無意識の幸せを守ることができる?リーガルリリー「ハンシー」
透明感と浮遊感、倍音と歪み、タイトなリズムからなるバンドサウンド。
音そのものの醍醐味がシンプルなスリーピースで体現された名曲でしょう。
「ハンシー」は2020年2月にリリースされた、リーガルリリーの1stアルバム「bedtime story」の収録曲です。
アルバム発売後の同年3月から4月にかけては全国ツアーも開催。
ますます精力的に活躍の場を広げる中での力作の1つです。
演奏シーンと女優の小西桜子さんが演じる物語が交錯するMVは公式YouTubeチャンネルにアップされています。
歌詞には「無意識の幸せ」を求めて葛藤する日々が綴られています。
いったいどうすれば幸せを守ることができるのでしょうか。
ちなみにタイトルは造語だとか。
「空想的な」という意味のファンシーのようでもあり、もしかしたら漢字が当てはまる?など想像が膨らみます。
オルタナティブなサウンドとは対照的に、儚い詩世界が展開される歌詞の思いに寄り添います。
1番の歌詞を見よう!
この曲で終わり?
もしかしたら
これが最後の歌かもしれなくて
もしかしたら
これが最後の
ギターかもしれなくて
出典: ハンシー/作詞:たかはしほのか 作曲:たかはしほのか
いきなり「え?」と絶句した方が多いのではないでしょうか。
せっかく素敵なバンド、リーガルリリーに出会えたのに、この曲で終わり?
この曲を作っているときに何か思い詰める出来事でも起きたのでしょうか。
ただラスト曲かもしれないと感じているのは「ハンシー」とは限りません。
例えばライブ。
どれほど素晴らしくても名残惜しくても、必ずラストの1曲は存在します。
しかしライブの話なら、これほど哀愁の漂う歌い方にはならないでしょう。
あるいはアルバム。
ところが1stアルバム「bedtime story」で「ハンシー」はラストから2曲目、ラストは表題曲です。
そこで考えられるのは、大好きな音楽活動に終わりがくるかもしれない。
そんな危機感があるということです。
いったい何が起きたのでしょうか。
続きを見てみましょう。
無意識の幸せとは?
無意識にやってくる
幸せを聞き取って
無意識に感じる絵を集めた
出典: ハンシー/作詞:たかはしほのか 作曲:たかはしほのか
この曲のキーワードとなる「無意識の幸せ」が出てきました。
ここはほっと安心する場面でしょう。
たかはしほのかさんがリーガルリリーの音楽活動に危機感を覚えているわけではありませんでした。
実際、いつでも誰でも、この曲を聴くのが(あるいは演奏するのが)ラストかもしれない可能性はあるわけです。
ただ、その可能性についてはあまり意識していないということ。
つまり無意識。
大概、明日もあさっても音楽を楽しめると思いながら生きているものです。
もちろん音楽に限らず、他の楽しみや食事などの日常生活、誰かと会話することなどの人間関係もそうでしょう。
普段は意識せず、当たり前のようにしている行為を「これがラストかもしれない」と改めて意識したわけです。
そして「幸せ」が生まれたという話。
これが「無意識の幸せ」です。
耳や目による聴覚的、視覚的な感覚を研ぎ澄ますと、日常的には気にしていなくても、実際、確かに幸せはある。
そんな意味ではないでしょうか。
サビの歌詞を見よう!
たくさんの幸せに感謝!
数え切れないほど
あなたはいっぱい持って
溢れそうだよ
出典: ハンシー/作詞:たかはしほのか 作曲:たかはしほのか
非常にエモーショナルなサビです。
あなた自身、ちょっと意識するだけで本当はたくさんの幸せを抱えている。
実は誰もが幸せで満たされているということに気づかせてくれる歌詞です。
例えばこの曲を聴きながら「ラストかもしれない」と想像しただけで、ものすごく有難くなりますね。
音楽が好きな方なら、音楽を聴くという幸せが山ほどあるわけです。
「これがラストの食事かもしれない」と思いながらご飯を食べると、涙がこぼれるほどおいしく感じられるはず。
人生のあらゆる出来事や人間関係、命そのものに感謝したくなります。
このサビを聴いて、有難い喜びだらけになったことでしょう。
真似事ではない才能
天才のふりした
私はずっと笑ってここに佇む
君の影を踏んだ
出典: ハンシー/作詞:たかはしほのか 作曲:たかはしほのか