あのね あの人パパにどこか似てるの
背中も ふとしたしぐさも
出典: パパ/作詞:中山加奈子 作曲:奥居香
彼を好きになった理由にパパに似ているからと言われてしまったら、パパはもうぐうの音も出ないでしょう。
彼はパパに姿形だけでなく、何気ない所作も似ているようです。
パパだって彼が自分に似ているといわれてたら悪い気はしないでしょう。
それどころか、とても嬉しいはずです。
だからといってパパに許してもらいやすくするため、といった作為的なものは微塵も感じません。
だって娘はパパを大好きなのです。
なので彼にパパの影を求めるのはごく自然のことと思われます。
特に意識して彼を選んだわけではないけれども、付き合っていくうちにパパとの共通点が次々にみつかってきた。
そんなところではないでしょうか。
あのね パパもあの人 気に入るはずよ
私達 愛しあってるの
出典: パパ/作詞:中山加奈子 作曲:奥居香
パパはきっと彼を気に入ってくれるはずと娘は確信しています。
それくらい自信を持って紹介できる人物なのです。
"私達、お互いを信頼し心から尊敬しているし、きちんとお付き合いしているから大丈夫だよ。"
そう伝えることで、パパを安心させたいという娘心を感じるフレーズです。
パパとの思い出
1枚の写真
私が生まれた日の写真には
慣れない手つきで私を抱く パパの笑顔
出典: パパ/作詞:中山加奈子 作曲:奥居香
ここで父娘の姿を収めた1枚の写真にまつわるエピソードが登場します。
触れただけで壊れてしまいそうな位、小さくて柔らかな赤子を抱く父親。
"慣れない"とあるところから、初めての子供であることがわかります。
きっと人生初の経験で、とても緊張したことでしょう。
恐る恐る、でも優しく娘を腕に抱えたパパの姿が、満面の笑みとともに写っています。
でも残念ですが、その時の記憶は当然のことながら娘にはありません。
大きくなって見つけた写真で、自分が生まれた時の様子を知りました。
その時あらためて、愛情を持って育ててもらえてきたことを実感するのです。
娘はそんなパパとのツーショット写真を、肌身離さず大事に持っていたのでしょうね。
残り香の記憶
パパのワイシャツ たばこの香り
いつだって思いだすの
出典: パパ/作詞:中山加奈子 作曲:奥居香
香りや匂いは、他の記憶とともにはっきり覚えているものです。
娘の脳裏に刻まれたパパの香り、それはたばこの匂いでした。
たばこを燻らせながら仕事をするパパの姿は頼もしく、いつでも自分を守ってくれる存在だったのです。
なので、娘はたばこの香りを嫌なものとは記憶していません。
それどころか、すぐに思い出せるほどの心休まる香りなのです。
パパの涙の意味
あのね 叱られたよね朝帰りして
あの時の パパの涙も
あのね 今ごろ私わかる気がする
パパの子に生まれてよかった
出典: パパ/作詞:中山加奈子 作曲:奥居香
朝帰り、思わず"したことあったあった"と呟いてしまう人も多いのではないでしょうか。
友達と一緒にいるほうが楽しくなってくる年頃に、どうしてもぶち当たる壁です。
でも親は子供の無断の外泊を許すわけにはいきません。
娘を持つ父親なら尚更のことです。
パパは相当激怒したのでしょう、涙を流すほど叱ってしまいました。
でもその涙は、悔しいとか悲しいとか情けないとか、そういう感情で出てきた涙ではないのですね。
娘を心配するあまりに流した涙なのです。
余程のことがない限り、パパが娘の前で涙を見せることなどないと思います。
娘はきっとその涙に驚いたに違いありません。
初めてみるパパの涙。
娘は自分がしてしまったことを心から反省し、深くふかくその時のことを胸に刻んだことでしょう。
そして今、その時の親心がようやくわかる年齢になりました。
その時は叱られたことに余計反抗してしまったかもしれないけれど、今は感謝の気持ちしかないのです。
涙まで流して心配し叱ってくれたパパ。
そのお陰で自分はこれまでの人生を無事に歩んでこれたし、素敵な彼にも出会えた。
パパの子供で本当に良かったと、心から思っています。