答えにたどり着く

…いつから僕ら
夢を忘れていたんだろう?

出典: ポラリスの涙/作詞:藤井敬之 作曲:藤井敬之

盛り上がりを見せていた曲はこのパートで静寂を迎え、このあと再び盛り上がりを見せます。

ストーリーの中に存在していたひとつの疑問に、答えが出る瞬間だと考えることができるでしょう。

そしてその疑問とは、曲の前半に出てきた「誓い」が一体どのような内容だったのかというものです。

「誓い」とは

2人は、「一緒に夢を叶えよう」と誓ったのではないでしょうか。

しかし「君」は大人になりました。

そして、あの頃とは違う夢を追いかけている可能性があります。

もしかすると、すでに叶えているのかもしれません。

一方「僕」は、いつしか「夢」ではなく「君」ばかり追いかけていました。

そのことに気付いた彼のセリフが、この歌詞で表現されているのでしょう。

もう戻れないあの日

暗い空

見上げた空を舞う夜
風に吹かれてココロが揺らぐよ

出典: ポラリスの涙/作詞:藤井敬之 作曲:藤井敬之

すべてを察した「僕」は空を見上げます。

見上げた空に、彼が期待していたものはありませんでした。

そこに青空が広がっていたのなら、彼の気持ちも少しは楽になったかもしれません。

ですが歌詞にあるとおり、そこにあったのは「夜空」です。

見上げた先を「夜」にすることで、彼の心の状態を表現しているように感じます。

さらに、これまで使われていた漢字の「心」ではなく、この部分にはカタカナが使われています。

「心」ならば、風に吹かれたくらいでは揺らがないでしょう。

あえてカタカナで表記することで、その不安定な状態を表現しているのではないでしょうか。

揺らぐ主人公

この先の歌詞からは、「僕」の感情が激しく揺らいでいる様を読み取ることができます。

あの日に戻れるのなら
君のすべてを壊れるほどに…

出典: ポラリスの涙/作詞:藤井敬之 作曲:藤井敬之

曲の前半では「守りたい」としていたのに、ここではそのとも呼べそうな言葉になっています。

それほど、今の主人公の想いが強いということではないでしょうか。

「守りたい」という表現よりも、彼の本心に近いように感じます。

彼はやはり、今でも彼女を想い続けているのです。

さらって もう一度僕を
あの日 言えなかった君への
想いを…

出典: ポラリスの涙/作詞:藤井敬之 作曲:藤井敬之

今でも想っているからこそ、相手にさらってほしいという表現になっているのではないでしょうか。

新たな夢に向かって歩んでいる「君」をさらうなんてこと、主人公にはできません。

ですが、彼女が彼をさらうなんてこともまた現実ではまず起きないことです。

それを理解しているからこそ、あえて「さらって」と表現したのでしょう。

「ポラリスの涙」という短編小説