駅のホームで恋人との再会を待ちわびます。
親や兄弟、世間体から逃げて心中したい主人公と恋人。
きっと現世で彼らが結ばれることはないのでしょう。
駆け落ちしたところで、きっと見つけられて引き離されてしまう。
離れるくらいだったら逃げられる所まで逃げて、一緒に死んでしまいたい。
そんな愛と絶望を感じる描写になっています。
心中の決意
手を取り合って
旅立ちましょう ready
さぁ、お手をどうぞ
出典: 暗闇心中相思相愛/作詞:只野菜摘 作曲:川田瑠夏
ようやく恋人と駅で会うことができた主人公。
一瞬安心しますが、ここからが正念場です。
心中の旅から引き返すなら今しかありません。
一人なら不安に襲われて体が動かなかったかもしれません。
けれど、待ちに待った恋人が主人公の意思を強固にします。
固く手を繋ぎながら二人は列車の中へと消えていきます。
運命なんて変えてしまえ
私が サダメの下僕なら
華やかに裏切ってやるのだ、
今日こそ
出典: 暗闇心中相思相愛/作詞:只野菜摘 作曲:川田瑠夏
現代と違い、明治や大正時代の女性はとても生きづらかったのではないでしょうか。
親の促されるままに見合い結婚が決まってしまいます。
相手方の男性とは顔を合わせたこともありません。
しかし家族や家族の家計のことを考えると、見合いを受けざるを得ません。
普通に結婚して、普通に育児して、普通に老いる。
そんな人生を予期するなかで、恋人に出会ったのではないでしょうか。
家族や世間体に振り回されるのはもう嫌だ。
自分の人生は自分で決めてやる。
主人公の深い愛情と強い決意が垣間見えます。
添い遂げるための「死」
死こそが永遠ならば
抱きしめて 石になって構わない
急ごう
愛してるよ モナムール
出典: 暗闇心中相思相愛/作詞:只野菜摘 作曲:川田瑠夏
列車に飛び乗って駆け落ちを始める主人公と恋人。
しかし、二人とも薄々理想と現実の差に気付き始めます。
遠くに逃げたとしても、貯金はすぐに底を尽きてしまうでしょう。
住所不定無職の男女。
きっと不審に思われて、いつか警察に捕まってしまいます。
そう、現世で彼らが幸せに結ばれる未来はないのです。
それでも二人で一緒にいたい。
そんな時に取れる最後の手段、心中を強く意識するようになります。
死ぬための「生」
彼なしには生きられない
離すまいと幾度も 重ねあった唇
未熟もんの私を 吸い尽くす
出典: 暗闇心中相思相愛/作詞:只野菜摘 作曲:川田瑠夏
不安と抱えながら列車に揺られる二人。
ようやく手にすることができた二人っきりの状況です。
結ばれない運命を忘れるように愛し合います。
しかし、愛し合えば愛し合うほど無力感に苛まれる主人公。
今が現世で結ばれる唯一の瞬間だと自覚しているのに、これ以上何もできない。
いっそ自分の存在が彼に吸収されてしまえばいいのに。
自暴自棄な主人公の揺らぐ心が描かれています。