どんな風に死んだか、
たぶん最後のそれで
どんな風にいきたか、決まるのだ
出典: 暗闇心中相思相愛/作詞:只野菜摘 作曲:川田瑠夏
人に、家族に振り回されて生きてきた主人公。
親のレールに従っていたとしたら、何者でもない人生を過ごしてしまいます。
そして死ぬ間際に「もっとこうすればよかった」と後悔する自分を想像します。
どういう人生を過ごしたかによって、死後の評価は変わっていきます。
有名な画家や芸術家で、死後に努力や才能が評価される方は少なくありません。
この曲では真逆の発想をしています。
つまり、どういう死に方を選んだかによって、生前の評価が変わるという考え方です。
「愛に生きた女性」として命を終わらせたいと願っているようです。
燃え上がる二人の愛
モナミ、モナミ、いとしいひとの
Mon ami、Mon ami 生命力よ
愛に溺れ そして闘う炎
出典: 暗闇心中相思相愛/作詞:只野菜摘 作曲:川田瑠夏
歌詞中のローマ字はフランス語で「愛する人」の意味です。
また、フランス語には男性名詞と女性名詞があり、男性名詞を使っています。
そのことから、主人公は女性である可能性が高いと推察されます。
愛を確かめ合う主人公と恋人。
幾度も名前を呼び合いながら、愛を育んでいきます。
会いたくても会えない。
そんな状態が長く続いた反動でどんどん燃え上がっていきます。
恋人の息遣いや鼓動を感じることができる。
隣で寝ている恋人を見て多幸感に浸る瞬間が誰しもあるのではないでしょうか。
敷かれたレールへの復讐
あなた達と一緒にしないで
旅立つのなら
皆さん、お先にどうぞ
私が サダメの下僕なら
華やかに 裏切ってやるのだ、
今夜は
出典: 暗闇心中相思相愛/作詞:只野菜摘 作曲:川田瑠夏
きっと昔は、何の疑問もない人が多かったのでしょう。
自分の人生なのに、家族や他人に指図され振り回される女性たち。
そんな時代で主人公はとても進歩的な考え方を持っています。
頭が良く、合理主義な彼女を周りは疎ましく思ったのでしょう。
彼女を「普通」の人に洗脳しようとします。
しかし、主人公は意に介しません。
愛することが意趣返しよ
指定の切符を捨てて
イラズラな眼差しの微笑み
心臓、撃ち抜かれる 絶望
出典: 暗闇心中相思相愛/作詞:只野菜摘 作曲:川田瑠夏
親や世間がなぜ私の人生を決めるのか。
思考停止している親兄弟を嘲笑う主人公。
本当は認められる形で恋人と結ばれたかったことでしょう。
しかし、駆け落ちした今もうその願いは叶いません。
なら、最後にお前達が一番嫌がる形で終わってやる。
私の鼓動が止まるとき、お前達は絶望に打ちひしがれるのだ。
駆け落ち、心中することで復讐を果たそうとします。
一般的には「死」を良い事として語られる機会は少ないと思います。
ブラックユーモアと呼ばれることもあるでしょう。
「死にたくない、もっと生きたい」と思う人が多数だと思います。
【暗闇心中相思相愛】では「納得のいく死を迎えるために、命をかける」というユニークな発想をしています。
一緒に死にましょう
旅立ちましょう ready
さぁ、お手をどうぞ
あなたが 独占したいなら
美しく
したがってあげましょう最期は
出典: 暗闇心中相思相愛/作詞:只野菜摘 作曲:川田瑠夏
物語のクライマックスへ突入します。
列車はどこかへ到着したのでしょうか。
主人公と恋人は死に場所を探します。
死ぬ間際、恋人は現世での別れを惜しみます。
「きっと来世でまた会える」
そんな言葉をかけながら、愛を交わし心中します。
主人公は思惑どおり、心中することで家族や周りの人への復讐を果たしました。