歌が作られた背景
ガールズバンドの先駆者として
日本のガールズバンドの先駆けであるプリンセスプリンセス。
ソフトすぎずハードすぎないサウンドは、日本の歌謡界に新しいジャンルを築き上げました。
全編、パパに語りかける歌詞が印象的な【パパ】も、プリプリが歌ってからこその魅力が詰まった曲です。
1989年に発売された4thアルバム『LOVERS』に収録されています。
また翌年の1990年に発売された9枚目のシングル『OH YEAH!』のカップリング曲として再度リリースされました。
「パパ」というタイトルどおり、この楽曲は結婚を前にした娘がパパに寄せる想いを描いたものです。
パパを慕う年頃の娘の心模様が見事に表現されています。
作詞者中山が実父を思い出し作った曲
作詞者である中山加奈子は21歳で実父を亡くしています。
この曲はその3年後の彼女が24歳の時に書いたものです。
将来、結婚しようと思う人ができたらお墓の前に行って報告しよう。
そう思ったとき急に言葉が頭に浮かび、歌詞を書き上げたそうです。
そしてその歌詞にメロディーをつけたのが奥居香。
中山の想いがひとつの曲となって形になった瞬間です。
その想いとは一体どのようなものなのか、歌詞を紐解いていきます。
パパへの告白
彼氏の登場
パパに会わせたい人がいるの
とても優しくて 私のこと愛してくれてるの
出典: パパ/作詞:中山加奈子 作曲:奥居香
娘から突然このように切り出され、あたふたした経験がある父親は多いことでしょう。
とうとうこの時がきてしまった、そう思うお父さんも多いかもしれません。
"パパに会わせたい人"とは、まず間違いなく彼氏でしょう。
手塩にかけ育ててきた愛娘を、他の男にとられてたまるか、そんな男の本能が父親には働いてしまうようです。
母娘という関係では、まず生まれない感情だと思います。
動揺するパパを目の前にして、残酷にも娘は彼のことを思いきりのろけてしまいました。
パパにとっては、無防備のままパンチの嵐を受けまくっている、そんな状態ですね。
パパの反応が気がかりな娘
パパもなんとなく気づいてたでしょう
どうか怒らずに 最後まで話を聞いて
出典: パパ/作詞:中山加奈子 作曲:奥居香
なんとも無神経で一方的な娘だ、と思っていると、どうやらそうではないようです。
娘もだいぶ覚悟を決め、この告白をパパにすることにしたのですね。
父親は娘のことに実は敏感です。
髪型や服装等の変化には気が付かなくても、日常の態度や言動、特に行動については案外気にしているのかもしれません。
ただそれを面と向かって問いただしたり注意したりするかどうかは別の話です。
大抵は母親に耳打ちしておいて、後は知らぬ存ぜずを決め込むことのほうが多いでしょう。
でも娘はわかっているんです、父親が見て見ぬ振りをしていることを。
なのでいつかはきちんと話をしなければいけないと、娘のほうもドキドキしていたのです。
娘はパパの性格をよく知っています。
都合の悪い話だとすぐに怒り出して、聞きたくない話は途中でどこかに消えてしまう、そんなパパなのでしょう。
彼氏の話はパパにとって最も都合が悪く聞きたくない話であることは間違いありません。
だからこそ娘はパパにお願いしています。
今回だけは最後まできちんと話を聞いて欲しいのです。
隠してきた理由
ずっと隠しててごめんなさい
どうしてもきりだせなくて
出典: パパ/作詞:中山加奈子 作曲:奥居香
わざと隠していたわけではないのです。
パパが絶対に悲しむとわかっていたから、言い出せなかったのでしょう。
"ずっと"というところから、お付き合いはだいぶ以前から続いていたことがうかがえます。
そのことが更にきりだし難くさせてしまっていたのかもしれません。
相手のことを思いやる気持ちが強いほど、かえってできなくなってしまうことってありませんか?
この娘の父親に対する思いがまさしくそうですね。
パパを大切に思う娘の愛情の深さを感じるフレーズです。