あれからどれくらい経つのだろう
君を近くに感じはじめてた
少しずつ縮まっていく距離に
僕はもう心決めていた
出典: 君に逢えないから/作詞:URATA NAOYA 作曲:Kenji Kabashima
ここは、彼が過去を回想する歌詞です。
彼女と出会い身近な存在になって、お互い心を許すようになった頃を振り返っています。
当時、彼は彼女に「告白しよう」と決意し、それが成功する確信も持っていました。
この歌詞からは、出会いから告白までの間、2人は大きな障害もなく順調だった様子が窺えますね。
いつまでも相思相愛のはずが
すぐに想いを告げ強く手を握り
これからずっと離したくはないと
微笑む横顔 幸せを感じてた・・・
永遠に忘れはしないよ
出典: 君に逢えないから/作詞:URATA NAOYA 作曲:Kenji Kabashima
告白は大成功。
想いは伝わり、彼女も幸せそうでした。
未来のことはわからないから、「今が幸せであれば先も大丈夫だろう」と人は考えます。
「いつまでもいつまでも二人は幸せに暮らしましたとさ」
どこかのおとぎ話のエンディングのように、2人の人生は何の災難も起こらず万事順調なように思われました。
しかし、回想していることから明らかなように、運命は無情にも2人に別れを突きつけたのです。
悔やんでも悔やみきれない
君にもう逢えないから
涙で滲んだ笑顔を見つめて胸が苦しくて
これから別々の道を二人は歩いていくけど
ずっと忘れない
何度想ってもあの頃に戻れない
時間はもう戻らない
出典: 君に逢えないから/作詞:URATA NAOYA 作曲:Kenji Kabashima
彼は2人が幸せだった頃を数え切れないほど、幾度も幾度も振り返りました。
しかし、別れたという現実は何も変わりません。
彼の心は過去にとどまったままで、止まってしまった時計の針のようです。
失恋した人を見ると、他人は励まそうと声をかけます。
「次の人を見つけてまた恋をすればいいよ」
しかし、失った相手の心を求め続ける人に、そんな声かけは何の効果もありません。
新しい恋をしたいわけじゃなくて、彼女に戻ってきてほしいんですから。
はまってしまった恋愛の落とし穴
彼女の変化に気づけなかった
離れていく事に何も気づかずに
「好き」の一言さえ言えない僕に
涙を流してた訳さえ気づかずに
今なら好きと言えるのに
出典: 君に逢えないから/作詞:URATA NAOYA 作曲:Kenji Kabashima
「〜に」の語尾が繰り返される歌詞。
取り返しのつかない事態になるまで、別れの予兆に彼は全く気づきませんでした。
彼女はもしかしたら別れを決めた後、彼に悟られないように計画的に、少しずつ心の距離を伸ばしていったのかもしれません。
彼は愛情表現が上手くないし、彼女のSOSのサインも気づかない、不器用で鈍感な部分があったようです。
もちろん付き合った当初は緊張もあるし、彼なりに努力して相手と向き合っていたのでしょう。
しかし、一旦油断するとはまるのが恋愛の落とし穴。
時が立つと甘えてしまうのか、相手を手荒に扱ったり、「言わなくてもわかるだろう」とコミュニケーションをさぼってしまうことがあります。
彼女にとって、彼は好きになった相手で、両思いから始まった恋。
終わらせるのは辛いし、続けたい気持ちもあったと思います。
色々葛藤はあったでしょうが、最終的に彼女は離れることを選択したんですね。
隣に居るのは必然じゃなかった
隣にもう君がいない事
誰よりも君を愛してた事
失って初めて分かった
この手はもう届かない
出典: 君に逢えないから/作詞:URATA NAOYA 作曲:Kenji Kabashima
無意識レベルで「居るのが当たり前」だった彼女の存在は、もうありません。
なぜ人は、大切なものを失ってから、その大切さに気づくのでしょうか。
空気のように当たり前すぎて、失われることを想定していないからかもしれません。
自身が必要としていた、という自覚さえも失われるほど、彼は彼女と一心同体のつもりでいました。
でも彼女の本当の気持ちは、彼女に聞くことでしかわかりません。
どれだけ親しくても、彼女の人間性を尊重して思いやる必要がありました。