これまで 毎日 歩いた この道
しばらく 見られない さみしく 思うよ
明日に 期待と 不安を 感じて
さよなら 必ず叶えたいから
出典: ゆめのはじまりんりん/作詞:中田ヤスタカ 作曲:中田ヤスタカ
ここの歌詞に解説は不要な気がします。
学校の行き帰りの風景を思い出して、切なくなる気持ちでしょう。
<夢を叶えるために、さみしいけれどみんなとお別れするよ…>。
ここでも、歌詞の中に意味深な部分はさほど見当たりません。
「やはりこれもヤスタカさんの素敵な罠なのかも?」などと勝手に思ってしまいます。
というのも、中田ヤスタカさんの作る歌詞の多くは、<あまり意味がないことが多い>のです。
「語感がなんとなくカワイイ」「語呂がいい」などの理由で作られたような歌詞が大多数。
(例を挙げれば、Perfume「チョコレイト・ディスコ」もそんな印象です)
“シンプル、だからこそ響く”。ここがヤスタカさんの詞の面白さなんでしょうね。
2番のサビについて想像すること、それは…
グッバイ ティーチャー マイフレンズ
旅立ちの際の ドキドキ
すっぱい キャンディーのリップス
かみ締め こらえる 涙も
グッバイ ティーチャー マイフレンズ
ありがとう 勇気ください
出典: ゆめのはじまりんりん/作詞:中田ヤスタカ 作曲:中田ヤスタカ
ここでも勝手な憶測ですが、きゃりーちゃんは在学中から異彩を放つ存在だったはず。
なので、多くの友達やファン、先生方がきゃりーちゃんの夢や未来をすごく応援してくれたんだと思います。
それを、中田ヤスタカさんが想像してそのまま歌詞にしたのが、この部分なのではないでしょうか。
ちなみにこのサビの部分にも、ジメジメした感じはほぼありません。
”前向きな別れ”があるだけです。
いちおう「涙」という言葉は出てくるものの、からりと明るいお別れなのでしょう。
もちろん、感謝の言葉や願いごとなど、ちょっぴり気弱なセリフも出てきます。
でもやっぱりここには明るい未来しか見えてきません。
きゃりーちゃんには自分だけのオリジナルな未来を切り拓くパワーがあったのでしょうね。
現に「カワイイ」という言葉を国内外に広めた功績は大きいもの。
1ヶ所だけ発見!歌詞を深読みできる場所
ボクだけの部屋から ゆめのはじまりんりん
出典: ゆめのはじまりんりん/作詞:中田ヤスタカ 作曲:中田ヤスタカ
歌の中に、深読みできる箇所が見つからなかった私。
よくよく歌詞を読んでみて、この一行にようやく見つけられた気がします。
この部分から読み取れるのは、“今までは狭い独りの世界にいたけれど、今後は違う”という希望に満ちた思いです。
お2人とも、自身の中に明らかな才能を感じとっていたことでしょう。
ですが、学校にいるあいだは何もかも思いどおりにいくわけではなかった筈です。
年齢的なもの、世間的なもの…さまざまなしがらみを面倒に思うこともあったかもしれません。
ですが卒業とともに「今後は自分の世界観を、一人ぼっちではなく、大勢の人と広く共有できる」と感じた。
そんな気持ちが、このサビ最後の一行に表れている気がしてなりません。
こういう想いは才能に満ちあふれた人にしか味わえないと思うので、凡人からすると憧れの境地ですね。
中田ヤスタカさんの作詞のオリジナル手法
ヤスタカさんの作る歌詞の中には、難しい言葉がめったに登場しません。
そういえばヤスタカさんのどの詞を見ても、やっぱり隠された意図や深い裏の意味があるような気がしません。
(そこがもちろん可愛くて魅力なのですが)
そういえば、気に入ったフレーズをくりかえし歌詞に登場させるのが、ヤスタカさんの作詞の手法。
そこに<聴いた者に中毒症状を起こさせる>意図があると私は思っています。
事実、ヤスタカさん作詞作曲の楽曲を聴いた後、歌詞が頭の中を延々巡っていることがよくあるのです。
印象的なメロディーに、短い端的な語句をヘビーローテーションで乗せてくる…。
中田ヤスタカさんが“天才”と呼ばれるゆえんも、この技巧にありそうな気がします。
この歌の歌詞はとても短いため、くりかえしの中毒系ワードは出てきません。
ですが「ゆめのはじまりんりん」という独特の面白フレーズ。
そして単純さゆえに印象に残りやすい言葉の羅列。
この2点で、聴く者を魅了しているのだと感じます。
学校卒業=才能開花の時?
中田ヤスタカさんもきゃりーちゃんも、長く音楽シーンの第一線で活躍されています。
才能のかたまりのようなお2人にも、かつて学校卒業の日があったのでしょう。
ですが、とくにクールな印象ヤスタカさんに関しては、卒業時の涙をあまり連想できずにいます。
型にはまらないタイプの才能ある人にとって、学校からの卒業は“自己表現の新しい世界の始まり”のような気がして…。
この歌のように「これからは才能を活かして自由に羽ばたける!」と明るく卒業していかれたのでは…と勝手に想像しています。
ポジティブな卒業
卒業や門出というと、別離のイメージ。
さらに、人によっては見知らぬ新天地で1からすべてを築き上げなくてはなりません。
つまり、卒業や門出にはかならず不安や寂しさがつきまとうもの。
ですが、この歌からはそういうネガティブ感情があまり見てとれません。
「ばいばい、またね」とサッパリ明るく学校を去っていく感じがします。
端的な感情表現。こういうところにも、きゃりーちゃんらしさがにじみ出ています。