家のシケモクを取っておいてもね
君に会えることはないのね
君のお髭が伸びる速さで
朝寝坊してしまうわ
出典: 僕のリリー/作詞:たかはしほのか 作曲:たかはしほのか
まずは、導入部分です。
愛し合っていた君との思い出にすがるような冒頭になっています。
一緒に住んでいたのか、君が吸っていたタバコの吸殻を片付けることもできず、それを残しておくことでいつでも君が帰ってきてもいいようにと心のどこかでは淡い期待を持ち続けているようです。
しかし、そんなことをしていても君が帰ってこないということも自分でちゃんと分かっていて、そのジレンマに押しつぶされそうな心が絶妙に表現されています。
また、髭の伸びる速さで朝寝坊してしまうという様子からは、なかなかベッドから抜け出すことができず、夢を見続けていたいと身体が睡眠を欲していることが窺えます。
きっと夢の中だけは君と会うことができて、現実を受け止めたくないのではないでしょうか。
待ち合わせは人目を気にして
別れ際に落し物をして。
出典: 僕のリリー/作詞:たかはしほのか 作曲:たかはしほのか
そして、過去の回想へとストーリーは進んでいきます。
2人の関係を公にしていなかったのか人目を気にしながら会っていたようです。
だからこそ、2人の関係はより密な関係であったのではないでしょうか。
また、「別れ際に落し物をして」というフレーズからは、たくさんの思い出や気持ちを最後に受け取ったことが窺えます。
そんなものを拾ってしまったら忘れたくても忘れられなくなってしまうのではないでしょうか。
酒気帯びで地球をベッドにしたい。
笑っていたい、君に会いたいなリリー。
出典: 僕のリリー/作詞:たかはしほのか 作曲:たかはしほのか
そして、そんな忘れられない思い出に溺れるように浸っていたいという気持ちが表現されていきます。
お酒に逃げるように、そして、君を想い続けてしまうダメな自分を受け止めるような歌詞である分、その想いの赤裸々さとまっすぐさが伝わってきます。
さらに「笑っていたい」、「君に会いたい」とその言葉の素直さがヒシヒシと心に届いてくる歌詞になっています。
忘れることができない存在
茶色くなった手首で君の匂いがするハイライトを吸っている。
「プラネタリウムに行こうぜ!」
日々に目眩がする。人殺し、つれだして!
出典: 僕のリリー/作詞:たかはしほのか 作曲:たかはしほのか
そして、自堕落になってしまったダメ自分を君のせいにするかのような歌詞が描かれます。
「茶色くなった手首」というフレーズからは、もしかしたら自傷行為をしてしまっているのかもしれません。
また、タバコを吸うようにもなってしまったことも分かります。
この部分は、MVに描写されているシーンにも繋がってきますね。
そして、君が言っていた言葉が日々の中で巡ってきて、「ダメになったのは君のせいだ、言葉をちゃんと守って!」と、恨むかのようなフレーズが続いていきます。
家のシケモクを取っておいたので、
ぼくのプライドも弱ってしまったよ。
君のおかげで、ぼくは言葉を忘れることが出来たの。
出典: 僕のリリー/作詞:たかはしほのか 作曲:たかはしほのか
それもこれも君が残していったシケモクをそのまま残してしまっているせいではないでしょうか。
君を思い出してしまうアイテムが残っていることによって、忘れることは難しくどんどん自分がダメになってしまっていっていることを認識しています。
しかし、それほど君のことを愛していたし、そこには言葉もいらないほどの感情が存在していたことも伝わってきます。
今は、過去を引きずっていて幸せとは言えないかもしれませんが、君がいた時はとても幸せだったことが想像できる歌詞になっています。
未来へと踏み出すことができない
あぁ、遠い思い出に気を取られた未来など
タイムスリップしたようなものです。
出典: 僕のリリー/作詞:たかはしほのか 作曲:たかはしほのか
そんな思い出を引きずり続けていると、どれだけ時間が立とうとも前に進むことはできません。
誰にでも平等に、そして、無常に時は過ぎていきます。
それでも過去に捕らわれていると自分はいつまでも君といた頃の自分のままになってしまい、過去からそのままの自分のままで未来へと進んでいってしまいます。
それを「タイムスリップ」というフレーズで表現しているのではないでしょうか。
酒気帯びで、わたしはベッドの上。
誰かの愛を待つふりをして
逃げていました。
君に会いたいな
君に会いたいわ
君に会いたいぜリリー。
ぼくのリリー。
出典: 僕のリリー/作詞:たかはしほのか 作曲:たかはしほのか
そして、最後は地球の上からベッドの上へと歌詞が移り変わります。
君と過ごしたベッドの上にいることで、前に進むことから逃げ続けていることをちゃんと自分でも分かっていて、それを「逃げていました」と吐露しています。
しかし、それを過去形で表現することで、少しでも前に進んでいこうという気持ちが新たに見えてきます。
そして、その後に「君に会いたい」と繰り返すことで、新しい自分で出会い直したいという気持ちも受け取れます。
このように「僕のリリー」の歌詞は、過去の思い出にすがりながらもダメな自分を受け入れ、少しずつ前に進んでいこうという恋愛を描いた歌詞になっていました。