村川梨衣5thシングル『Distance』
2018年5月にリリースされた村川梨衣の新曲『Distance』。
同年4月より放送開始したアニメ『ヒナまつり』のオープニング曲として使用されています。
自身が出演するアニメのオープニングに起用されたのはこの曲が初めてです。
『ヒナまつり』に寄り添った曲
作詞・作曲は、ゲームやアニメの音楽を数多く手がけるユニットmilktubのサポートメンバー宮崎京一。
タイアップがあらかじめ決定していたうえでの楽曲制作でした。そのためか、かなりアニメを意識した曲に。
元々は監督・及川啓の「ギャク路線なのにエエ曲というボケを」との要望から作られたのだとか。
原作とアニメの両方に登場する、とあるシーンをイメージした歌詞。
そこにはギャグ成分を多分に孕みながらも、どこか心温まる作風に対する気持ちがあらわれています。
その片鱗はMVにも。作中でよく使われる土手や、主人公ヒナと同年代の少女が登場します。
『ヒナまつり』について
歌詞に使われたシーンを取り上げる前に『ヒナまつり』についてご紹介します。
『ヒナまつり』は大武政夫による同名ギャグマンガのアニメ化作品です。
面倒見の良いヤクザと無表情なサイキック少女の、親子のようで親子じゃない関係を描いています。
壺のコレクションが趣味の若いヤクザ新田の自宅に、楕円系の浮遊物体が突如現れるところから始まります。
物体から顔だけを出したヒナと名乗る死んだ目をした少女が、後ろにあるボタンを押せと言ってきます。
ボタンを蹴り押すと物体は消え、全裸のヒナだけが残りました。そしてひとこと「服くれ」。
新田はその後、流される(脅される)まま、自宅に住みついたヒナの世話をすることに。
その正体はサイキック少女。ヤクザならビルひとつ分をたやすく壊滅できる超強力な念動力の持ち主です。
強すぎたせいで元いた世界を追われているのですが、それは後々明らかになっていくものとして……。
世話焼きヤクザ新田と超能力以外のスキルはほぼゼロな少女ヒナの日常がギャグタッチに描かれた作品です。
ギャグマンガらしからぬシリアス調な画風も笑いとのギャップを生んでいます。
家族だけど家族じゃないの
パロディ以外の何物でもないアートワークからも分かるとおり、アニメ版も原作を踏襲したギャグ展開が基本。
ですが、見どころは笑い以外にも。それは、信頼があれば血は繋がらずとも親子になれるという点です。
ヒナがどんどん新田に懐いていき、新田もまたヒナに情が移っていく経緯がたまりません。
思わず目が潤んでしまう場面も。
ギャグなのにエエ話というギャップは『Distance』同様、監督による壮大なボケかもしれませんが。
さておき、血を分けた親子間のトラブルが毎日のように報じられる近年。
赤の他人だった大人と子供がひとつ屋根の下で暮らそうとするドラマはひとつの象徴だと思います。
社会問題にまじめに向き合ったものだと『万引き家族』や『義母と娘のブルース』でしょうか。
こうした潮流が自由なギャグの世界でも無意識的に取り入れられている点が面白いと筆者は感じました。
村川梨衣の役柄は?
主人公ヒナを演じているのは本作が初主演となる田中貴子。
新田を演じているのは、乙女系アイドル育成ゲームで認知度を高めた中島ヨシキ。
そして村川梨衣が演じているのは、ヒナを倒すべく元の世界から送り込まれた少女アンズ。
金髪のサイドテールがかわいらしいキャラクターです。ヒナとは元の世界で共に戦っていた仲間でもあります。
自分の欲に忠実でも他人の感情に疎い(クズ属性の)ヒナに対し、アンズは感情的ですが素直で謙虚さらに勤勉。
ファンのあいだでアンズが天使と呼ばれているゆえんです。
歌詞のエピソードはこれ
『Distance』の歌詞ともっともシンクロしていたのは第4話「勘当ロックンロールフィーバー」です。
(新田とヒナの話をベースにしたことが分かっているだけで、正解は語られていないので諸説あります)
あらすじは以下のとおり。