今夜お前はヒロイン もう泣かさないよ
この魂のすべてで お前を愛しているさ
出典: HERO/作詞:甲斐よしひろ 作曲:甲斐よしひろ
主役の1人でもある彼女。
今夜だけ、主人公は「お前」だといっています。
ともに過ごす時間は、何よりもかけがえのない瞬間なのです。
彼女がいつにも増して輝けるよう、「俺はサポート役」に徹しているのでしょう。
ですが、気になる言葉が耳に残ります。
第三者により邪魔がはいり、離れ離れになったはずの2人。
主人公の男性は当時、甘んじてそれを受け容れてしまったのでしょうか。
ともすれば、その時は彼女に対し軽い気持ちであったのかもしれません。
ただのケンカ別れや、単純な誰かからのよこやりという訳ではなさそうです。
おそらく、男性の勝手気ままであった背景も垣間見えます。
当時の彼女へ対し、自責の念と懺悔が行き交っているのです。
失った時間は予想などに比べ、はるかに大きく思い起こしたくもない出来事だったのでしょう。
同じ過ちを2度と繰り返すまいと、全身全霊をかけ愛しぬいていくと改めて誓いをたてるのです。
鍵になる俳優
銀幕の中 泣き顔の ジェームス・ディーンのように
今が過去になる前に 俺たち走り出そう だから
出典: HERO/作詞:甲斐よしひろ 作曲:甲斐よしひろ
主役の「彼」が出演する、印象的なワンシーンを振り返っているのでしょう。
若者の思春期を描いた映画、『理由なき反抗』。
お互いを当てはめ、回想しているのかもしれません。
どこからともなく沸々と湧いてくる、イラだち。
意味もなく、ただただ大人たちへ反発することしか出来なかった青い若者を描写した作品です。
2人に立場を置き換えているのでしょう。
限りなく時間が続くと錯覚していた自身を、戒めているのかもしれません。
1秒でも時間が経てば、それはすでに過去の出来事なのです。
失ってしまった時を取り戻すことは、不可能だ。
これから2人で積み重ねていく時間は、無限だと伝えたいのです。
覚悟を決めた2人
あなたさえ居ればそれでいい
人生はいつも 路上のカクテル・パーティ
ひとつ踊れば 熱い想いも消えてゆく
出典: HERO/作詞:甲斐よしひろ 作曲:甲斐よしひろ
生き方によっては短く、かつ長くもある人生。
要所に出逢ってしまう、避けられない出来事があります。
良くも悪くも、その瞬間を楽しまなくてはもったいないといっているのです。
2人があの時強く憶えたわだかまりも、馬鹿らしく思えたのでしょう。
必要とする大切な人が、側に居てさえしてくれればそれでよかったのです。
あの口惜しい感情は一体何だったのか?
と、男性が少しはにかむ様子も垣間見えます。
ようやくお互いに気づき、過去の時が「カクテル」へ解けだすのです。
おさまるべき場所
今夜お前はヒロイン もう泣かないで
息がつまるほどに 愛の痛みを感じてくれ
出典: HERO/作詞:甲斐よしひろ 作曲:甲斐よしひろ
もう悲しませるようなことは絶対にないと、強く約束します。
彼女をやさしくそっと抱き寄せるシーンが目に浮かぶのです。
ともすると、女性はすでに涙を流しているのかもしれません。
男性の固い決心を痛いほど受け止め、自然と涙が止め処なく溢れてくるのでしょう。
女性もまた覚悟を決め、一生側から離れないと決意する情景が感じとれるのです。
まだ見ぬ2人の世界へ
銀幕の中 やせっぽちの 俺たちが見えるだろう
今が過去になる前に 明日へ走り出そう だから
出典: HERO/作詞:甲斐よしひろ 作曲:甲斐よしひろ
今の2人はまだ、未来へ駆けはじめたばかりです。
カタチが見えない存在だといっています。
誰に祝福されなくとも、前へ進みだしさえすればきっと何かが見えてくるのです。
とにかくこの瞬間を無駄にせず、2人の世界を作り上げよう。
ずっと先の光が差す向こうまで。
1歩また1歩と、2人はゆっくりと歩みはじめるのです。