自分の気持ちを全て吐き出すことで初めて人の耳に届き、心を動かし一歩前へ進むきっかけになります。
かっこいい姿だけにこだわる必要はありません。
とことん正直な気持ちを伝えることが物事の全体を見つめることにつながるということを教えてくれます。
今も待ち続けてくれるBiSHのファンに向けて力強い言葉で勇気づけてくれるのです。
そして同時にコロナウイルスや生活のあらゆる場面で闘う世界の人々に向けたメッセージでもあります。
なくなってから気づくもの
会うからこそ感じられるもの
悲しんでるとかじゃない
ただ僕ら不器用だから
上手に表せないだけ
伝えるの難しいね
出典: LETTERS/作詞:松隈ケンタ・JxSxK 作曲:松隈ケンタ
今までライブで歌とダンスパフォーマンスにより、ファンと音楽を通じて気持ちをぶつけ合ってきたBiSH。
目の前にいるからこそ感じる息遣いや喜び、悲しみといった感情も繊細に感じ取ることが出来ます。
現代のデジタル社会は会えなくてもメール1つで簡単に言葉を伝えることは可能です。
しかし気持ちを伝えるのは難しいもの。
言葉の持つ強さ
BiSHの歌詞は細かなニュアンスで全てを伝えようとはしていません。
あえてストレートな気持ちを言葉にすることで、まるでそこにいるかのようなリアルな感情や力強さが生まれます。
そしてファンとBiSHをつなぐ強い一体感を感じることが出来るのです。
今回の"LETTERS"は実はリリース前に先に歌詞が公開されました。
いち早く伝えたい。
器用さは持ち合わせていないけど、言葉の持つその強いパワーを信じたいという強いBiSHの想いが感じられます。
逆の意味を持つ言葉
厳しさが持つもの
こんなときこそ僕ら
冷静であるべきと思う
立ち向かう優しさを
忘れないでくれ
出典: LETTERS/作詞:松隈ケンタ・JxSxK 作曲:松隈ケンタ
3行目で前半とはほぼ真逆の意味を持つ言葉が出てきましたがどういった意味合いがあるのでしょう。
辞書には「厳しい」の反対語は「優しい」であると載っているものが多くあります。
一般的に立ち向かうとと聞くと、厳しさや頑張らなくてはならないといった強い男性的な姿を想像するでしょう。
しかしよく考えてみると、立ち向かう対象や状況によってイメージは大きく異なります。
例えばコロナウイルスで日本は外出自粛を余儀なくされました。
自粛を気にせずに集まって騒ぐ人々を無視することは簡単です。
そこに自粛を呼びかけることは勇気が要ります。
この場合は現実を見て立ち向かうことの強さを訴えるという厳しさがあります。
母性と父性が教えること
一方、収入が減り日々の食料もままならなくなってしまった人々に無償で食を提供する団体も出てきました。
厳しさだけでは「自分で何とかしろ」で終わってしまいます。
しかしこの場合は世界の隅に追いやられてしまった人々に対して「目を背けず助け合う」。
そのような優しさがなければ行動出来ません。
厳しさと優しさ。
どちらも必要で大切なものだからこそ、様々な価値観や道徳が存在します。
前半は父性的、後半は母性的な感情を訴えているのかもしれません。
ユニークな存在である人間
僕ら必ず忘れないさ
辛さすら飾りにしてやる
本当人間ってやつは面白いけど弱い
でもね届けるよ胸の中
ダサい姿も全部晒そう
出典: LETTERS/作詞:松隈ケンタ・JxSxK 作曲:松隈ケンタ