「僕等」というフレーズを効果的に用い、性別を超越してリスナーの感情移入を促した歌詞

2番の歌詞は、男性的な印象がさらに強くなります。

「僕等」はもちろん、「思い出だけさ」「気になどしないさ」という言葉遣いが、そう思わせる要因です。

後先を考えずに夢を追うという行動そのものが、男性的と認識されていた時代背景もあったのでしょうか。

ただし、女性歌手による「〜さ」という言い回しは、当時すでに使われていた手法。

1986年の渡辺美里シングル「My Revolution」にも、夢を追うというシチュエーションで登場しています。

夢に向かって突き進むというテーマは、ロックにおける歌詞の王道です。

こうした曲に欠かせないのは、力強さやスケール感。

つまり、それらを表現するサウンドメイクと、歌唱力にほかなりません。

「Oneway Generation」は、筒美京平と秋元康のセンスが光る作品です。

アレンジャーの大谷和夫も、ロックバンド出身の実力者。

杏里「CAT'S EYE」など、数多くのアーティストのヒット曲を手掛けた手腕の持ち主でした。

本田美奈子を含め、一流の才能が結集して作り上げた作品が「Oneway Generation」だったのです。

世界デビュー

洋楽の一流アーティストとコラボ

本田美奈子.【Oneway Generation】歌詞を解説!大人に理解されなくても…夢を信じよう!の画像

止まらないで 自分の道を
少し間違ってもいいから
わき目もふらずに

出典: Oneway Generation/作詞:秋元康 作曲:筒美京平

若い世代に歩み寄るスタンスで、リスナーとの一体感を誘う言葉がつづられてきた歌詞。

歌い手としてリスナーに向けられたメッセージは、「止まらないで」という言葉で始まる歌詞でした。

歌手として生きることを決めた、自分自身の背中を押すメッセージだったのかもしれません。

「Oneway Generation」リリースに前後して、前年の1986年9月。

アイドル歌手だった彼女は、世界的なアーティストとコラボレーションを重ねます。

シングルカットしたのは、ロックギタリストゲイリー・ムーア作曲した「the Cross-愛の十字架-」

同月発売の3rdアルバム「CANCEL」は、ロンドンでのレコーディングに臨みます。

アルバムにも、ゲストプレイヤーとしてゲイリー・ムーアがギターで参加。

洋楽の有名アーティストたちが、作曲や編曲を担当しました。

「Oneway Generation」に続く、翌1987年の10thシングル「CRAZY NIGHTS/GOLDEN DAYS」

プロデュースしたのは何と、Queenギタリストブライアン・メイでした

英詞バージョンも制作され、イギリスなどヨーロッパ20カ国で発売されました。

さらに同年は、ロサンゼルでレコーディングした全編英詞の4thアルバム「OVERSEA」が、日米でリリース。

日本で認められた歌唱力が、世界に通用することを証明してみせたのです。

1988年には、ガールズロックバンド「MINAKO with WILD CATS」を結成した彼女。

デビューシングル「あなたと、熱帯」は、RC SUCCESSION忌野清志郎が作曲したことで知られています。

歌に捧げた人生

本田美奈子.【Oneway Generation】歌詞を解説!大人に理解されなくても…夢を信じよう!の画像

1990年代には、優れた歌唱力を生かしてミュージカルに進出。

2000年代は、クラシック音楽の名曲に日本語詞を付けて歌い始めます。

クラシカル・クロスオーバーというジャンルの先駆けでした。

40代になったら、ジャズを追求したいと希望していた彼女。

体調が悪化した2004年11月、芸名を本田美奈子.に改名します。

ジャズシンガーの道を極めることはかないませんでしたが、彼女の音楽は、 時代を超えて生き続けているのです。

まさに、歌に捧げた人生でした。

時代を超えたカバー

オリジナルのリリースから30年

本田美奈子.【Oneway Generation】歌詞を解説!大人に理解されなくても…夢を信じよう!の画像

1987年の若者の心に刻まれた「Oneway Generation」という曲。

彼らはいつしか、「わかってくれない」と思っていた大人になりました。

まだ若いあなたからみれば、彼らも結局「わかってくれない」大人たちに見えるかもしれません。

音楽に心を踊らせることができるのは、若かりし時代の一瞬の出来事

ヒットソングになど興味を持たない大人たちを見ていれば、そう思うのも無理はないでしょう。

しかし、音楽の力をあなどってはいけません

あなたがこれまでに聴いた音楽。

今、聴いている音楽。

そして、これから出合うであろう音楽。

長い人生のさまざまな場面で、励みや慰めになるときが、必ずやってきます。

「Oneway Generation」リリースから30年を経過した、2017年10月25日。

オリジナルがヒットした当時を知るはずもない若手ロックバンドが、この曲をカバーしました。

2015年にデビューした、Thinking Dogsの5thシングル「Oneway Generation」。

音楽は時代を超えて生き続けるということを教えてくれる1曲です。

エピローグ

クラシックの名曲

2003年、クラシカル・クロスオーバーに挑戦していた本田美奈子のアルバムが「AVE MARIA」

MINMIが表現したクラシカル・クロスオーバーの「AVE MARIA」を紹介する、OTOKAKEライターの記事です。

ぜひ、ご一読ください。  

誰もが一度は耳にしたことのある、あの『アベマリア』のフレーズをMINMIがMINMIらしく歌う一曲。ノリのいいテンポで結婚式のおめでたい場面にピッタリの一曲です。嫁入り前でも嫁入り後でも共感できる心にグッとくる歌詞を紐解きながら見ていきましょう。

ブライアン・メイとは

記事にも登場したQueenのギタリスト、ブライアン・メイ。

Queenの代表曲「ウィ・ウィル・ロック・ユー」「ボヘミアン・ラプソディー」などを作曲しました。

彼は一体、どんな人物だったのか、

OTOKAKEライターが、Queen黄金期のメンバーとともに紹介しています。

これを読んで、あなたもQueen通になりましょう!