【指輪と合鍵】が象徴する”こころのシンボル”

【指輪と合鍵。feat. Ai from RSP/ハジ→】切ない遠恋ソング!歌詞のストーリーを解説!の画像

”切ない”だけで恋愛は完成しない

会えない…は距離のことだけじゃない!

ハジ→は、ヒップホップ=ラップのカテゴリーに分類されることがありますが、リズムとビートに感覚で言葉を乗せているわけではなく、はっきり音程譜割り指定した緻密な楽曲制作を行なっています。

音楽的な創作能力相当に高レベルと言えるでしょう。

さらに、言葉の選び方がラップで行われる「ライミング」や「スリッピング」などの表音同期だけでなく、立派な文学表現になっています。教養の深さに驚きます。

描き方が"詩的"なのです。単なる情景やストーリーの叙述に留まっていません。

指輪」「合鍵」などシンボル巧みに使う描写は、小説家に通じるものがあります。

会いたいのに 会えない距離
会いたいとき 会えないのに・・・

生まれてからこの方 この街で育ってきたうちにとって
他所の人と恋に落ちるなんて 正直予想もしやんかった
人見知りの激しいうちやのに あんたは不思議なくらい自然に
くたびれた心の隙間埋めるように すぅーって入り込んできたんや

出典: 【 指輪と合鍵。feat. Ai from RSP 】/作詞:ハジ→ 作曲:ハジ→

ハジ→とは何者?

ハジ→仙台出身で、アンダーグラウンドの活動からそのキャリアをスタートさせました。

当初は二人組でしたが、メンバーの結婚を期にソロとなり、東京に拠点を移してプロデビューを果たしました。

24歳で音楽活動を始め、メジャーデビューが30歳間近とは相当な"遅咲き"ミュージシャンですが、所属した事務所のバックアップは強力でした。

出会った当初から彼の才能に刮目し、その将来を嘱望する強い信頼関係が出来上がっていたから、とのことです。

ハジ→(ハジー、1981年1月9日 - )は、日本の男性シンガーソングライター。
宮城県仙台市出身。
所属芸能事務所はエンズエンターテイメント。
所属レーベルはユニバーサルミュージック内のユニバーサルJ。
血液型はA型。

出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%82%B8%E2%86%92

音楽性と叙情性のバランスの良さ

ハジ→楽曲は、この【 指輪と合鍵。feat. Ai from RSP 】だけでなく、その多くが女性に忠誠を誓う男性の告白となっています。おそらく彼の創作テーマは、キャリアを通じて統一的にこれなのでしょう。

たとえば「道。」と言う作品で、人生の要素を教科書に比喩しながら愛を告げたり、「ずっと。」で相手の悩みを問いかけたり、登場人物は異なりますが、心理的情景はほぼ同じです。

肝心の音楽は、メロディハーモニーもしっかりとしており、トップビートにベースを乗せた独特のリズム体が特徴的です。メロディメーカーとして優れた作家と言えるでしょう。

ラップのように言葉が早口で出てくる構成なので、旋律が軽んじられているかに見えますが、細かなニュアンスまで音符が決まっていて、音楽的な意図は明らかです。

歌詞叙情性メロディの音楽性が、バランス良く整っているのです。

【指輪と合鍵。feat. Ai from RSP/ハジ→】切ない遠恋ソング!歌詞のストーリーを解説!の画像

遠距離恋愛のせつなさ

繰り返し登場する”会えない”男女

ハジ→楽曲には、「会えない」二人が頻繁に登場します。

ずっと。」では「今からいくよ そういって行けるような距離に二人はいない

君と。」では「本当に 君 想うだけで ほっこり 一瞬で笑顔になれちゃうことに感謝」

いずれの曲でも、が女性に変わらぬ愛を切々と訴えています。

"遠距離恋愛"は、物理的な距離だけでなく、時間立場などの抽象的な概念の中で、離れ離れになった設定でも成り立ちます。

ハジ→がテーマとして取り上げる「男女の距離」は、さまざまな設定で"遠くにいる君"として描かれています。

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【 指輪と合鍵。feat. Ai from RSP 】の二人

出張先出向いた街で 恋に落ちるなんてどうかしてるよな?
まるで恋愛小説とかなんかでありそうな出逢い
前の恋愛の傷引きずったまま 癒えずに臆病になってた
「もう二度と恋なんて」そんな俺が また人好きになった

こんなドキドキいつ以来やろ?こんな気持ちはいつ以来だろう?
好きになってもええんかな?この想い信じてもいいかな?
理屈じゃ抑えようのない感情 止めどなく込み上げて溢れ出しそう
二人の間に芽生えた 一つの愛の物語

出典: 【 指輪と合鍵。feat. Ai from RSP 】/作詞:ハジ→ 作曲:ハジ→

この曲では、大阪生まれの女性と出張先で出会った男性の恋が描かれています。

歌詞の中にもありますが、「恋愛小説とかなんかでありそうな出逢い」。設定が劇的すぎることを、客観視する描写がリアルです。

二人の独白で対話がすすむことも、聴いている人を設定に引き込む要素になっています。独白が生々しければそれだけ、感情移入が加わります。

この手法は、小説なら芥川龍之介やO.ヘンリーなどで使われていますが、音楽でストーリーを作るアーティストは稀でしょう。

「月に一度のデートも割り勘」は露骨にリアルな描写ながら、男性の収入がままならないことを、一行でイメージさせるテクニックは、ドラマ作家に匹敵します。

指輪を握りしめて、男性を想う女性合鍵を握りしめて、女性を想う男性

手から横顔へパンニングする映像が浮かびそうな、おしゃれなリリックです。

月一のデートも割り勘なんて そんなカッコ悪い俺のこと
お前はなんで愛してくれんだ? なんで信じてくれんだ?
そんなん急に言われても困るわ・・ うちな、あんな、えっとな・・・
伝えたいねんけど 上手に言われへん せやけどめっちゃ好きやねん

・・・

会えない夜には 指輪をそっと撫でて あんたを想うよ
会いたい夜には 合鍵握りしめて お前を想うよ

出典: 【 指輪と合鍵。feat. Ai from RSP 】/作詞:ハジ→ 作曲:ハジ→