楽曲名の「鳥籠の少年」の中にある少年という言葉。
しかも「鳥籠」という閉鎖的な空間をイメージさせる言葉の後ろにこの少年という言葉が使われていること。
アニメの内容からすれば、戦争に巻き込まれている少年達全員の事を、まとめているとも考えられます。
しかし、やはり想像できるのは、このアニメの主人公「カミーユ・ビダン」のことでしょう。
「カミーユ」という名が女性的であることに激しい劣等感をもつ。そのため、小型飛行機であるホモアビスやジュニア・モビルスーツなどに熱中したり(MSの大会では優勝するほど)、ハイスクールでは空手部に所属したりするなど、「男性的」な趣味に傾倒していく。劣等感と家庭環境も併せて、非常に繊細で感情の起伏が激しい性格に育つ。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/カミーユ・ビダン
性格的に内向的な部分があり、精神的にはまだ未熟でカッとなることも多く、大人に対して非常に反抗的な少年が主人公のカミーユ・ビダン。
その主人公が戦争に巻き込まれていき、特別な能力があることでどんどん戦争の深みにはまっていきます。
「鳥籠」と言葉は、彼の精神的な面と、戦争と言う特殊な状況下における世界観の両方を表していると考えて良いでしょう。
鳥籠の少年〜First verse〜
楽曲の1番から解説していきましょう。
宇宙からみた地球
最果てに見た 青い星は
光のない 彷徨い人よ
何も知らず 愛を求めてる
その力の先に待つ未来へと
出典: 鳥籠の少年/作詞:ryo 作曲:Masayoshi kawabata
スペースコロニーは人工の建造物であり、内部は地球そのままの自然ではない、整理された自然でもある。そこを主な生活の場としてきたスペースノイドは、やはり地球とは違う環境で育つためか、アースノイドから見れば物事の感じ方などが変化してきている。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/スペースノイドとアースノイド
スペースコロニーと呼ばれる、宇宙空間に作られた、地球にそっくりな環境の人工的な居住空間の中で生まれ、育った人達の事を指します。
そして、作中では宇宙で暮らす人々にとって、地球は憧れでもあり、また憎むものでもあるのです。
なぜ憎むのかと言うと、このアニメの一つのテーマ、「差別」が大きく関わってきます。
アニメの中で地球に住んでいる人が、宇宙で生まれた人たちのこと「宇宙人」と呼ぶシーンがあります。
同じ人間なのに、地球と宇宙で生まれた違いだけで、差別を生み、戦争を起こす人間の愚かさが描かれているのです。
母なる大地、地球に対しての愛と、憎しみがこのAメロに現れています。
成長を見守る視点
たとえ一人になっても
声が届かなくても
あなたの儚い想い
胸の中感じているから
出典: 鳥籠の少年/作詞:ryo 作曲:Masayoshi kawabata
恋人で、体の自由が利かなくなったカミーユ・ビダンを献身的に支えるファ・ユイリィでしょうか。
または、カミーユ・ビダンと敵ながら恋に落ちたフォウ・ムラサメでしょうか。
かなりカミーユ・ビダンに想いを寄せる人からの優しさを感じられる歌詞です。
作品の中には、他にもカミーユの成長を願う女性がたくさん描かれています。
そんな彼女達全員のカミーユ・ビダンに対する母性に近い応援かもしれません。
性格的にも未熟で、子供っぽさが残る主人公のカミーユ・ビダンですが、その純粋さと人としての可能性の大きさから、様々な人たちから期待されているのです。
応援と期待
砂漠にそっと咲いた花の 負けない強さ
心を閉じ込める 鳥籠を壊していくわ
戸惑いながら広げてく 孤独な翼
愛して失くしても 翔べるわきっと
出典: 鳥籠の少年/作詞:ryo 作曲:Masayoshi kawabata
主人公のカミーユ・ビダンは、戦争の中で苦悩していきます。
特に前半は、戦争を勝手に始める大人たちへの嫌悪感がひどく、何かあるたびに食って掛かり、周囲を困らせる原因に。
しかし、彼の主張には一貫性があり、大人達も生意気だと思いつつ、彼の純粋さと可能性に期待していくのです。
まさに、孤独ながらも力強く咲く、砂漠の花のように。
歌詞にはそんなカミーユ・ビダンに対しての「子供っぽさ」、また「戦争」という鳥籠から、きっと羽ばたいていけると言う期待と応援が感じ取れます。