いくら愛を言葉で伝えようとも、その真意が全て伝わることはありません。
人間は気持ちを偽ることも、嘘を伝えることもできてしまうもの。
同じ「愛」でも、その程度をはかることすらできないのです。
だからこそ、単なる愛の言葉に右往左往されるべきではありません。
生活を共にする中で、行動の端々に感じる「愛」こそが本物の証。
常に相手を思いやっているからこその行動が、愛を判断する鍵なのです。
同じように、「大丈夫」という言葉も、すぐに信じるべきではない言葉の1つ。
本当に大丈夫なのか、強がっているだけなのか、実は助けてほしいのか……。
人間関係で大切なのは、上辺の言葉を「全て」だと思わないこと。
相手と向き合い、中身を知ろうと努力することこそが「関わり」なのです。
苦しまないための苦しみ
どこか他人事のように
なんだ煮詰まって
ほらグツグツ♪トロミが出るまで
あんなに弱って
ほらブルブル悪気は無いけど
出典: 魔法のスープ/作詞:WurtS 作曲:WurtS
社会で生きる上でのルール、そして人と人との関わりについて悩んできた主人公。
既に頭は考えすぎて爆発寸前、沸騰しそうな高温となっています。
考えすぎて答えが分からなくなり、うずくまる自分を見下ろしているかのような歌詞。
必死で頭を回転させながらも、どこか他人事のように傍観している自分がいるのです。
生きるということは、時にとても簡単であり、時に苦しいほど難しいもの。
その苦しみの渦中にいる主人公は、これから未来へ向かって道を拓く途中にいるのです。
マジカル魔法の持つ力
幸福感、マジカル魔法で大破して
君の欲望の国語辞典
味はどうなんだい?
マシになったかい?
”悪くないだろ?”
出典: 魔法のスープ/作詞:WurtS 作曲:WurtS
これからどうやって生きていけばいいかすら分からなくなっている主人公。
そんな彼を救うのは、もはや現実にはあり得ない「魔法の言葉」です。
何万という単語が載っている辞書の中から、主人公を救う言葉はたった1つだけ。
そしてどの言葉が誰を救うのかは、その人にしか分からないのです。
形だけの幸せに酔いしれ、本当に欲しいものを見逃していてはずっと救われることはありません。
いくつもの文字の中から自分を救ってこそ、毎日が「無味」ではなくなるのです。
目に見えるもの、耳から聞こえるもの全てが主人公を悩ませるこの世界。
自分を救ってくれるたった1つのワードでさえも、自ら手繰り寄せなければ掴むことはできません。
助けを求めて縋った紐
心ない誹謗中傷
はみ出しそうなルール
しがみついたヒモは解けてしまいそう
すぐに吐き出した文ク
言葉一つ、心エグっていくから
出典: 魔法のスープ/作詞:WurtS 作曲:WurtS
鎖に縛られていると同時に、助けを求めようとたった1本の細い紐を手に取る主人公。
その紐を離してしまったら、もう二度と助けはやってこないでしょう。
数ある言葉の中から、やっとの思いで手繰り寄せた救いの紐。
それは主人公が自分らしく生きるための希望であり、決してなくしてはならないものでした。
他人が気軽に口にした何気ない言葉は、思いがけず大きな傷口を作ることに。
SNS等で当たり前のように見る悪口の数々は、その多くが気軽な気持ちで発信されたものでしょう。
それでも、向けられた方は大きなダメージを負うのが言葉の刃の怖さ。
言葉を放った方の気軽さとは裏腹に、消えない傷を負わせているのです。
そのことに気がつかないまま、深く考えずに文字を打つ人々……。
悲しみはまたどこかで悲しみを生み、連鎖が途絶えることはありません。
壊れかけの主人公
カイがないって
求めてるんじゃない
あの人がイイって
カンチガイしてない?
「あいしてる」なんて言バじゃわからない
「きにしてない」はコトバじゃわからない
出典: 魔法のスープ/作詞:WurtS 作曲:WurtS
先ほどと同じ歌詞でありながら、カタカナとひらがなが混ざった不思議な印象に変わっているのがわかります。
考えすぎた主人公が、どうしようもない世の中を前に絶望し、次第に荒れていく姿が想像できます。
生き方、そして恋愛すらも何が正解だか分からない状態が続いている主人公。
長い間考え続ければ、頭がパンクしてしまうのも無理はありません。
もはや壊れる寸前のところまで来ている主人公ですが、今ならまだ元に戻ることもできます。
周りの人々に合わせ、足並みをそろえ、浮かんだ疑問を無視して平然と過ごす日常……。
果たしてそれは、本当の「幸せ」といえるのでしょうか。