誰を想い舞う

呪術廻戦エンディング

Cö shu Nieは2021年3月10日メジャー5枚目となるシングル【give it back】をリリース。

それに先立って大人気漫画『呪術廻戦』アニメ第2クールエンディング曲として公開されています。

曲の方は不条理を嘆くかのような寂しげな雰囲気で、どこかエキゾチックな巫女が歌うようでもあります。

ちょっと裏話

アニメが終盤を迎える頃『フーヤコシュニエカバーコンテスト』なるイベントが開催されました。

各々が【give it back】のカバー動画を投稿し、Twitterにタグを記載して掲載するというもの。

優秀賞の選定はなんとCö shu Nieのメンバーが行うこととなりました。

楽器や歌あるいは踊りなど思い思いの特技を引っ提げ参戦。

私事ですが知人のピアニストもこちらの企画に参加し、盛り上げてくれました。

優勝したのは独特の間を駆使して踊る男性のダンサーだったと記憶しています。

ファン参加型の企画というのは予想外のものが生まれるから面白いですね。

ではそろそろ気になる歌詞の方を読んでいくとしましょう。

戦いの荒野、叫ぶは魂

それは夢

暖かい 涙で ふいに目覚めた
焦がれた 夢の続きは 何処にあるの
寂しいよ

出典: give it back/作詞・作曲:Miku Nakamura

物語の始まり。

どうやら先程まで夢の中だったようです。

涙に気付き語り手は我に返ることになります。

涙が暖かいのは流れ出て程ないことが窺える描写です。

しかし悪夢なら流れるのは冷や汗。

涙が流れるとは何事でしょうか?

それは恐らく悲しい出来事。

誰かと別れることになった?

大事なものをなくした?

夢の中でも泣いてしまうくらいリアルな体験だったのでしょうか?

そうなってくると、その夢の世界は現実の人物や物にリンクしていたことも考えられます。

また別の見方をすれば、リアルで別れた人と会って語る夢であった可能性も否定できません。

その根拠は夢から覚めた後もその続きを求めてしまっている点です。

夢の中だけの人物であれば目覚めた後に「変な夢だったな。」のような感想で終わるはず。

呪術回戦では幾つかの別れが描かれていますが、まず虎杖悠仁は彼の祖父を亡くしました。

祖父は短い遺言を遺して逝ってしまい、最後の会話も冗談交じりのやり取りで終了です。

もしあと10分時間があれば何を語ってくれたかな?

その続きがもし夢で見れたのだとしたら・・・。

次に思い当たるのは五条悟がかつての盟友夏油傑と袂を分かつ出来事です。

呪詛師に堕ちる前のかつての夏油に夢の中で会えたならどんな言葉をかけてやれただろう、と。

そうした物語とリンクしてくる部分も見逃せません。

ですが夢である以上過去の続きやもしも話は覚めれば露と消えてしまうのでした。

あの日々を返して

Cö shu Nie【give it back】歌詞の意味を考察!夢の続きと胸が熱くなる理由を深読みの画像

Please, give it back
いつになれば楽になれる
押しては返す波に抗って

出典: give it back/作詞・作曲:Miku Nakamura

英語部分は「お願い、返して」といった意味です。

どうやら歌の語り手は何かを返して欲しいようなのです。

先述の夢では呪術廻戦の登場人物が別れた人と再会し語り合ったという可能性が示唆されています。

このことから「返して欲しいもの」とはその「別れてしまった人」ではないかと推測してみてはどうでしょうか?

その別れた人を奪ったのは寿命や進む道の相違だったりもするわけで、誰かに奪われたものばかりではありません。

それはまるで架空の第三者に対し「返して」と訴えているようでもあります。

もしそんな存在があったとするならば、それは「時間」に対して嘆願しているのかもしれません。

「お願い、あの頃に戻れるのなら。」

誰に対するわけでもない心の叫び声を発している印象ですね。

また彼らは呪霊との戦いにより多くの仲間が傷つき倒れていくのが避けられない定め。

そんな中虎杖は仲間たちと和気あいあいしていた呪術高専での日々を夢で見てしまったとは考えられないでしょうか?

今はもう戻ることはないであろう安堵の時が戻ってくるならば返して欲しい。

そんな想いも込められている、というのは考え過ぎでしょうか?

呪霊との戦いには終わりが見えず、終わりがなければ安堵の日々が訪れることもない。

暫くは間断なく押し寄せる争いの波に翻弄され続けることになるのでしょう。

見果てぬ惨状、願いも虚し

夢とは儚い

白い枕に 寝惚けたままの顔を 埋めて
同じ夢を 願うほどに 冴えていくよ

出典: give it back/作詞・作曲:Miku Nakamura