歌詞もチェック
都会への旅立ち
駅のホームの端 ずっと手を振ってた
最後の制服を着た君が目に浮かぶよ
あれから一年の季節が巡ったのに
僕が住む都会は桜 まだ咲いてない
出典: ゼンマイ仕掛けの夢/作詞:秋元康 作曲:山本加津彦
学校を卒業して都会へと旅立つシーンが描かれています。MVの今泉佑唯は恋人を見送っていたんですね。
卒業の時期は春です。それから1年経って、同じように春を迎えたのでしょう。
しかし、「桜まだ咲いてない」とあり、あまりハッピーではない物語を予感させます。
見失った目的
何(なん)のため 誰のため
大学に通うんだろう?
今日もまた 講義をサボり
ずっとアパートで寝てた
忘れてください 僕なんか…
ゼンマイ仕掛けの夢から覚めた
出典: ゼンマイ仕掛けの夢/作詞:秋元康 作曲:山本加津彦
故郷を離れて、都会の大学に通っていることがわかります。どうやら、「何のため誰のため」に大学に行くのか目的を見失ってしまったみたいです。
希望を持って進路を決めたのに、「自分は何をしているのだろう」と悩んでしまう時はありますよね。
「アパートで寝てた」り、学校に行かなかったりすると、そんな自分がなおさらみじめに感じるものです。
そんな自分を故郷の彼女に忘れてほしいと願っています。
恋人とはもう会えない
絶対 迎えに行く 固い約束して
電車を追って走るその姿に泣いた
メールをもらっても理想と現実に
言葉が見つからず 返信できなかった
出典: ゼンマイ仕掛けの夢/作詞:秋元康 作曲:山本加津彦
この曲は、現代版の悲しい『木綿のハンカチーフ』だと感じました。
『木綿のハンカチーフ』では、「ぼく」は都会に染まって楽しく暮らしているために、故郷の恋人のもとに帰れませんでした。
『ゼンマイ仕掛けの夢』では、都会で上手く過ごせずに故郷の恋人に伝える「言葉」も見つからないでいます。
もちろん、そのような状態ではこの先も迎えに行くことはできないでしょう。恋人とは故郷で別れたのが最後で、もう会えないことを予感させます。
「メール」「返信」などのフレーズが少し古いところもポイントですね。
大学生の頃にLINEではなく「メール」を使っていた方は、この曲で切ない気持ちになるのではないでしょうか。
夢見たようには上手くいかない
将来とは? 人生とは?
思うようにならないもの
バイトして 朝まで遊び
少し悪いこともした
忘れてください いい思い出は…
僕は僕じゃない抜け殻さ
出典: ゼンマイ仕掛けの夢/作詞:秋元康 作曲:山本加津彦
「将来」も「人生」も夢見たようには上手くいかないものです。
未来に対する努力をあきらめると、やるべきことに向き合うのがつらくなります。
そのため、「朝まで遊ぶ」など目の前のことでごまかしてしまった経験は誰にでもあるのではないでしょうか。
「僕」は今の自分は彼女が好きだった自分ではなく、「抜け殻」だと感じています。
素敵な人と幸せになってほしい
何があっても ずっと
君は故郷(ふるさと)で暮らして
僕よりもっと 素敵な男(ひと)
見つけて結婚してください
夜空のあの星は 手に届かないから美しい
いつもそばにいてくれる愛が一番大切だ
忘れてください 僕なんか…
ゼンマイが切れた不良品
出典: ゼンマイ仕掛けの夢/作詞:秋元康 作曲:山本加津彦
「僕」よりも素敵な人を見つけて結婚して幸せになってほしいと願っています。
故郷を出るまでは噛み合っていたのに、都会に来てからは「ゼンマイ仕掛け」の夢が壊れてしまったように感じているのでしょう。
ゼンマイが切れて壊れてしまった夢は、「僕」からがんばろうとする気力も奪ってしまったのかもしれません。
そんな時に、恋人からやさしくされるとつらく感じるものです。
今でも恋人のことを大切に思っているからこそ、きれいな思い出のままで「忘れてください」と言っているのだと思います。