ドミコの「まどろまない」という楽曲を聴いて耳に残るのは「ダダダラダラ~」という音と歌。
そんな人も多いのではないでしょうか。どう考えてもサウンド重視の楽曲です。
いわゆる曲先という作り方をされていて、歌詞は最後。確かに後付けの歌詞っぽい感じがします。
ただまったく意味のわからない歌詞にはしたくなくて、言葉選びには気をつかっているそうです。
でも、わかりにくい……ですよね。そこを何とか解釈してみました。
リズムありき?
枯れた芝居の方を見上げ
遅れた時代に踊らない
不思議と次第に眠るまで
冷えた熱帯にはまどろまない
出典: まどろまない/作詞:さかしたひかる 作曲:さかしたひかる
私がひかるさんなら……というまったくの想像による独自解釈を展開します。
楽曲制作の最後という歌詞の中で、最初に浮かんだフレーズはタイトルの「まどろまない」では?
普通はまったりまどろみたいものでしょう。そこをあえて否定した「まどろまない」という言葉。
「ま」が2つ入った6文字で構成されています。この2つの「ま」を強調すると強烈なリズムが!
歌詞の90%はできたようなもの……。それくらいのナイスアイデアです。いかがでしょうか?
まったくの個人的な想像ですが、この路線だと歌詞が解釈しやすくなるので、続けます。
形容矛盾
この「まどろまない」から歌詞を作り始めたと仮定すると、続くのは「冷えた熱帯」。
形容矛盾とか撞着語法(どうちゃくごほう)といわれる表現方法です。
「負けるが勝ち」「急がば回れ」「無知の知」なんかが相当します。
まどろみたいところをあえて「まどろまない」と否定したので、逆につながりやすいようです。
さらに「冷えた熱帯」と同じ韻を踏む言葉を探していった……という流れではないでしょうか。
とくに「芝居・時代・次第」の3つが「熱帯」と同じ「アイ」の音で強調されています。
「まどろまない」と同じ「アイ」という韻を踏む「踊らない」の歌詞が先だったかもしれません。
ただまったく意味のない言葉の羅列ではないそうなので、その世界観に踏み込んでみましょう。
小鳥の飛ばない未来?
SFっぽいイメージ
慣れた手付きで物語り
小鳥は未来には飛んでいることはないって
美しいことには変わらないけど
ふたりの世界に及ばない
出典: まどろまない/作詞:さかしたひかる 作曲:さかしたひかる
タイトルの「まどろまない」からして「アイ」という韻を踏んでいる……ということで発見!
もしかしたらひかるさんはひたすら愛について歌いたかったのではないでしょうか?
ただストレートに「愛している」なんて言葉は歌詞に使いたくないという美意識なのでしょうね。
さらに「アイ」という強烈なリズムをぶっ壊してまで放り込んだ歌詞が「小鳥は~」です。
ここがこの楽曲の世界観を象徴していると考えられます。
「まどろまない」で描かれているのは、人間が絶滅した遠い未来、SFっぽいイメージだとか。
ディストピアや終末ものということになりますね。
小鳥が飛ばなくなり、誰もいなくなっても、2人の愛はすばらしい……ということでしょう。
誰もいない世界にどうやって2人だけが存在するのか?も物語ってもらいたいところです。
路頭に迷うほど何も信じられない?
深い愛はただよう
触れてみたいよ
明かりのともった月の裏側
信じられなくて路頭に迷う
隠れて見えない湿原の光景は頭に残って
出典: まどろまない/作詞:さかしたひかる 作曲:さかしたひかる
SFっぽいディストピアが描かれているとしても、具体的な物語がよくわからない「まどろまない」。
かっちりとした物語をあえて提示しない!という美意識が感じられます。
ただ人間が絶滅しているにもかかわらず、何らかの方法で生き残った2人がいるわけです。
それくらいの深い愛について歌っている雰囲気はただよってきます。
しかし「月の裏側」などの抽象表現が何のメタファーか?すら解読不可能。
歌詞を書いているひかるさんも、この曲のリスナーも「路頭に迷う」という意味かもしれません。
ひかるさん自身が何も信じられなくなっているようですので、このまま先へ進みましょう。