/作詞:及川眠子 作曲:大森俊之
歌い出しも含めると、3度目のサビ。
そしてまた、部分的に違う箇所の内容が変わっています。
ここでの「あなた」とは……?
これも同様に議論されていますので、答えはそれぞれの心の中にあると言えるでしょう。
何度も胎内に還り、何度も生まれ直して、何度もやり直す……それはすべて、愛しあうために。
心も体も繰り返すのが「魂のルフラン」なのです。
最後時もう一度、2度目のサビが繰り返されて、楽曲は終わります。
まとめ
アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』を見たことがないという方には、少しわかりにくい部分もあるかも知れません。
しかし、この楽曲のテーマは「輪廻」であることさえわかれば、何度も聴いたり歌ったりしているうちに、自分なりの解釈ができるようになるのではないでしょうか?
当時は噂レベルでささやかれていた程度でしたが、その後『新世紀エヴァンゲリオン』の「新劇場版」が上映されてからは、この世界がループ(繰り返し)しているということが明らかにされます。
この「魂のルフラン」という楽曲ができる以前からあった構想なのか、これがあったからこそできた設定なのかは謎ですが、かなりキーワード性の高い主題歌ですね。
桁外れの数のファンを持ち、並外れた議論を提示し、社会現象にまでなった『新世紀エヴァンゲリオン』ですが、それを支えた楽曲がここにあるということも、心の片隅に置いてみてください。
そして今、それを踏まえてもう一度聴いてみると、新しい発見があるかも知れません。
奇跡は起こるよ 何度でも 魂のルフラン
出典: 魂のルフラン/作詞:及川眠子 作曲:大森俊之
苦しい時、辛い時、大きな壁にぶつかった時──思い出してみて欲しい歌詞です。
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