『タリホー』とは?
ザ・クロマニヨンズのデビューシングルに収録された表題曲です。
このシングルには他に『弾丸ロック』と『クロマニヨン・ストンプ』が収録されています。
『クロマニヨン・ストンプ』は彼ら初の全国ツアーでほぼ毎回1曲目に歌われた「挨拶代わり」の曲。
それを収めたこのシングルもまさに「挨拶代わり」だったわけですね。
そして、挨拶代わりのシングルの表題曲が「タリホ―」だったことにも実は深い意味があったようです。
歌詞を紐解いていくとその深い意味の答えが見えてきました。
やさしいけど意味不明?『タリホー』の歌詞
そもそも「タリホー」ってどんな意味?
まず、タイトルにもなっている「タリホー」という言葉ですが、いくつか意味があるようです。
- キツネ狩り猟犬に追われたキツネが現れた時に、見張り役が叫ぶ掛け声
- 「目標捕捉」という意味の軍事用語
- スクウェアダンスのコール(基本的動作)のひとつ
「目標捕捉」?
わいタリホー さめタリホー
氷もほっときゃ 流れるぜ
出典: タリホ―/作詞:甲本ヒロト 作曲:甲本ヒロト
ここではどうやら「目標捕捉」の意味で使われているようです。
歌い出しでいきなり「わいた」「さめた」にひっかけたダジャレとして使われています。
このことなどからも、なじみのない私たち日本人にとっては不思議な語感がありますね。
なぜ「目標捕捉」の意味で使われているのかは改めて考察します。
「水」がテーマ?
水、氷、水蒸気…
闇に溶けてゆく 海へ 海へ
まぶしい陽に昇る 空へ 空へ
わいタリホー さめタリホー
氷もほっときゃ 流れるぜ
出典: タリホ―/作詞:甲本ヒロト 作曲:甲本ヒロト
そのダジャレを含めた部分は歌の中盤とラストにも繰り返し登場します。
このことからも、この歌の「テーマ」であることは間違いなさそうですね。
多くの人が「わいた」=「沸いた」、「さめた」=「冷めた」で、水(お湯)のことでは?と解釈しています。
次のところで「氷」が出て来るし、途中の「溶ける」という言葉。
そして「空へ昇る」というフレーズも、ダイレクトに水を連想させます。
氷なら「融ける」が正しいのですが、ここでは「闇」にも引っかけてこちらを使っているのでしょう。
さまざまな形に変わる水
水は氷にもなるし北極や南極の氷は夜の闇の中で「溶けて」「海へ」流れ込みます。
海水は「陽に」照らされて蒸発し「空へ」昇ります。
水蒸気か雨粒になって「カモメ」の「翼の上」にくっついたりもするでしょう。
そして海水なら波になって「長い堤防」に押し寄せることもあるのです。
これはもう、たいていの人なら「水」がテーマだと解釈するのが自然ではないでしょうか。
歌詞でもはっきり「形は変わる」というフレーズが出てきますね。
最後のフレーズでは投げやりにも思えますが、変わることにあらがわないという気持ちがありそうです。
どうやったって変わるときは変わるし、その変化は悪いことばかりじゃない。
そんな想いを感じ取ることができます。
水は個体にも気体にも変化しますが、いつだって流れのままです。
人生だって、流れに身を任せてもいいんじゃない?そんなメッセージのようですね。